2017年10月17日
ローラス武蔵新城校で開催され、満員御礼の大盛況で終了したSTEM教育イベント。テーマは、『AI時代にあなたの子供は、どう生きていますか?~STEM教育を英語で学ぶことで身につく学びとは~』 当日の様子を前編と後編の2回に分けてお伝えします。
第一部では、株式会社Global Educational Partners 代表取締役社長兼CEOのモントゴメリー道緒氏
によって「STEM教育とインターナショナルスクール」の現状と今後の課題を知る事ができました。
イベントレポート前半は、こちらをご覧ください。
http://istimes.net/articles/1043
その講演内容を受けて、第二部では「STEM教育を英語で学ぶことで、身につく学びとは?」と題し、ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス、Founder兼CEOの日置麻実先生、同スクールサイエンス顧問の朝日良典先生、モントゴメリー道緒氏の3名による、パネルディスカッションを行いました。
◆登壇者紹介
・日置 麻実氏
ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス Founder兼CEO
上智大学外国語学部卒、16年前にサイエンスインターナショナルスクールを立ち上げる
・朝日 良典氏
ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス サイエンス顧問
京都大学大学院理学研究科修了、 スタンフォード大学応用電子工学研究所の元訪問研究員
・モントゴメリー 道緒氏
株式会社Global Educational Partners 代表取締役社長兼CEO
バブソン大学卒、国内最大の料理教室会社ABC Cooking Studioの元代表取締役社長
●日置:
幼少期からプロジェクトベース、探求型学習のSTEMを学ぶことにより自然にクリティカルシンキングの能力や問題解決力を身に着けることができます。そう言ってもピンと来ないと思いますので例を挙げます。
STEM教育の一つプログラミングの授業。生徒はコーディングの仕方を学んでいるわけではないんです。例えば気象について学びます。台風や洪水が起きた時にどんな機械や乗り物で被害にあっている人を助けられるか考え、実際にその機械や乗り物をミニチュアで作成します。それをプログラミングして動かすのです。
その過程でクリティカルシンキングや問題解決力を自然にはぐくむことになります。そういう資質や創造性や独創性は生まれつきの素養ではなく、育んだり、引き出すことができるのです。中高でも遅すぎることはないですが、世のイノベーターといわれるような人は幼少期からそういう能力を培うような学びをしています。
実際、私共の生徒にも講師がびっくりするような方法でプログラミングをしたりする子がでてきていて、とても将来が楽しみです。
●朝日:
”三つ子の魂百まで”という言葉がある通り、幼少期に学び、経験した事は、子供達が大人になった後も、その人の人格の中心部分にありますよね。
●モントゴメリー:
大人ができる事は、まず環境を整備し、その中で子供達を最大限チャレンジさせてみる事。子供達の学習適応力には、目を瞠るものがあります。
子供達が自主的に学んでいく、そして教師は足りないところを伸ばしていく、それが幼少期のSTEM教育には一番重要な事です。
ただ、それを丁寧に実践できる教員と実践できる学校、場所が圧倒的に不足していると感じています。
●日置:
ローラスはインターナショナルスクールですので、基本的にはAll Englishで授業が行われます。生徒にとってはわざわざ英語で理数系を学んでいるという意識はありません。音楽や体育を学ぶのと同様に意識せずにサイエンス、マスなどを学んでいます。
英語が世界語となっており、世界中でSTEM教育が重視されている今、英語を土台としてSTEMを学習するというメリットは計り知れないものがあります。
例えば、サイエンスの学会でプレゼンをするとすれば英語です。また英語や英語の文化は、論理的に話を展開するのに向いています。WHY,Becauseという言葉は、英語では自然ですが、日本語と日本的な文化ではうっかり何故というと空気を読めというような環境です。英語は理数系の学習にも非常に親和性があるのでは、と思います。
●朝日:
英語と日本語の背景にある文化の違いを理解する事は重要だと思います。
学習院大学長を歴任した物理学者・木下是雄氏の「理科系の作文技術」という本があります。この本では、科学論文を書くときに日本人が気を付けなければいけない事を丁寧に説明しています。本書の中で著者が繰り返し指摘しているのは、「事実と意見を区別すること」と、「明快・簡潔な文章を目指すこと」。
英語は言語の構造からして、相手に分かりやすく物事を伝えられるようにできていて、その言語で何かを学んだり、発表したりする事に向いています。この点がSTEMを英語で学ぶ重要性だと思います。
ただ、英語ができなくても益川敏英氏のようにノーベル賞の受賞スピーチを日本語で行った例もありますし、圧倒的な天才を前にすると言語の壁は関係ありませんけどね(笑い)
●モントゴメリー:
グローバリゼーションが加速し、様々な背景を持つ人と一緒に仕事をする機会が増えましたし、これからも増え続けると思います。そういう社会において、使用言語が英語になる可能性は非常に高いです。
コミュニケーションミスや時間のロスを防ぐ為にも、早い段階で英語で授業を受け、英語で物事を考えて発信していく習慣づけは重要です。STEMのみならず、英語で物事を学ぶ事にこそ意味があると思っています。
●日置:
16年前にスクールを立ち上げたときからサイエンスを軸にした Schoolでした。
なぜサイエンスだったかと申しますと、子供たちの好奇心、集中力を一気に引き出す力がサイエンスにあったからです。フラッシュカードやテキストでのみ単語や言い回しを覚えたりするよりも、自分で手を動かして体験しながらサイエンスを英語で学ぶ方ことでより英語を体にしみこませることができます。英語の習得度が高まり、深い理解ができるようになります。
●日置:
ローラスにはScience、STEM(技術と工学を中心にしたクラス)、ICTの専門講師がいます。彼らは主に初等部の講師ですが、キンダーガーテン部門でも、週1回は各スクールを回り、ICTやSTEM、Scienceの授業をしています。
ローラスは、スクール名にScienceがついているからか、講師として応募してくる方の中に、理系の専門学校や大学の学部卒の方が多く、中には大学院卒で修士や博士課程を修了し、エンジニアとしての経験を持つ講師もおります。
●日置:
特色ある当校の教育を中学、高校と持続するには、他の誰に託せば良いのか考えあぐねています。
現状、私たちはローラス初等部の学生をここに入れたいと強く思うような学校を見つけられていません。
無いのであれば作るしかないという考えから、自分たちで中学、高校と一貫校を設立することも画策しています。
Q.モントゴメリーさんに質問です。子供の進学先として、インターナショナルスクールか日本の有名私立中高、どちらが良いか悩んでいます。インターナショナルスクール出身者として、インターの良さを教えてください。
●モントゴメリー氏:
教育とは、将来の可能性をどれだけ広げられるかだと思っています。20年後、子ども達が学校の教育を経て、社会に出た時にどういう人間になって欲しいのかが重要です。
日本のカリキュラムは、日本で生きていく為に、インターナショナルスクールのカリキュラムは、グローバルで生きていく為に最適化するようにできています。
前職(メリルリンチ日本証券で国内および海外M&A業務に従事していた)では、同僚に日本のトップ私立(開成、麻布など)出身者が何名かいました。彼らは非常に頭脳明晰で優秀だったという印象があります。日本で日本人を相手に仕事をするのであれば、日本のトップ私立の中高出身者にアドバンテージがありました。
しかし、海外で仕事をするのであれば、インターナショナルスクール出身の自分の方がアドバンテージがありました。というのも、インターナショナルスクール、さらにはバブソン大学在学時に構築した人間関係があるので、電話一本で世界中の知り合いにヒアリングする事ができました。おまけに言葉の壁も無いので、早いスピードで世界中の人を巻き込みながら仕事を動かしていく事ができました。
どちらが良いという話ではなく、自分の子供にどの世界でどう生きて欲しいかをベースに、スクールとカリキュラムを選択すれば良いと思います。
●日置:
今理数系の代表的な大学は、MIT(マサチューセッツ工科大学)やCaltech(カリフォルニア工科大学)などですが、多くの大学が理数系に力をいれ、理数系はMITやCaltechの専売特許ではなくなるのではないでしょうか。
ちょっと本題から少しずれてしまうかもしれませんが、今の幼稚園生が大学に入学する年齢に達するときには大学はますます多様化していると思います。例えばビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグ、スティーブ・ジョブス、マイケル・デル、堀江貴文など、その他多くの世界や日本を代表するイノベーター達は皆大学を中退しています。この価値観の変化は大学の在り方自体が問われていることをしめしていると思います。
また世界の有名大学の授業をオンラインで受けられるMOOCなどで地球上どこからでも一流の講義を聴けるのですから、そういう意味では大学にいかないという進路も珍しくなくなるかもしれません。
●日置:
第4次産業革産命の波が押し寄せ、人工知能・ロボット・IoTなどのイノベーションが社会基盤となっていきます。まずSTEMを理解すること、STEMリテラシーも必須です。
またプログラミング教育などのSTEM教育には、これからの社会で重要度が増す問題解決力・クリティカルシンキング・コミュニケーション能力・ICTスキルを身につけることができます。
STEM教育を通じて、子供たちが積極的に問題を解決したり、新しいものを創造していく力を培っていくことで、子供たち自身の未来を拓き、イノベーターになり、そのイノベーター達がひいては人類の未来を切り拓いていくことができると信じています。
●朝日:
技術革新のスピードが早く、数年先も想像ができない世界が広がっています。今、手元にある情報や教育は役に立ちません。
ただ、どんなに時代が変わっても、その時代にある問題をどのように解決していくのか、その手法を学ぶのにSTEM教育は重要だと思います。
STEMの知識をベースに、それをいかに目の前にある問題と紐づけてアウトプットするかの手法を学ぶ事。それが生き残りに結び付くと思います。
●モントゴメリー:
今の時代、情報量がとても多く、学びのツールは世の中に溢れています。子供達は情報の見つけ方さえ知っていれば、世界中からなんでも学ぶ事ができます。どこからか情報を見つけ、解決策を練り、具現化していく。知識というよりスキルでしょうか。それができるかどうかが明暗を分けます。
我々の生き方はどんどん変わっています。現に、iPhoneの登場でライフスタイルも変わりました。5年後の未来も想像できません。
世の中の問題に興味を抱き、具現化できるまで諦めない。そういう教育を与えられるかどうかがスクールの経営者として課せられた使命だと思います。
●日置:
未来ではないですが、日本の10年先を行くといわれているアメリカの現状を見てみますと、ある資料では、アメリカの高待遇職種ランキングで既に10位以内に7件STEM関係の職業が入っています。
保険数理士、数学者、統計家、データサイエンティスト、ソフトウェアエンジニア、コンピューターシステムアナリストなどです。数学者といえば、かつては食えない職業の一つだったと思いますが、今はそうではないのですね。統計家とかデータサイエンティストというのも、最近注目されている職種です。日本でも需要がどんどん変わってくると思います。
さて、前編後編の2回にわたって、STEM教育イベントのレポートを配信してきましたが、百聞は一見に如かず。実は、ローラスでは、11月11日(土)-12(日)の2日間にわたって、STEMを身近に感じられる、Science Fair(サイエンスフェア)をローラス白金台校にて開催します。
イベントは、幼稚園生と小学生を対象にしていて、当日はローラスのSTEM専門講師に加え、東大・京大など国内トップの大学に通う理系大学院、大学生と一緒に楽しみながらSTEMを学べるイベントです。
日程:11月11日(土)-12(日)
時間:10:00-16:00
参加費:無料
会場:ローラス・インターナショナルスクール・オブ・サイエンス(白金台校)
詳細:http://www.laurus-school.com/topics/1348/
サイエンスフェアでは、在校生のプロジェクト発表に加え、主にロボット、プログラミング、VR、化学反応、物理、算数などをテーマにSTEMに関わるワークショップや展示会が開催されます。
朝日「あまり難しく説明しようとするのではなく、子供たちが展示やワークショップを通してSTEMに触れて、“何だか分からないけどスゴイぞ”と思えるようなイベントにするつもりです。イベントに来て、とにかくびっくりした記憶だけでも残ってくれたら嬉しいですね。子供たち、そして保護者にとって、サイエンスの楽しさをより身近に感じて頂けるイベントになると思います」
STEMに興味のある方はもちろん、これまでとっつきにくい印象を持っていた方にこそ是非参加してみて欲しい本イベント。参加費はなんと無料です。特設サイトより事前にお申込みください。
Laurus International School of Science / Science Fair
http://www.laurus-school.com/topics/1348/日本で唯一のSTEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)インターナショナルスクールを運営する、バイリンガグループ。 世界中で話題のSTEM教材やアクティビティを選りすぐり、年に一度のScience Fairを開催します!入場は無料です。是非お気軽にお越しください♪