2025年10月06日

スクリーンタイム:権威・教育・信頼

いまや私たちの生活のあらゆる場面にスクリーンが存在し、多くの家庭にとって、子どもたちがそれらとどう関わっていくかが、現代の子育てにおける大きなテーマとなっています。学習、娯楽、友人との交流など、用途は多岐にわたり、オンラインで過ごす時間はかつてないほど長くなっています。では、保護者は、子どもたちがスクリーンタイムと健全に付き合うために、どのようにサポートできるのでしょうか?


いまや私たちの生活のあらゆる場面にスクリーンが存在し、多くの家庭にとって、子どもたちがそれらとどう関わっていくかが、現代の子育てにおける大きなテーマとなっています。学習、娯楽、友人との交流など、用途は多岐にわたり、オンラインで過ごす時間はかつてないほど長くなっています。では、保護者は、子どもたちがスクリーンタイムと健全に付き合うために、どのようにサポートできるのでしょうか?

私の子どもたちは、毎日、長時間スクリーンの前で過ごしています。ソーシャルメディアを使ったり、オンラインゲームをしたり、最新のテレビ番組をチェックしないと、友だちができないと言うのです。どうしたらいいのでしょうか?

スクリーンタイムは長くなればなるほど、子どもの精神的・社会的発達に悪影響を及ぼし、睡眠不足の原因にもなり得るという研究結果があります。一方で、デジタルリテラシーは21世紀を切り開く鍵であり、生き抜く上で必要不可欠なものとなりました。最新のゲームや人気のテレビ番組を知らないと、子どもの社交性や友達づくりに影響することもあります。この難問の解決に向けて舵を取るには、信頼という綱の上で、権限と教育のバランスをとることが重要です。

2〜3歳児にスクリーンタイムの責任を持たせることはできませんし、ティーンエイジャーに管理を任せっきりにしてしまうとどうなるかは、簡単に想像することができます。そこで、まずは子どもの年齢に適したルールを設定します。幼いうちは内容や時間をより具体的に(夕食前に『Paw Patrol』を30分見る、土曜日のゲームは2時間までなど)、その後は子どもの知能面・社会面の成長に合わせてルールを徐々に緩め、シンプルにしていきます。そうすることにより、子どもが自分自身で時間やニーズを管理する習慣を身につけ、自律性を育てるのです。

これを実行する上で、忘れてはならないことが2つあります。1つ目は、子どもにルールを破る余地をあげることです。自分の行動は自分でコントロールするものであり、行動の1つ1つに責任が生じるということを発見する機会を与えるためです。それは同時に「私はあなたを信頼しています」というメッセージにもなります。しかし、もしルールが頻繁に破られるようであれば、話し合いが必要です(正直に話し合い、お互いの考えを明確にできれば、ルールをより厳しくしても問題ありません)。そして2つ目は、ルールを設定したり、調整したりするときに、子どもたちが自ら発言し、参加できるようにすることです。そうすれば、子どもはそのルールをより忠実に守るようになり、たとえ守れなかった場合でも嘘をつかなくなるでしょう。

しかし、扱うコンテンツとなると、話はもう少し複雑になります。最近では、携帯電話、ゲーム機、メディアストリーミングサービスなどにペアレントコントロール機能が搭載され、子どもの活動を見守ることができます。しかしこれは、子どもの安全が約束されたわけではなく、自分たちはなにもしなくていいということではありません。見守り機能や、GPS追跡を使う場合は、隠さずに子どもに知らせましょう。子どもが誠実であることを望むのであれば、私たちが子どもに対して誠実でなければなりません。信頼は一方通行では成り立たないからです。

デジタル・シティズンシップや、メディアが有益か有害かを見分ける能力は、何にも代えがたいものです。私たち親が、暴力、ネットいじめ、インターネットの誘惑といった難しいテーマについて、子どもと真剣に話し合わなければ、見ず知らずの他人が言葉巧みに子どもの興味をひき、危険な方向へと誘導するかもしれません。単に危険に近づくなと言うのではなく、なぜそれが有害なのか、健康や社会生活にどう影響するのか、ひいては周りの人たちにどう影響するのかを説明しましょう。ただやみくもにスクリーンタイムを禁止するのではなく、子どもが十分な年齢であれば研究結果を見せたり、まだ幼いのであれば、より簡単な言葉で説明するなどして、インターネットの世界とその中毒が脳や体に及ぼす、長期にわたる負の影響を理解してもらう必要があるのです。

デジタル環境が大きく変化している今、現代の子育てにおけるチャレンジを乗り越えるには、私たちの親世代と同じことをやっていてはいけません。ペアレントコントロール機能は、責任感や分別のある人間になる方法は教えてくれません。結局のところ、私たちに残されているのは、これまでもしてきたこと: 子どもたちを愛し、大切に思い、そして共に寄り添いながら、この変わり続ける不確かな時代の難局を一緒に乗り越えていくことなのです。


この記事の記者

グレゴリオ・ラブナルは、帰国子女アカデミーの教育者兼アカデミックコーディネーターであり、すべての子どもが学び、成長できる力を持っていると強く信じています。教師の指導、家庭の支援、自身の子育てを通じて得た長年の経験から、好奇心・支え合い・人とのつながりが子供の真の潜在能力を引き出すことを実感し、その理解を地域社会全体と共有することを目指しています。