2025年12月26日
学校選びで最も大切なのは「この学校で子どもは本当に学んでいるのか」という問いです。KAインターナショナルスクールは、世界最大規模の教育研究に基づく「ビジブル・ラーニング」を実践し、日本初の認定校となりました。このアプローチでは、子どもたちが「何を学び、なぜ大切か」を常に理解し、基礎から応用へと段階的に成長します。教師は「この教え方は機能しているか」と問い続け、効果的なフィードバックで子どもの成長を加速させます。目標が明確で成長が見える環境では、子どもたちは受け身ではなく主体的な学習者へと変わります。本記事では研究に裏付けられたKAISの教育実践を具体的にご紹介します。
KAISで実践される、研究に基づいた指導とは
多くのご家庭にとって、学校選びは期待と同時に不安も伴うものです。
「子どもが安心して過ごせるか」「励まされ、適切に挑戦し、刺激を受けられる環境か」。学級規模、プログラム内容、教員、施設など、さまざまな点を比較検討されることでしょう。しかし、それらすべての実務的な条件の根底にあるのは、次の非常に本質的な問いではないでしょうか。「この学校で、わが子は本当に学んでいるのか。そして、将来の成功につながる力を身につけているのか?」
KAインターナショナルスクール(KAIS)では、この問いこそを教育理念の中心としています。その答えを追求する中で、「ヴィジブル・ラーニング」の研究に基づく教育アプローチを採用しました。ヴィジブル・ラーニングは、「学校教育において、何が生徒の学力向上に本当に効果があるのか」を示す、世界最大規模のエビデンスに基づいた理論です。このアプローチにより、KAISでは意図と明確さ、そして学習効果を重視した授業設計が可能となりました。すべての子どもが支えられていると感じるだけでなく、実感を伴う、測定可能な成長を経験できるのです。
KAISは、日本で初めてヴィジブル・ラーニング認定校として、コーウィン社より公式な認証を取得しました。これはヴィジブル・ラーニングの原則を深く理解し、測定可能な形で実践している学校にのみ与えられるものです。では、この認定は保護者の皆さま、そしてお子さまの日々の学びにとって、具体的にどのような意味を持つのでしょうか。本記事では、ヴィジブル・ラーニングの中核となる考え方を紹介し、このアプローチがなぜ重要なのかを解説します。
ヴィジブル・ラーニングの最もシンプルでありながら、学びを大きく変える要素の一つが「明確さ(Clarity)」です。KAISでは、すべての授業を次の2点の確認から始めます。
(1)学習の目的(Learning Intentions):何を学ぶのか?
(2)成功の基準(Success Criteria):どのような状態になれば「学べた」と言えるのか?
これにより、子どもたちは単に活動を「こなす」のではなく、その目的を理解した上で学習に取り組みます。自分が何を達成しようとしているのか、成功はどのように測られるのか、次に何をすべきかを、自ら説明できるようになります。
研究でも、このような「明確さ」は学習成果に対して非常に大きな正の影響を与えることが示されています。目標とそこに至る道筋が見えているとき、子どもたちは目的意識を持ち、主体的に学ぶようになります。言い換えれば、明確さは、学びを「手探り」から「意図ある行動」へと変える力を持っているのです。子どもたちが「何をしているか」ではなく、「何を学んでいるか」を説明しはじめたとき、私たちは教育の質的な変化が起きていると実感します。
KAISで用いられているもう一つのコアフレームワークは、SOLOタクソノミー(John Biggsと Kevin Collisにより開発)です。これは、学習を段階的に捉えるモデルです。SOLO(Structure of Observed Learning Outcomes 「観察された学習成果の構造」)の略称)は、教師が生徒の学習を、非常に単純な、あるいは部分的な理解から、つながりのある理解、そして最終的には新しい状況にアイデアを一般化し適用する能力へと、複雑さが増していくという観点から捉えるのに役立ちます。
KAISでは、SOLOタクソノミーをより分かりやすく、3つの段階に分けて提示することで、生徒が表面的な学習(基礎の構築)から深い学習(関連性の構築)、そして応用レベル(理解を新しい文脈で創造的に活用する)へと段階的に進んでいくことをサポートします。つまり、教師はSOLOを用いて、生徒が単に個々の事実を収集するのではなく、基本的な理解から関連性の構築へと進み、そしてより柔軟に学習を応用できるように学習を設計します。
この記事の記者
ジャスティン・ベチューンは、KAIS小中学校(東京)の校長を務めています。教育分野で15年以上の経験を持ち、一橋大学で教育社会学の修士号を取得し、特にオルタナティブ教育を専門としています。また、オタワ大学にて第二言語習得および犯罪学の学位も取得しました。日本には約20年にわたり在住しており、KAISに「ヴィジブル・ラーニング」フレームワークを導入したほか、社会科プログラムのコーディネーターとして、生徒がグローバルな視点から歴史的背景や社会を探究できるよう指導しています。多様なバックグラウンドを持つ生徒や教師のために、エビデンスに基づく教育の推進と、活気に満ちた支援的な学びのコミュニティづくりに尽力しています。