偏差値一辺倒の教育に、新たな「解」が生まれる。郁文館グローバル高校が2026年度より始動する「6年一貫グローバルコース」は、帰国子女教育のパイオニア・帰国子女アカデミーとの史上初の深い提携のもと、日本の規律と国際的な英語力を融合。「世界地図から自分の進路を選べる人間」を育てるその教育哲学と、17歳で1,000万円を調達した生徒たちの実話とは。
近年、日本の教育界で「海外大学進学」というキーワードがかつてない熱を帯びている。その潮流の最前線に立ち、圧倒的な勢いで実績を伸ばしているのが、郁文館グローバル高校だ。
同校は2026年度より、新たに中学3年間を統合した「6年一貫グローバルコース」の始動を発表。さらに、帰国生教育のパイオニアのチャールズ・カヌー氏率いる「帰国子女アカデミー」と提携しました。
なぜ今、中学からの6年一貫なのか。偏差値至上主義の出口に、どのような未来を描いているのか。
郁文館グローバル中高一貫コース責任者である鎌倉義雄校長、株式会社Global KA HoldingsCEOのチャールズ・カヌーセン氏にお聞きしました。
対談内容はいかに、合わせてビデオリンクから実際の対談もご覧ください。
日本の教育に「新たな選択肢」を
村田: 近年、ニュースでも海外大学合格実績を伸ばす学校として「郁文館グローバル高校」の名前を目にしない日はありません。その勢いの中で発表された「中学からの6年一貫コース新設」。鎌倉先生、この新コース設立に至った背景と、そこに込められた「真の意図」をお聞かせいただけますか。 鎌倉校長: ありがとうございます。このコースを設立した理由は、大きく分けて2つの視点があります。 1つ目は、「保護者の視点」です。私自身、現在中学受験を控えた息子を持つ親でもあります。 息子は地元の公立小学校に通っていますが、その妹はインターナショナルスクールに通っています。 家庭の中でこの2人の教育環境を見比べたとき、そして今のAI時代、グローバル化が進み国際情勢が不安定な時代を見据えたとき、多くの保護者が「本当に子供に必要な教育とは何か」と迷い、立ち止まっていることを痛感します。 しかし、現在の中等教育における「メインストリーム」は、依然として偏差値を軸とした学校選びです。その結果、何が起きているのか。 東京都内23区だけで、5,000名を超える児童が、既存の義務教育の学校ではなく、インターナショナルスクールなどを選んでいるという現実があります。 既存の「偏差値の物差し」だけでは測れない価値を求めているご家庭に対し、明確な「解」を提示することが、私たちが今なすべきことだと考えました。 村田: 23区で5,000名という数字は衝撃的ですね。それだけ既存の枠組みに限界を感じている親御さんが多いということでしょうか。 鎌倉校長: そうですね。そして2つ目の理由が、「AI時代への対応とグローバル教育の再定義」です。この1、2年でChatGPTをはじめとした生成AIが急速に普及しました。 これからAGI(汎用人工知能)、さらにはASI(人工超知能)の世界が来ると言われる中で、かつてのように「知識を詰め込み、正解を早く導き出す能力」の価値は相対的に低下しています。 そこで必要となるのが、私たちが掲げる「世界地図から進路を選べる力」です。 中学・高校の6年間を通じて、単に英語ができるようになるだけでなく、世界のどこにいても、自分が主人公となって「ありがとう」を集められる人間を育てる。 そのための受け皿として、高校3年間だけでは時間が足りない。中学からの6年間というスパンで、腰を据えて「自分とは何者か(Who am I?)」を突き詰める環境が必要だったのです。
偏差値の呪縛から、ホリスティック(包括的)な教育へ
村田: チャールズ先生は、これまで塾という立場で、数多くの生徒さんを国内外の学校へ送り出してこられました。今回の郁文館の動き、そして現在の日本の教育環境をどのようにご覧になっていますか。 チャールズCEO: 今年、中学受験を目指す生徒の中で、特に高い英語力や国際的なバックグラウンドを持つ生徒たちが、自分の居場所となる中学を探しています。 しかし、残念ながら彼らのニーズを真に満たす「席」は、既存の学校には十分に用意されていませんでした。 日本の伝統的な教育と、インターナショナルスクールの教育。 これまでは、その「どちらか」を選ばなければならないという厳しい選択を迫られていました。 伝統的な学校は規律や基礎学力に優れていますが、個性を抑え込みがちです。 一方でインターは自由ですが、日本の文化やマナーを学ぶ機会が不足することもあります。 私が今回のプロジェクトに非常に興奮している理由は、郁文館が「ベスト・オブ・ボス・ワールズ(双方の良さを併せ持つ世界)」を提供しようとしているからです。 日本で育ち、日本のルールやマナーを理解しながらも、英語という翼を持ち、世界中の選択肢から自分の将来を選べる。 そんなハイブリッドな環境が、今の日本には切実に求められています。 鎌倉校長: チャールズさんのおっしゃる通りです。日本の学校の多くは、高校1年生くらいまでは「探究学習」などで素晴らしい教育をしていても、出口である「入試」が近づくと、どうしても一般入試向けの詰め込み教育に切り替わってしまいます。 私たちが2022年から取り組んできたのは、出口を思い切って「総合型選抜(旧AO入試)」や「海外大学入試」にシフトすることです。 入試が変われば、そこから逆算した6年間の教育は、偏差値のためではなく、「ホリスティック・エデュケーション(包括的教育)」、つまり「Well-rounded people(バランスの取れた人間)」を育てるためのものに変わるのです。 チャールズCEO: 確かに、親御さんの意識も変わってきていますね。 かつては「大学の名前」だけを重視していましたが、最近では「子供の長期的な幸せ」を第一に考える家庭が増えています。 名前も大事ですが、それ以上に「子供が自分の夢を見つけ、それを実現できる学校かどうか」を見極めようとしています。
郁文館のアイデンティティ――「Who am I?」への回答
村田: 先ほどから「Who am I?(自分は何者か)」という言葉がキーワードとして出てきています。具体的に、郁文館の生徒たちはどのようにしてその答えを見つけていくのでしょうか。 鎌倉校長: 私たちが最も大切にしているのが、まさに「あなたは何者ですか?」という問いに、自分の言葉で答えられるようになるプロセスです。そのためのキーワードは、生徒自身の「好きなこと」と「得意なこと」です。 一見シンプルに聞こえますが、これを突き詰めるのは非常に深い作業です。 私たちは、30代遡れば10億人の祖先がいると言われます。その誰一人が欠けても、今の自分は存在しない。つまり、一人ひとりが奇跡のような存在であり、その子にしか起こせない「素敵な奇跡」があるはずなのです。 村田: 何か、具体的な生徒さんのエピソードはありますか? 鎌倉校長: はい。2025年春に卒業し、柳内財団からスカラシップ(奨学金)を勝ち取って海外へ羽ばたいた生徒の例が象徴的です。 彼はもともと「物作り」が大好きでした。 特にロボティクスに興味を持ち、アメリカで開催される世界最大級の大会「FRC(First Robotics Competition)」に出たいと考えました。 しかし、調査してみると、世界大会に行くまでに、ロボット製作費や遠征費、参加費などで合計1,000万円もの資金が必要だとわかったのです。 普通の高校生ならここで諦めるかもしれません。しかし、郁文館には彼の情熱に共鳴する仲間がいました。 ビジネスに興味がある子、会計が得意な子、デザインでロゴを作るのが上手な子。彼らはチームを結成し、なんと学園内に「一般社団法人」を設立してしまったのです。 村田: 高校生が自分たちで法人を!それは驚きです。 鎌倉校長: 彼らは自分たちでプレゼン資料を作り、企業を回ってスポンサーを12社も集めました。そして、わずか8ヶ月で1,000万円を調達したのです。 さらに、早稲田大学や東京大学の公募を借りたり、企業から技術指導を受けたりして、2024年の世界大会に出場を果たしました。 このリーダーだった生徒は、自分の物作りの才能と、仲間を集める力、そして社会を動かした経験をストーリーにして柳内財団に応募し、合格しました。 彼らにとって、英語は目的ではなく、この「奇跡」を起こすためのツールだったのです。 チャールズCEO: その会社(法人)を立ち上げたとき、彼らは何歳だったのですか? 鎌倉校長: 17歳です。でも、その情熱は後輩たちにも伝播(バイラル)しました。今、そのロボティクスチームのメインプログラマーを務めているのは、当時13歳だった中学生です。 情熱には年齢の壁などないことを、生徒たちが証明してくれました。
帰国子女アカデミー(KA)が郁文館に託すもの
村田:今回の目玉の一つが、帰国子女アカデミー(KA)との提携です。これまで多くの実績を残してきたKAが、なぜ今、特定の学校とここまで深く連携することに決めたのでしょうか。チャールズ先生、その狙いを教えてください。 チャールズCEO: 実は、特定の学校に対して直接的なレッスンを提供したり、カリキュラムに深く関与したりするのは、私たちにとっても初めての試みです。 これまでは、新しく帰国生プログラムを立ち上げる学校にアドバイスをすることはありましたが、ここまで密接なパートナーシップは前例がありません。 その理由は、郁文館が掲げる「プロアクティブ(主体的)な文化」に、深い敬意と信頼を抱いたからです。 私は実際に郁文館の授業を観察し、多くの生徒にインタビューしました。 そこで「今、あなたは何を、なぜ学んでいるのか」と尋ねると、どの生徒も即座に、かつ明快に答えてくれました。 「プレゼンスキルを磨いています」「世界の課題を解決するためにこの知識が必要です」と。 彼らは大人(外国人である私)に対しても全く物怖じせず、オープンに話してくれます。 この「オープンネス(開放性)」と「目的意識の高さ」は、私たちがKで育てたい生徒像そのものでした。 村田: 具体的にはどのような形で、KAの強みを郁文館のカリキュラムに注入していくのでしょうか。 鎌倉校長: 2026年度に入学する中学1年生から、放課後の時間を使って、KAの高品質なコンテンツを提供します。 まずは英検という分かりやすい物差しを使い、2級、準1級の講座、そしてすでに準1級を持っている生徒には1級レベルのKAが誇るアドバンスな英語教育を実施します。 しかし、これは単に「場所を貸して塾の先生が教える」という表面的なものではありません。 チャールズさんとはすでに密な打ち合わせを重ね、私たちの6年間の正規カリキュラムを共有しています。 例えば、正規の授業で理科を英語で学ぶ(イマージョン教育)際に使っているテキストやテーマをチャールズさんにも見ていただき、放課後のKの授業で扱う題材と「交差」させるように組んでいます。 正規授業で身につけるスキルと、放課後のKのプログラムで強化するスキル。 これがシームレスに連動することで、生徒たちは圧倒的なスピードで英語力を伸ばし、かつそれを「使える道具」として定着させることができるのです。 村田: 親御さんの視点から見ても、これは非常に安心感のある座組みです。KAの親御さんは、KAの教育方針に非常に強い信頼を寄せています。 今回の提携を聞けば、「あのKAが認めた郁文館なら、海外大学も日本の難関大も、どちらの道も高いレベルで目指せる」と確信されるでしょう。
「世界地図」がキャンパスになる
村田: 先ほど「2025年春の卒業生の4割が海外進学した」というお話がありましたが、進路の多様性についてもう少し詳しく伺えますか。 鎌倉校長: 私たちの卒業生の進路は、まさに多種多様です。 国内では、早稲田大学の国際教養学部(SILS)、上智大学の国際教養学部(FLA)、慶應義塾大学のSFC、立教大学のGLAP、法政大学のGISといった、いわゆる英語で学位が取れる国内トップレベルの国際系学部に多く合格しています。 しかし、海外に目を向けるとさらに広がります。サンノゼ州立大学(カリフォルニア)や、シドニーの大学でコンピューターサイエンスを学ぶ子など、理系の子たちも非常に多いのが特徴です。 村田: 印象に残っている、ユニークな進路を選んだ生徒さんはいますか? 鎌倉校長: インテリアブランドの「IKEA」が大好きな女子生徒がいました。 彼女は「IKEAのあの北欧のデザイン、あの空間が大好きだ」と言い続けました。一方で彼女には悩みがありました。大好きな両親が、毎日仕事で夜11時過ぎまで帰ってこない。 疲れて帰ってくる両親を、自分の大好きなインテリアの力で笑顔にしたい。それが彼女の原動力でした。 彼女が選んだのは、IKEAの発祥の地である「スウェーデンの大学」でした。彼女にとって、インテリアデザインを学ぶなら、その文化が根付いているスウェーデン以外に考えられなかったのです。 彼女は今、将来日本のワーク環境(オフィスデザインなど)を改善し、労働生産性を上げて人々を幸せにするという夢に向かって突き進んでいます。 チャールズCEO: 素晴らしいストーリーです。 教育の真の目的は、生徒が「自分が何をしたいか」を発見する手助けをすること、そして卒業時に「できるだけ多くの選択肢」を持っている状態にすることです。 日本の大学に行きたければ行ける、海外に行きたければ行ける。その自由こそが、家族が子供に与えられる最高の贈り物です。 先日、KAの創立20周年を記念した同窓会(アルムナイ・パーティー)を開催しました。20年前の教え子たちも集まってくれましたが、彼らは今、世界中で活躍しています。 外資系のコンサルティングファーム、日本政府の外務省、中にはF1(フォーミュラ・ワン)に関わる仕事をしている子もいました。 彼らに共通しているのは、英語というツールと、確固たるアイデンティティを持っていたからこそ、「世界中どこでも働ける」という自由を手にしていることです。
入試の変革「あなたは何者か」を問う試験
村田: 2026年度からの郁文館中学グローバルコース入試について伺います。
どのような生徒さんに、どのような準備をして受けてほしいとお考えですか。 鎌倉校長: 入試についても、私たちはホリスティック(包括的)なアプローチをとっています。いわゆる一般的な「4教科(国算理社)入試」とは別に、「英語1科入試」を2月1日から複数回実施します。 この試験の内容は、まさにSDGsに関連するトピックなど、グローバル・イシュー(地球規模の課題)に関心があるかを問うものです。 英語ができることはベースですが、その英語を使って「何を解決しようとしているか」を見ています。 その後に行われるインタビュー(面接)が非常に重要です。 私たちのネイティブ教員や日本人教員が、受験生に対して「Who are you?(あなたは何者か、何者でありたいか)」と問いかけます。 村田: 小学校6年生に対して「Who are you?」と聞くのは、なかなかハードルが高いようにも感じますが。 鎌倉校長: 完璧な答えを求めているわけではありません。
「好きなこと、得意なことを追い求めようとする姿勢」があるかどうかを見たいのです。 既存の大手塾に通い、4教科の勉強に追われている子供たちの多くは、そこから「自分(Who am I?)」が抜け落ちてしまっています。 勉強することが目的化し、自分自身が何にワクワクするのかを忘れてしまっている。 私たちは、たとえ今、明確な将来の夢を持っていなくても、「何かを見つけたい」「誰かの役に立ちたい」というエネルギーを持っている子を求めています。 そして、ご家庭の中でも、社会の出来事やグローバルな課題を食卓で話されているような、お子さんの知的好奇心を刺激している保護者の方々に入学していただきたい。 そうしたご家庭とのマッチングこそが、6年間の成長を支える土台になります。
日本の教育の未来への提言
村田: 最後に、これからの日本の教育、そしてこの新コースが目指すビジョンについて、お一人ずつメッセージをお願いします。 チャールズCEO: 私は、日本における英語教育の質を底上げしたいと強く願っています。残念ながら、日本の英語力ランキングは年々低下していますが、社会における英語の必要性は高まる一方です。 郁文館とのこの取り組みが、日本の教育における「新しいモデル」になると信じています。 帰国生はもちろん、日本で育つすべての生徒が「バイリンガルであることの恩恵」を享受し、キャリアの限界をなくしていく。 英語を学ぶことは、人生の可能性を広げることであり、それを楽しんでほしい。 この新しいコースが、そのための最強のスタート地点になるでしょう。 一人の親として、そして教育に携わる者として、子供たちが「失敗を恐れずに挑戦できる環境」を作ってあげたいと思っています。 鎌倉先生がおっしゃったように、親がレールを敷くのではなく、子供が自分の翼で飛べるようになるためのサポートを、このコースなら実現できると感じています。 鎌倉校長: ありがとうございます。私が思う「教育のマナー」とは、大人が子供に対して「失敗させる覚悟」を持つことだと考えています。 「グラス・ハーフ・エンプティ(半分空だ)」と嘆くのではなく、「グラス・ハーフ・フル(半分も入っている)」とポジティブに捉えるプロアクティブな姿勢。好きなことに没頭し、努力が努力でなくなるほど打ち込む経験。 その過程で必ず経験する失敗を、次への糧にできるレジリエンス(回復力)。 2026年、私たちは帰国子女アカデミーという最高のパートナーと共に、世界中から選ばれる、そして世界中から「ありがとう」を集められるリーダーを輩出する場を作ります。 皆さんと共に、新しい教育の歴史を作れることを楽しみにしています。 村田: 偏差値という一つの尺度に縛られず、世界地図全体を自分のキャンパスとして捉える。そんな力強い教育の姿が見えてきました。本日は、貴重なお話をありがとうございました。
郁文館夢学園 郁文館中学校・郁文館高等学校・郁文館グローバル高等学校
https://www.ikubunkan.ed.jp/
夢教育を理念に掲げる学校法人郁文館夢学園オフィシャルサイト。郁文館中学校、郁文館高等学校、郁文館グローバル高等学校の各種情報を掲載しています。
帰国子女アカデミー
https://www.kikokushijoacademy.com/
帰国生のための英語保持・帰国枠受験・英検・TOEFL対策。長年の実績を持つKAが、皆さんの英語学習の目標達成をサポートします。