2016年05月21日
大阪市にある大阪YMCAインターナショナルスクールは、カナダのオンタリオ州政府認可校で、国際バカロレアの初等教育プログラム(PYP)認定校です。そのサタデースクールを見学してきました。
とディレクターの小路さん
インターナショナルスクールは、特殊な生徒が通う、ローカルから切り離された学校というイメージがあると思います。
しかし、大阪YMCAインターナショナルスクール(以下 大阪YMCA)は、地域・社会にどのような貢献ができるのか、をつねに問いかけています。
広い意味では、社会の国際化に貢献することを目標としながら、地域に根付いた学校として国際教育の拠点となることを目指しています。
サタデースクールにも、大阪市をはじめ広範な地域の多くのお子さんが通っています。
現在、サタデースクールには、3つのコースが3学期制(春・秋・冬)に開講しています。
① 幼稚園コース
② 小学生スタンダードコース
③ 特進帰国子女コース(幼・小)
サタデースクールでは、ハロウィンやクリスマスなど季節のイベントも導入し、文化理解を含めたプログラムです。
また夏、冬、春の短期集中プログラムを併用することで、ほぼ1年中、大阪YMCAのプログラムに参加することが出来ます。
ビジネスマネージャー兼入学担当の日出さんにお話をお伺いしました。
『当校には、3歳からのプレスクール、幼稚園、小学校、昨年には、中学校が開校しました。
カリキュラムは、カナダのオンタリオ州のカリキュラムと国際バカロレア(IB)のPYP(初等教育)プログラムを導入しています。
その上で学校として、国際認定組織のWASC認定を受けています。
大阪市の都市構想を含め、国際教育基盤として大阪YMCAインターナショナルスクールは、2001年の9月に開校しました。
教育理念には、YMCAの「相互協力の育成」、「自己の認識」「生命の尊さを知る精神(Spirit)、知性(Mind)、身体(Body)の育成」が反映されています。
当校では、大阪YMCAだけではなく、YMCAが持つさまざまなネットワークを活用しています。
例えば、課外授業に行く六甲山YMCAもそうですが、全国のYMCAの施設と海外の施設が様々な学校活動で使うことができます。』
国内だけではなく、世界のYMCAのネットワークも駆使し、YMCAの総合力が大阪YMCAインターナショナルスクールに反映されています。
① 国際バカロレア(IB)のPYPカリキュラム
大阪YMCAの校舎に一歩踏み込むといたるところに掲示されているのが、IBの学習者像(Learner Profile)*です。
探求型の国際バカロレアでどのように学び、どのような人物となるのかを示したものです。
サタデースクールにも、国際バカロレアの教育手法が導入されています。
IB学習者像(IB Learner Profile)は、生徒だけではなく、先生側、保護者側もすべてが「ラーナー(学習者)」であり、すべての学校活動が「IB学習者像(IB Learner Profile)」の対象です。
大阪YMCAは、保育園・幼稚園から高校、英語学校、国際文化センター、国際専門学校、大阪YMCA学院(日本語学校)と多くの教育機関を運営しています。
この総合力(人材、教育内容、教育施設、学校経営)が、大阪YMCAインターナショナルスクールにも活用されています。
さらに、 YMCAの社会的なプログラムは、国際バカロレアの理念と多くを共有しています。
YMCAのプログラムは、スポーツや語学、さまざまなイベント、さらに社会福祉的なチャリティーなど広範囲にわたります。
このYMCAのさまざまな活動も大阪YMCAの授業や課外活動でも取り入れられています。
1990年、大阪市の都市構想から、大阪市国際学校立地検討会議を経て、優良な世界的企業の誘致のため外国人社員にとっての居住環境の整備が不可欠との判断から、大阪市と大阪YMCAがインターナショナルスクールの運営について協議を進め2001年9月に大阪YMCAインターナショナルスクールは、開校しました。
現在の大阪YMCAの校舎は、大阪市の知的創造活動の拠点 (ナレッジ・キャピタル)に近い、梅田駅から徒歩約10分のところにあり、統再編された大阪市立の校舎を活用しています。
幼稚園コースとは
幼稚園コースは、ネイティブの先生と1日を過ごすことで、日常生活で使う言葉の習得を進め、基礎をしっかりと作っていきます。
幼稚園コースは、年少、年中、年長、アドヴァンスの4つのクラス各15名で授業がおこなわれています。
*年少のみ定員は12名です。
3歳~4歳の年少クラスを見学させていただきました。
教室内に入るとカラフルな色が目に飛び込んできます。
広い教室内は、カラフルなカーペット、絵本コーナー、テーブル、先生の作業用の机、手を洗ったりできるコーナー、文房具などが収納されている棚と空間が機能的に区切られています。
また、生徒さんの作品とともにIBの学習者像(Learner Profile)も掲示されていました。
この日、幼稚園年少クラスの3歳の子どもたちは、8人が出席していました。
3歳~4歳の子どもにとって、サタデースクールは、いつも違う環境のため、普段より感情面でも揺れやすい状況です。
しかし、8人集まっているのですが、教室内は、おだやかで、子どもたちは静かにぬり絵をしていました。
先生は、子どもたちの横に座り、子どもの目線で話しかけます。
「○○君が、ここにこの色をつかったのはなぜかな?」
子どもたちは、先生を見上げるのではく、隣に話しかけます。
「○○だからだよ」
「なるほど。きれいに書けたね。ここはどうしてこの色を使っているの?」
先生と子どもたちが同じ視線の高さで授業が進んでいきます。
この幼稚園年少クラスでは、先生とティーチングアシスタント、幼児教育の実習生の合計3人が授業にあたっていました。
「こうして3歳~4歳の子供たちが、きちんと座って、授業を受ける。
例えば、ひとりが泣きだすとみんな感情的につられてしまう年齢です。
それを授業として成立させることができるのは、先生の手腕です。」
今回、授業見学を案内してくれた小路さんが説明をしてくれました。
大阪YMCAのサタデースクールは、本科の各学年が使っているクラスで行われています。
年少クラスも、いつも幼稚園の年少組が使っている教室で行われていました。
この教室では、英語の歌が流れ、子供たちはプレゼント用のカードを作っていました。
机でカードの塗り絵をしている子、カーペットの上で調べ物をしている子、先生とカードに付ける花飾りを作っている子がいます。
それぞれが自分のペースで、作業をしていました。
カードを塗り終わると、先生の所に行き、紙でカーネーションを作っていきます。
先生が紙でできたカーネーションのつぼみを渡し、作り方を教えていました。
「束ねてある先を広げて、折っていくと、花びらができるでしょ。
少し丸めるような感じでね。」
一枚ずつ、花びらを広げるようにやってごらん、と教えながら、教室内には英語の歌が流れています。
先生は、カーネーションの作り方を教えながら、曲のサビがくると韻を踏んだ歌詞を生徒とともに歌います。
元気な歌声が響く教室でした。
幼稚園年長クラスの今日の最後の授業を見学させていただきました。
「さあ、お友達とも来週までお別れだね。
授業の終わりにお別れの歌を歌うよ。
その後に、今週の本を選んでね」
年長クラスの生徒さんが先生とお別れの歌を歌い、貸出用の本を選んで、その後に、みんなでハグをしていました。
先生とハグ、友達とハグ。
いつも通っている学校とは違う世界。
毎週土曜日に会える先生、友達。
授業の言葉も、教室の雰囲気もまったく違う。
日常の延長で、インターナショナルスクールの世界に出会う。
それが、サタデースクールの良さだと感じます。
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この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。
体育館にもラーナープロファイルが掲示してありました。