2025年04月23日
SAPIX YOZEMI GROUPの国際教育関係部門は、「第11回グローバル教育講演会&国内外進学フェア」を開催しました。グローバルな視点で進路選択を考えるイベントを2部構成で開催しました。第1部では、ブラックストーン・グループ・ジャパン代表取締役の坂本篤彦氏が「踏み出そう、世界の舞台へ~未経験でもいいですか?~」と題し特別基調講演。坂本氏は慶應高、イェール大卒、ハーバード大MBA取得。現在は日本のプライベートエクイティ投資事業責任者として活躍しています。第2部では、国際教育部門の各担当者による個別相談会とミニセミナーを実施。
SAPIX YOZEMI GROUPの国際教育関係部門は、グローバルな視点で進路選択を考えるイベント「第11回グローバル教育講演会&国内外進学フェア」を開催しました。
SAPIX 代々木ホールで開催され、高宮信乃 SAPIX YOZEMI GROUP 国際教育事業本部長が「グローバル化時代の教育の意義」をテーマに登壇し、特別基調講演は、ブラックストーン・グループ・ジャパン代表取締役の坂本篤彦氏が「踏み出そう、世界の舞台へ~未経験でもいいですか?~」をテーマに登壇しました。
特別基調講演のブラックストーン・グループ・ジャパン代表取締役の坂本篤彦氏は慶應高、イェール大卒、ハーバード大MBA取得し、現在は日本のプライベートエクイティ投資事業責任者として活躍しています。
本記事では、講演内容をレポートにてお届けします。
高宮信乃 SAPIX YOZEMI GROUP 国際教育事業本部(以下、高宮氏):本日は日曜日の貴重なお時間に、こうして会場にお越しいただき、誠にありがとうございます。
今年で11回目を迎えるこの教育講演会では、常に変化する時代の要請に応じた教育のあり方や進路選択について、皆様と共に考えてまいりました。
本日は、世界有数の投資会社であるブラックストーン・グループ・ジャパンの代表取締役、坂本様をお迎えしております。
ブラックストーン社は、企業の成長を支援する投資や、不動産投資(例えばホテルを買収し、リフォームや新サービス導入で価値を高めるなど)、インフラ投資といった多岐にわたる分野で、世界経済に大きな影響を与えているグローバル企業です。
「グローバル企業」と聞くと少し遠い存在に感じるかもしれませんが、私たちが日常的に使っているiPhoneや、オンラインショッピング(Amazonなど)、自動車(トヨタなど)もグローバルな事業展開の産物です。
今や、国境を越えた協力(グローバルコラボレーション)なしには、イノベーションもサステナビリティも実現できない時代です。
例えば、医療分野では、世界中の研究者が協力して病気の治療法を開発しています。教育現場でも、異なる国の生徒たちがオンラインで繋がり、共にプロジェクトを進める機会が増えています。ビジネスの世界でも、様々な国の企業がパートナーシップを組み、新しい製品やサービスを生み出しています。
高宮氏:このようなグローバルな協力関係、すなわち「グローバルコラボレーション」が当たり前になった現代において、次世代を担う子どもたちが活躍するために必要なことは何でしょうか。
いくつか要素が挙げられますが、まず基本となるのは「英語力」です。
英語は、世界中の人々とコミュニケーションを取るための重要なツールです。
学校教育だけでなく、様々な場面で英語に触れる機会を持つことが望ましいでしょう。次に「主体性・行動力」です。
自ら考え、目標を設定し、それを達成するために行動する力。
どうすれば目標を達成できるのか、どうすればより良くできるのかを考え、それを習慣として身につけることが重要になります。そして「社会貢献への意識」も欠かせません。
近年、海外の大学入試などでは、学業成績だけでなく、社会的な活動への関与(ソーシャルインパクト)が重視される傾向にあります。世界の貧困問題、環境問題、SDGsといった課題に関心を持ち、自分に何ができるかを考える。
まずは身近な社会貢献活動から始め、世界との繋がりを意識するだけでも、大きな一歩となります。これらは、グローバル社会で生きていく上で、子どもたちが身につけていくべき大切な要素だと考えております。
本日は、坂本様のご経験や、卒業生のリアルな声を通して、皆様と共にグローバル教育について深く考えていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
坂本氏:おはようございます。坂本です。
本日はこのような大きなタイトルをいただき、どのようなお話をすべきか少々悩みましたが、まずは私の個人的な経歴と、なぜ留学を選んだのか、そしてその経験が今にどう繋がっているのかをお話しさせていただきたいと思います。私は教育者でも、教育関係の専門家でもありません。
たまたまご縁があって、本日この場に立たせていただいております。
ですので、あくまで一個人の経験談として、何か少しでも皆様の参考になれば幸いです。
少しキラキラした言い方をしますと、私は高校からアメリカに留学し、ペンシルベニア大学ウォートン校を卒業後、投資銀行を経て、現在ブラックストーンという投資会社で日本の責任者を務めております。ただ、こういう経歴をお話しすると、まるで最初から順風満帆な道が用意されていたかのように聞こえるかもしれませんが、決してそうではありません。
両親が特別な教育方針を持っていたわけでもなく、むしろその時々で悩み、つまずきながら、様々な人との出会いに助けられて、偶然今の道につながってきた、というのが正直なところです。何が正解かは分かりませんが、一つの経験としてお聞きください。
私はごく普通のサラリーマン家庭に育ちました。
中学までは日本の公立学校に通い、高校受験も経験しました。
当時は、まさか自分が海外の大学に行くことになるとは夢にも思っていませんでした。
高校に入学したものの、勉強についていけず、いわゆる「落ちこぼれ」の状態でした。
何をどう勉強すればいいのか全く分からず、途方に暮れていた時期があります。
そんな時に、二つの大きな出会いがありました。一つは、英語の山川先生。
もう一つは、中央大学での模擬国連活動です。
坂本氏:山川先生は、英語の面白さ、そしてその先にある広い世界を教えてくれました。
模擬国連では、様々なバックグラウンドを持つ大学生たちと議論を交わす中で、自分の視野の狭さを痛感すると同時に、国際的な問題への関心を深めました。当時、多くの同級生が大学受験に向けて勉強に励んでいましたが、私は「このまま日本の大学に進学して、本当にやりたいことを見つけられるのだろうか」という疑問を抱えていました。
皆が同じ目標に向かって努力している中で、自分だけが違う方向を向いているような感覚でした。
山川先生に相談したところ、「そんなに悩むなら、一度海外に出てみたらどうか」とアドバイスをいただきました。「悩む時間とエネルギーがあるなら、もっと違うことに使ってみろ」と。しかし、今から30年以上前です。
インターネットもなければ、留学に関する情報も乏しい時代でした。
どうやって学校を探し、どうやって出願すればいいのか、手探りの状態でした。たまたま父の知り合いがアメリカのワシントンD.C.に住んでおり、その方の家にホームステイさせてもらいながら、現地の高校に通うことになりました。
正直なところ、最初は英語もろくに話せず、授業についていくのも必死でした。
しかし、アメリカ社会、特に多様な文化が混在するワシントンD.C.は、私のような異分子を受け入れてくれる懐の深さがありました。高校には世界中から生徒が集まっており、多くは外交官の子どもたちでした。
彼らは非常に優秀で、自分の意見をしっかりと持っており、議論を戦わせることを楽しみます。高校2年生の11月頃になると、同級生たちは大学見学ツアーに参加し始めます。
私は「自分には関係ない」と思っていましたが、友人の一人が「一緒に行こう」と誘ってくれ、いくつかの大学を見学する機会を得ました。
その中で、ペンシルベニア大学ウォートン校のビジネススクールに強く惹かれました。「今まで自分が知らなかった世界、全く違うことをやってみるのも面白いかもしれない」と感じ、挑戦してみることにしたのです。とはいえ、学費の問題がありました。
両親に負担をかけるわけにはいきません。当時は日本のバブル経済が弾けた直後で、経済的にも厳しい状況でした。幸い、奨学金を得ることができ、なんとか進学にこぎつけました。
坂本氏:大学での学びは衝撃的でした。
特に印象に残っているのは、「あなたは何者で、何をしたいのか?(Who are you and what do you want to do?)」という問いを、常に突きつけられることです。
これは日本の教育ではあまり経験しないことかもしれません。
入学時、専攻を選ぶ時、就職活動をする時、人生の節目節目で、この問いと向き合わされます。
自分は何に価値を置き、何を成し遂げたいのか。それを深く考えさせられる経験は、非常に重要だったと感じています。アメリカの大学教育は、単なる知識の詰め込みではありません。
授業、課外活動、寮生活など、24時間すべてが学びの場です。多様なバックグラウンドを持つ学生たちとの交流の中で、異なる価値観に触れ、議論し、時にはぶつかり合いながら、人間として成長していく。生活のことから、考え方の違いまで、様々な経験を積み、失敗を乗り越える中で、人間的な強さが培われていくのだと思います。30年前、私が就職活動をした頃は、海外の大学を卒業した日本人はまだ珍しく、「英語が話せる」というだけで重宝される時代でした。
日本の企業がグローバル化を進める中で、海外経験を持つ人材は貴重でした。
しかし、今は時代が違います。単に英語が話せるだけでは十分ではありません。
グローバルな環境で、多様な人々と協力しながら成果を出せる人材が求められています。留学は、私にとって人生を変える大きなきっかけとなりました。
もちろん、これが唯一の道ではありません。
しかし、コンフォートゾーン(快適な領域)を抜け出し、未知の世界に飛び込む経験は、人を大きく成長させる可能性がある、ということをお伝えできればと思い登壇させていただきました。ご静聴ありがとうございました。
坂本氏の特別基調講演後にSAPIX YOZEMI GROUP 国際教育関連部門の卒業生を中心にトークセッションが開催されました。
SAPIX YOZEMI GROUP 国際教育関連部門では、国際教育の公開イベントを開催しています。
▽ 詳しくは下記の公式サイトよりイベント情報をご確認ください。
Y-SAPIX Global Campus – 未来を創るチカラは、世界で学ぶ。海外進学プログラム「Y-SAPIX Global Campus(YGC)」。
https://ygc.y-sapix.com/プログラム 入室テスト イベント YGCコラム Y-SAPIX Global Campus からのお知らせ 03月28日掲載 コラム更新【海外進学情報】TOEFL iBT ® 受験料改定 US$50減額に 03月12日掲載 受講生の合格実績を更新しました 03月07日掲載 コラム更新【Interviews with A
この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。