2025年11月27日
サレジアン国際学園小学校インターナショナルクラスは、2025年度入試で志願者が前年比220名以上増え、A日程2〜3倍、B日程8.1倍と高倍率でした。受験生の8割がプリスクール生や帰国生など英語環境の子どもで、英語未経験でも合格例がありました。入試では創造力、主体性、非認知能力が重視され、幼児教室未経験でも合格が見られました。「一条校×インター」の安心感、プリスクール生の増加、口コミの速さ、改革で知られる大橋学園長への期待、都心からの通いやすさが人気の理由として挙げられます。
B日程 8.1倍、星美学園から比較すると志願者は前年から220名以上増となりました。
その背景と受験生のリアルに迫ります
東京都の英語・国際教育系小学校の中で、今年ひときわ注目を集めたのが、2026年に開校するサレジアン国際学園小学校インターナショナルクラスです。
同校は一条校でありながら授業を英語で実施する「ほぼインター」として、先進的な教育を望む情報感度の高い保護者層から大きな注目を集めていました。
2025年10月に開催された国際教育フェアでも、開場から閉場まで長蛇の列が途切れず、その盛況ぶりから注目度の高さが伺えました。
インターナショナルスクールタイムズ(IST)編集部は、学校関係者への独自取材を通じ、2025年度入試の志願動向、受験生の背景、入試当日の様子を明らかにしました。
同校のインタークラスは、かつて本誌が最初に開校を報じた学校であり、1期生入試となる今年の入試で実際に何が起きたのかをレポートします。
まず驚くべき点は、サレジアン国際学園小学校全体(星美クラスを含む)の志願者数が、現時点ですでに前年から220〜230名増となっていることです。
私立小学校の志願者数は前年比20~100人増で大躍進とされる中、同校の志願者数の伸びは衝撃的な数値です。
その人気の理由として、以下のような複数の要因が考えられます。
一条校でありながら、「ほぼインター」として、確実な英語力と多様な価値観を育てられる点に高い評価が集まりました。
英語力のあるプリスクール卒園児にとって、私立小学校のインタークラスは、注目されてきました。
東京で急増しているプリスクール卒園児・帰国生にとって、英語環境を継続できる国内の学校として魅力的でした。
伝統的な日本の教育だけでなく、英語力と探究的な学びを組み合わせたい家庭が増えています。
子どもを世界で活躍できるように育てるという進路意識が広がっています。
サレジアン国際学園小学校インタークラスは、サレジアン国際学園中学校・高等学校に内部進学ができるため、12年間の国際系一貫教育も魅力です。
首都圏のプリスクールに通う家庭からは、
「国内でも英語で本格的に学べる学校が増えてきた」
「外国系インター以外でも英語力を伸ばせる学校がある」
という声も多く、今回の志願者急増は全国的な英語教育熱の高まりを反映したものと言えます。
人気ぶりは、倍率にも表れていました。
今年の同校の入試はA日程・B日程ともに活況でした。
A日程:2〜3倍
B日程:8.1倍
特にB日程8.1倍は英語系小学校としても極めて高い倍率です。
複数の保護者からは次のような声が聞かれました。
「A日程が難しく、B日程もさらに厳しい戦いでした」
「一般小学校より国際系のほうが倍率が高いのでは」
A日程で不合格でもB日程で合格したケースも確認されています。
インタークラスの特徴は、受験生のバックグラウンドです。
・プリスクール生・帰国生など英語環境の子どもが全体の8割
・日本語受験の一般生も約半数がプリスクール在園
ただ英語未学習でも合格例あり
プリスクール→英語系小学校という“英語導線”が一般化する中で、同校インタークラスはその選択肢のひとつとして多くの保護者に受け入れられました。
一方で、英語未経験の子どもも合格していることから、
「英語がゼロベースであっても意欲と能力のある子には門戸を開く入学者選抜」
が行われていることがうかがえる。
取材を通して、意外だったのは、幼児教室や受験対策を一切していない家庭の合格例も複数あったことです。
同校が重視していたのは、単なる受験スキルではなく、次のような力です。
・常識にとらわれない発想力・創造力
・未知の課題への対応力
・子ども同士のコミュニケーション
・集団を良くしようとするリーダーシップ
・新しい環境を楽しむ姿勢
特に、面接・ペーパー・グループ活動のすべてでクリエイティビティが問われていました。
複数の受験生・保護者への取材と学校関係者の証言から、以下のように試験について整理しました。
・ペーパー試験
年齢相応の理解力・思考力を問う一般的な小学校受験問題
お題に対して絵を描く創造性問題
国際生のペーパーはすべて英語で出題(外国人教員の読み上げ形式)
・グループ活動
英語の動画視聴 → 指示に従い絵を描く → グループ発表
絵のうまさではなく、創造性と表現力が評価
“わからない時どう行動するか”“他の子への接し方”など非認知スキルを重視していました。
・面接
子どもには自然な質問が中心
日本語受験の一般生は英語力ではなく英語への抵抗感がないかを確認し、国際生は英語力も評価されていたようです。
保護者には生活・言語環境・家庭方針を質問をし、やはり準備した回答よりも子どもの本音を丁寧に引き出していました。
IST編集部としては、以下の点が人気の理由と考えています。
1. 「英語+日本型教育」のハイブリッドが時代に合致
英語や国際性を伸ばしたいが日本の教育も受けさせたいというニーズ、伝統よりも実力重視の「考える力」を伸ばす教育が支持されたことに加え、中学進学の際に進路の幅を狭めることのない「一条校」という安心感もあったとみられる。
2. 帰国生・プリスクール生の増加で英語受験生が急拡大
東京だけでプリスクール300園超という状況が追い風となりました。
英語力のある幼児が小学校選びで、英語で学び続ける学校を待望していた、と考えています。
3. 情報共有のスピードが速いコミュニティ
同校のインタークラスの情報は、IST編集部が単独で公開したのですが、プリスクール・インター園のご家庭は感度が高く、口コミが一気に広がりました。
4. 将来性のある「大橋ブランド」
大学入試改革・海外大学進学・海外での就職など、将来に可能性を大きく広げる低年齢からの英語教育の価値が注目されている。
特にサレジアン国際学園は、広尾学園・三田国際科学学園の改革を成功させた大橋学園長が現在改革を手掛けている学校で、年々中学の入試倍率が上がっている。
サレジアン国際学園小学校インターナショナルクラスは、 大橋学園長が手掛ける初めての小学校ということで、中学受験の情報にも詳しい保護者や海外進学にも目を向けている保護者からも非常に注目を集めていた。
5. 都心からのアクセスの良さ
都心から電車一本、空いている下り電車で通える立地
学校によると港区・中央区・千代田区・渋谷区といった都心エリアからの受験生が多かったという。サレジアン国際学園の位置する赤羽は、東京メトロ南北線・京浜東北線・埼京線が通り、空いている下り電車で通うことができる。
東京都心に住む教育熱の高い家庭にとって、実は通いやすい穴場的な立地であった。
A日程・B日程入試を終え、インタークラスではこのあと帰国生対象の入試が1回実施される予定です。
今回の倍率高騰を受け、帰国生入試も高い注目を集めると考えられます。
なお、次年度の新1年生より上の学年の開設予定はないそうです。
そのため、本格的な開校を迎える次年度以降はさらに倍率が上がることが予想されます。
2025年度のサレジアン国際学園小学校インターナショナルクラス入試は以下の特徴がありました。
志願者220〜230名増
A日程2〜3倍、B日程8.1倍
受験生の8割が英語環境
英語未経験でも合格例あり
幼児教室ゼロでも合格例あり
英語教育が「授業で行う教科」から「学校生活の標準環境」へ変わりつつある時代の象徴でもあります。
本誌では今後も、サレジアン国際学園小学校の動向、合格者の特徴、入学後の学びについて継続的に取材を続けていきます。
この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。