2014年05月26日
神戸のカネディアン・アカデミイで、小・中学生・高校生向けITキャンプが実現。 小学生を対象としたITキャンプを運営するTech Kids CAMPと中学生・高校生向けITキャンプのLife is Tech!がカネディアン・アカデミイとコラボレーション。
神戸のカネディアン・アカデミイで、小・中学生・高校生向けITキャンプが実現。
小学生を対象としたITキャンプを運営するTech Kids CAMPと中学生・高校生向けITキャンプのLife is Tech!がカネディアン・アカデミイとコラボレーションしたITキャンプです。
ITキャンプは、オリジナルアプリやゲーム制作を通し、子どもたちにプログラミングやデジタルのモノづくりを楽しく学ぶ教室です。
今回、インターナショナルスクールで開催されるため、さらに一歩踏み込んだ英語で楽しく学ぶ「英語×ITキャンプ」ができました。
「英語」と「ITキャンプ」で、子どもたちはどのように伸びていくのでしょうか?
渋谷のサイバーエージェント本社でTech Kids CAMP 代表上野 朝大さん
Life is Tech!松井晋平さんにお話をお聞きしました!
―――タイムズ(村田):神戸のインターナショナルスクールカネディアン・アカデミイでITキャンプが開催されました。これまで日本語でITキャンプやスクールを運営されてきました。
「英語」で教えるため、プログラムに手を加えたことはありますか?
また、英語で学ぶメリットなどはありますか?
松井:そうですね。「日本語」から「英語」で学ぶためにプログラム自体に大きく手を入れてはいません。もちろん演出は色々と新しい事を取り入れていますけど。
インターナショナルスクールで、教えることは実は、初めてではないんです。
カネディアン・アカデミイでは、以前、無料体験会をおこなったことがあり、その時の経験もあります。また、ITキャンプを英語で教えることにあまり高いハードルがないですね。
―――タイムズ:なぜですか?
松井:プログラミング言語は、英単語と数字で構成されています。
そのため、英語でプログラムを学ぶことに特別な壁があるわけではないんですね。
実際英語がわかる参加者の方が、理解が早かったりもしますし。
プログラムを学んでいくと自然と英語を使っていくんです。そうですね。例えばApple向けのアプリを作って公開するためには、米国のApple本社の開発者登録するのですが、その登録ページが英語なんですよね。
その長い英文を読みながら登録にこぎつける。
プログラムを社会に出していくためには、英語が自然と必要となってくる場面が多いんですよね。
小学生を対象としたITキャンプのTech Kids CAMP
松井:やはり「IT関係の最先端の情報が欲しい!」となると自然と英語で書かれているサイトにたどり着きます。
情報量も圧倒的ですし、やはり英語が出来た方が便利だね、となります。
特別、「英語」という意識はないのがプログラミングの世界だと思います。
中学生・高校生向けITキャンプのLife is Tech!の授業風景
―――タイムズ:英語とITは、意味合いは違っても言語として組み合わせが良いのですね。
上野:そうかもしれないですね。
今回のITキャンプの申込みでも、インターナショナルスクールに通っているお子さんを中心に、外国籍や帰国子女の方など、かなり英語力のあるお子さんが多数申し込んでくれました。
予想以上で、びっくりしています。
―――タイムズ:タイムズ:現在、3日間などの短期集中のITキャンプ以外に、通学型のITスクールもあります。ITスクールには、どのような生徒が通っていますか?
Life is Tech!松井晋平さん
松井:プログラミングというと、男の子が多いと思われがちですが、女の子も多くなってきましたね。
上野:小学生の場合(Tech Kids CAMP)では、4・5年生が中心に約250人の生徒が通っています。
そのうち25%前後が女の子ですね。松井:中高生が対象のうち(Life is Tech!)では、約150人のメンバー(参加者)のうち、35%前後が女の子です。
―――タイムズ:女子率が高いですね。参加する女の子は、いわゆる「コード女子」「リケジョ」が多いのですか?
松井:それが、そうではないんです。
もちろんプログラムに興味がある子、純粋にPCが好きな子もいます。でも新しいものが好きだったり、好奇心が高い子もいます。
一概にはいえませんが、女の子のほうが「こんなアプリがほしい」「自分で新しいサービスを作りたい」だからプログラミングを学びたいという子が多いと思います。
上野: 小学生に関して言えば、まだ学校でも文系・理系と区別の無い時期です。
逆に言えば、「僕は・私は文系だから向いてない、出来ない」というステレオタイプもありませんので、純粋に「パソコンを使ったデジタルのモノづくり」として楽しんでくれていますね。
―――タイムズ:英語とITは、意味合いは違っても言語として組み合わせが良いのですね。
松井:コードがかけるとカッコいいんですよね。
作りたいサービスや作品のために自分でプログラムをどんどんとかいていく。他の参加者の子も、あんな風になりたいなってなりますよね。そういったヒーローがいると他の子もすごく伸びます。
―――タイムズ:今はプログラミングのコードなんですね(笑)。
―――タイムズ:キャンプやスクールで教えてくれる大学生のメンターですが、やはり、理系の学生が多いのですか?
松井:そうですね、情報系の学部や理工学部や工学部の生徒が中心ですが、経済学部、教育学部や文学部の学生もいますよ。
―――タイムズ:メンターは、どのような視点で採用しているのですか?
上野:このメンターになるには技術力はもちろん必要ですが、重要なのはやはり人間性です。
子どもたちにいかに上手に教えられるのか?は、優れたプログラミングとはまた、別の力です。
ほとんどの子どもがプログラミングは初めてという中で、子どもたちをリラックスさせ、場を盛り上げ、やる気を引き起こしてあげることが重要になってきます。
Tech Kids CAMP 代表上野 朝大さん
松井:そうですね、なのでコミュニケーション力は大事ですね。
上野さんが言うようにITスキルだけではなく、重要なのは、参加者とどのくらい高いコミュニケーションがとれるか、です。
―――タイムズ:メンターはどのように子どもたちに接するのですか?
松井:そうですね。メンターは、親や学校の先生、もちろん同級生でもない「ナナメ」な関係性があると思います。
親や先生方との関係性がタテなら、同級生はヨコ。
メンターは、そのナナメのポジションにいる。
このナナメの存在感が重要だと思っているのです。
―――タイムズ:具体的にどんな感じですか?
松井:そうですね。例えば、進路の話ですね。
大学生のメンターが参加者の子に話していたのですが「どこの大学に行きたいかじゃなくて、学びたい研究室の先生を探し出すんだよ」ってのは良い関係だな、と思いましたね。
学校の先生や親が言うより説得力ありますよね、つい最近受験した先輩。
そして同級生の友達に相談してもそういった答えはかえってこない。
大学生のメンター自身、どのような学生生活をしているのか、何がおもしろいか、など直に訊けます。また、今やっている研究なども直接、訊けますから、かなり進路にダイレクトに響くやり取りをしていますね。
松井:メンターは、子どもたちの進路に少なからず影響を与えるので、彼らもかなり意識していると思います。
彼らは尊敬されて、目指すべき像、身近なヒーローになるんですよね。
そして参加者の子が育ってくると、教えてる側のメンターはもっと頑張って勉強して高いレベルで教えてあげようってなる。そうすると、また参加者の子が伸びる。
こうやって良いサイクルが生まれて、常に高いレベルでの教育を届けられてるのかなと思います。
カネディアン・アカデミイで開催されたITキャンプ
会場となった神戸のインターナショナルスクール「カネディアン・アカデミイ」小学部でICT教育を担当する茂田可愛さん。今回のITキャンプを実現させた立役者のひとりです。
―――タイムズ:短期集中のITキャンプは、スキルを習得する、メンターとの出会いがあります。
そのなかで、茂田先生がITキャンプとコラボしたいと思った最大の理由は何だったのでしょうか?
茂田:本当に自分が好きなものを作れる喜び」を本校の子供達にも体験してもらいたかったのが一番の理由でしょうか。
本校では3年生から一人一台ラップトップ・プログラムを数年前より導入し、リサーチから発表まで様々な学習場面でITを活用しています。ですが、ITで自分達の生活を良くしてくれるもの、自分達が遊んでみたいと思う楽しいものを「デザインする」という活動は授業内ではまだほとんど出来ていません。
小学部はPYPスクールであり、探求型でユニットが成り立っています。
子供達が自らプログラミングやゲームデザインをプロジェクトとしてやりたいと言う事があります。
茂田:そんな時に、Life is Tech!さんの大阪で開催されていたiPhone無料アプリ体験会を見学させて頂く機会があって、これが本当に「digitally literateになる」って言う事なんだと 強く感じたのがきっかけです。
―――タイムズ:CAの生徒さんも多く参加されました。短期集中のITキャンプと学校のITの授業では、生徒が伸びるポイントが違うのでしょうか?また、ITキャンプ後、生徒に変化はありましたか?
茂田:テクニカルな部分は目標としている所が違うので、比べる事は難しいのですが、ITキャンプでは、参加者が自分で問題を解決しようという姿勢を持ち、積極的な態度で、かつとても楽しそうに課題に取り組んでいる所でしょうか。
学校では、授業時間の兼ね合いもあって、「こんな問題が起こるかもしれないから、それはこうやったら解決できるよ」という事を予めIT教員が想定して、示す事があります。
問題が多発した場合に、子供や担任の負担を考えるとチャレンジングなプロジェクトを与える事に躊躇してしまうのが現実です。
ITキャンプの場合、問題が起こるのが前提になっています。まず自分で考えて、メンターさんにそれをちゃんと説明し、順序立てて対処していかないと先に進む事ができません。
茂田:驚いた事に、小学生の子供達に何を作ったか聞いてみると、それぞれの苦労話をまず楽しそうにしてくれるんです。
大人はプロダクト(作品)にばかり目が行きがちですが、子供達にとってはプロセスも大事だという事が再確認できたのではないでしょうか。
ここは本校でも大事だと思っていますので、プロジェク型のIT活動等を授業でも取り入れていけるようにとこれまで以上に教員のほうが試行錯誤しています。
―――タイムズ:ITキャンプとCAの授業が、相乗効果を生みだすとしたらどのような点でしょうか?意欲でしょうか?プログラミングへの興味でしょうか?作品の制作というテクニックでしょうか?また、どのような生徒がITキャンプで伸びましたか?
茂田:効果は十人十色だと思います。
本校からの参加者全員にキャンプ中にインタビューを試みたのですが、印象的だったのはそれぞれが全く違う感想を話してくれた事です。プログラミングはほぼ初めてという子にとっては、自分を表現する新たなツールを持てたという自信になったと思います。
みんな、習得したテクニックの事よりも、むしろ達成感や、やりがい、新たに生まれた課題について話してくれました。
ITを駆使して自分のアイデアを形にしていく能力が、今の子供達にはどんどん問われてきています。
学校でのComputing/ICTの基礎的な学習(ツールやデジタルシチズンシップ)と、キャンプ等での応用的な学習の両方が必要だと思っています。
強いて言うなら、学校ではもっとインプットを、ITキャンプ等ではそれを活用した、もっと質のいいアウトプットをする機会をどんどん与えて行く事が大切だと感じています。
―――タイムズ:実際にITキャンプを開催されて、予想以上に反応があった、成功したな!と感じたポイントはどこですか?また、参加者・保護者の反応はいかがでしたか?
茂田: 今回は小学4年生以上の生徒を対象にしていましたが、3年生以下の子供を持つ保護者の方々からの問い合わせがたくさん来て驚きました。
私の念願が叶って、普段のITキャンプには言語等の問題があって情報も来ない、参加もできないインターナショナルスクールの子供達にも門戸を開いて頂く事ができたのが一番の成果です。
実施のために、テキストの英語化、バイリンガルのメンターの確保など、様々な要望にも応えて頂きました。
また、日本語以外を母語・学習言語とするインターナショナルスクールの子供達が、日本の学校から来た子供達とチームを組み、ゲームをしたり、協力しあったりと、素晴らしいコラボレーションを見る事ができたという意見も頂きました。
普段はあまり交流のない所に新しい風を吹き込んで頂いたと思います。
―――タイムズ:ITキャンプとコラボして、これはおもしろい、ぜひ授業の参考にしたい、とおもったところがあったら教えてください。
茂田:メンターと参加者のチームワークでしょうか。ほぼ初対面の子供達を仕切り、動機付けし、励まし、一緒に遊び、そして一緒に学んでいた所が印象的です。
本学は幼稚園〜高等部までの一貫校なので、学内でのITメンターシステムも実は存在します。
それをもっと活用して行ければ、相互に学ぶ機会がもっと増えるのでないかと、期待しています。
それには、指導する教員同士の意思疎通と、スキルもあげていないとなりません。
―――タイムズ:最後に茂田先生が生徒さんだったとしたら、どのコースを選んでいましたか?その理由も教えてください。
茂田:悩まずにiPhoneアプリ開発コースです。
私は言語学のバックグランド(日本語教育)があるので、外国語として日本語を学習する子供達が楽しく学べるアプリをたくさん作りたいです。英語のものはたくさんあるのですが、日本語学習で子供用のものはあまり数がありません。
もし日本語教師の職に戻る時があれば、きっとそれができている予定です!
―――タイムズ:茂田先生ありがとうございます!
―――タイムズ:実際にカネディアン・アカデミイでITキャンプを行って上野さん、松井さん。手ごたえはいかがでしたか?
上野:通常行っているキャンプと同じく、プログラミングを体験してもらうにあたっての支障は全くありませんでした。
むしろ、インターナショナルスクールではMacbookを学校で利用しているところなどもありますので、PCの操作に慣れているという点では、今回の方がスムーズだったかもしれません。
最も印象的だったことは、キャンプ最終日に実施したプレゼンテーションです。
発表言語が英語だったということも関係があるかもしれませんが、インターナショナルスクールの生徒たちの堂々としたプレゼンの姿には驚きました。
普段からShow&Tellなどに取り組んでいるためか、プレゼン慣れしていて、内容も発表態度もとてもしっかりしていましたね。
生徒たちにとランチの上野さん
上野:Tech Kids CAMPでは、「作品をつくるだけでなく、それを発信すること」をとても大事にしています。
どういう考え・アイデアに基づいて、どんな作品を創ったのか。
工夫した点はどこで、どういう点を見て欲しいのか。そういったことを自分から発信できるようになることがとても重要だと考えているので、インターナショナルスクールの生徒たちのプレゼンは、我々が育てたいと思っている子どもの姿と重なりました。
プレゼンに聞き入るキャンパーたち
松井:手応えはすごくありましたね!
まずは日本の学校とは建物、教室など全ての作りが全く違うので、ほとんど異世界に来たような感じなのは凄くいいですね。本当に国内で海外に来たような感覚です。色んな所に英語のポスターとかチラシとかたくさん貼ってあったり。教室も日本の学校だったら生徒にクラスの教室があるじゃないですが、そして先生が職員室から移動して授業する。
でもインターの場合は先生が部屋を持っているんですよ、だから生徒が移動する。
先生は自分の部屋があるから、自分の教え方に適した教室作り、環境を整える。すごく理にかなってますよね。
あと実は参加者全員にサングラスを配ったんですよ。
サングラスをかけて、にっこり。
松井:日本の子って英語で表現するの恥ずかしがったりするじゃないですか、そのハードルを少しでも下げようと。これが予想以上に良かったですね(笑)
―――タイムズ:おもしろい発想ですね。サングラスをはじめ、印象に残ったエピソード、おもしろかったと感じたことがあったら教えてください。
松井:たくさんあるんですけどね。その中でも、ものすごく印象に残った参加者の言葉があるんですよ。
キャンプ最終日、全てのプログラムが終わった後の夜に家に帰ってからだと思うんですけど、Twitterでこんなこと呟いてたんですよね。高校2年生の女の子なんですけど
「英語でプレゼンだと棒読み感あんまないしおもいっきしやれるね!!( ˆoˆ )/」って。これってすごい気づきじゃないですか?普通に考えれば英語での発表は恥ずかしいってなるんですよ、多くの日本の子が。英語を表現するのを恥ずかしがったりする多くの子にこの事を伝えてあげたいですね。
あとはみんなで作ったこの動画ですね(笑)
インターの環境も、僕らの雰囲気もわかりやすいです。
小学生を対象としたITキャンプを運営するTech Kids CAMP、中学生・高校生向けITキャンプのLife is Tech!では奨学金制度を開始。
プログラミングを学びたい、デジタルでのモノづくりをしたいという意欲の高い生徒に対し、積極的な支援をしています。
奨学金制度の背景には、IT業界における技術者不足、IT人材の早期育成の必要性があるようです。
21世紀を担う子どもたちがプログラミングを学び、自らのアイデアを自らの手で形にする体験は、子どもたちが自ら働きかける姿勢を養います。
小学生を対象Tech Kids CAMPの奨学金制度
詳しくは、こちら http://www.cyberagent.co.jp/scholarship/
中学生・高校生を対象 Life is Tech!の奨学金制度
詳しくは、こちら http://life-is-tech.com/scholarship/
松井:Life is Tech!は、開始して4年が経ちます。
今年は、デザインやメディアアートコースなど4コースを新たに作りました。意識したのが、デザインができる子を育てること。
デザインというとセンスだと思われがちですが、実は、ルール。
配色やユニバーサルデザイン、見やすい比率などルールがあります。4年間やってきてプログラミングが出来る子はだんだん増えてきたんですが、明らかにデザイン向きの子をしっかりと育ててあげることが出来てなかったんですよね。
アプリやサイトを作る時にデザインを知っているか?否かでだいぶ違います。
本当に最後の最後のこだわり、デザインで大きく作品は変化するんですよね。
そこで、デザインを習得できるようなコースを作りました。
―――タイムズ:デザインのルールを知っておくと、作品も作りやすくなりますね。
―――タイムズ:10年前になかったiPhoneやTwitter、FaceBookなどITは、時代の変化が速い分野です。
それに対し、学校教育は対応しきれていないように感じますが、どのようにお考えですか?
松井:現在、多くの学校でスマホを持込禁止・利用禁止にしよう、と話題になっていますね。
これは、時代に退行しているんじゃないか、と思います。ITリテラシーという視点からするとこれほど逆行している現象はないんじゃないか、と思いますね。
―――タイムズ:教育現場で、PCもiPadも良くても、「スマホはご法度」みたいな風潮がありますね。
松井:なぜ、ここまでスマホが普及しているのか?
そこには、社会を便利にする要素があったからだと思います。便利だから生活に密着して普及している。
TwitterもFace BookもLINEも便利だから、みんなに支持されているわけです。
いくら学校で禁止にしても、こんだけ普及してるんだから…正直な話し使っちゃいますよね。
ならば、ポジティブに上手く使う方法を考える方がよっぽど現実的ですよね。スマホを有効活用する方向を探せるのではないでしょうか。
―――タイムズ:学級通信もFaceBookページで作成すると保護者もスマホから見れて、先生も印刷する手間も省けて楽かもしれないですね。
日本の学校では、スマホを持ち込み禁止にする例が出てきました。インターナショナルスクールのカネディアン・アカデミイではどうなのでしょうか?
タイムズ:カネディアン・アカデミイでは、スマホのルールなど決めていますか?
茂田:全校で、スマホを学内に持ち込むのは許可されています。
小・中等部では、放課後まで子供達のバックパックや、ロッカーの中に入れておく事決まりになっています。
一人一台ラップトップを持っていますし、図書室からiPadも貸し出せる事になっていますので、今の所、子供達のスマホを授業に使っているという報告は聞きませんね。
最近では1-to-1(一人一台)を超えて、2-to-1(ラップトップに、タブレットやスマホを活用)に近いインターナショナルスクールも増えて来ていると聞いています。
うまく活用する可能性はあると思います。
松井:たとえば、都内のある女子校では、積極的にITを使っていこうとしています。
やはり、便利なんです。ITキャンプやスクールでも、保護者の方に事前に了解をいただいてFace Bookページを毎回作っています。
参加者も北は北海道から南は九州まで、オンライン講座では海外からも参加者がいるので、このFace Bookページが威力を発揮します。子どもたちは情報交換だけではなく、自分が作ったアプリについてみんなの意見を募ったり、そこにメンターも入って、みんなでさまざまな知識を共有していく仕組みができています。
画像や動画も共有できるし良いですよね。
―――タイムズ:キャンプ終了後も、一緒に成長できる仕組みですね。でも、ほんの5年前は、今みたいにFaceBookもありませんでした。ITのソフトとハードの変化、スピードは速いのですが、ITを教える側として、今後どのように対応されていきますか?
上野:OSなどソフトウェアのアップデートが頻繁で、ちょっと困ることもありますが(笑)大きな変化は技術的なものも含め、一気に変わるわけではないと思います。
iPhoneなどIT製品は流行りがありますが、ITキャンプで学ぶのは、プログラミングです。
プログラミングは、それ自体が製品ではなく、製品となるソフトウエアを動かす「原理」です。
が、原理であるプログラミング自体がなくなることはないと考えています。プログラミング言語にも勿論流行はありますが、一気に変わるものではないので、社会や時代の変化に合わせてITキャンプやスクールの内容もキャッチアップしていきます。
松井:僕らも同じです。
プログラミング言語の変化があっても、それ自体なくなることはないと考えています。
―――タイムズ:ITを含め、学校教育が社会の変化に対応できていないように思います。どのようにお考えですか?
松井:そうですね、私達がやっているITキャンプ・スクールは、現在の教育がカバーしきれない部分を担っていると思います。
たとえば、国語・算数・理科などとは違う学習です。繋がりはたくさんあるんですけどね。
現在の教育制度は、明治時代に原型ができましたが、時代にキャッチアップできない部分があります。ITのように必要になった分野があれば、もうやらなくてもいいという変化もあったはずです。
その仕切り直しが必要ですし、それができていないのだと思います。ITキャンプが担っているのは、学校教育で取り込めていない必要な知識だと思います。
―――タイムズ:最後に、今後、ITキャンプ・スクールでどのような教育を目指していますか?
上野:自分から社会に利する人を育てたいと思っています。
子どもたちが目的を持ち、そこに向かっていく教育を創っていたい。
ITキャンプは、自分で考えたアイデアを、試行錯誤を繰り返しながら形にし、実現していくというプロセスを体験してもらうキッカケであり、スクールはそのための力を身に着けてもらう場所です。21世紀を生き抜く上で必ず必要となる「自ら考え、自ら実現する」力を養っていきたいと考えています。
松井:中高生の可能性を最大限に引き出してあげる。本当にこれしか考えてないです。より多くの中高生へそのきっかけと、環境を時代に合わせて届けてあげたいです。
それも教育×エンターテインメントというカタチで届けたいです。
勉強って、机に向かってカリカリみたいな感じじゃないですか。でもそうじゃなくて、楽しくみんなとワイワイ過ごしてたら気づいたら出来るようになってた!くらいの教育環境を作って行きます。
英語もITも、使いこなせると表現力も情報量も何十倍にもなる。
少しでも多くの中高生に届けてあげたいですね。
松井さん、上野さんありがとうございました。
IT業界自体にヒーローを生みだそうとする「ITドラフト会議2014」。
プログラミング業界のヒーローを生みだそうとする試みです。
Google、サイバーエージェント、リクルート、DeNA,クックパッドなどそうそうたる球団ならぬ企業が獲得に名乗りをあげています。
プログラマーで有名な灘高出身のTehuさんなど候補者になっています。
「ITドラフト会議2014」は、「ドラフト会議」で数々のドラマをうみだしてきた品川プリンスホテルで開催。
Uストリームでは、実況解説もありました。
「教育を変える」ためには「おもしろく」「楽しい」という視点と社会で活躍できるという視点があります。
ITドラフト会議の模様はこちらをご覧ください。
詳しくはこちら http://life-is-tech.com/draft/
ITキャンプの良さ。それは、学校とのコラボにあります。
今回のカネディアン・アカデミイのように一緒にコラボレーションすることで、プログラミングを学びたい生徒・保護者に選択肢を提供できます。
学校関係者は、ITキャンプを積極的に活用したいですね。
お問い合わせは、小学生向けITキャンプ・スクールは、Tech Kids CAMPへ。
中学生・高校生向けITキャンプ・スクールは、Life is Tech!へお問い合わせください。
【編集後記】
「ITキャンプで、成長するのは子どもたちだけではないんです。メンターも共に育っていくんですよ」と上野さん、松井さん。
今後、ITキャンプで学んだ生徒が学生になって、メンターとして参加するサイクルがさらに強くなっていきそうです。
今回、インタビューに応じていただいた上野さん、松井さん、茂田先生ありがとうございました!
【運営会社】
Life is Tech(株)
東アジア初のGoogle RISE Awardsを受賞するなど、中・高校生のためのプログラミング教育、日本におけるICT教育の普及に貢献している。
Canadian Academyでも昨年の5月に無料のiPhoneアプリ開発ワークショップを開催した。
(株)CA Tech Kids
2013年5月の設立後、これまでに述べ2000名以上の小学生にプログラミング学習の機会を提供。
運営する小学生向けプログラミングスクール「Tech Kids School」では、小学校2年生から6年生まで、合わせて250名を超える小学生がプログラミングを学んでいる。
この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。
そこで、Tech Kids CAMP 代表上野 朝大さん、Life is Tech!松井晋平さんに渋谷のサイバーエージェント本社で、お話をお聞きしました。