2016年07月20日
海外駐在員サービスのマーサーは「2016年世界生活環境調査‐都市ランキング」を発表しました。今年の調査によると、昨今の安全保障問題や社会不安、地域経済の見通しに対する不透明感はあるものの、多くのヨーロッパの都市が都市ランキングの上位にランクインする結果となりました。
マーサーは、多国籍企業やその他の組織が、駐在員を海外に出向させる際の報酬を公平に決定する基準となる、「世界生活環境調査」を毎年実施している。
海外駐在員が暮らしやすい都市ランキングを海外駐在員サービスのMERCER(マーサ)が発表。
それによると海外駐在員が住みやすい都市としてオーストリアのウィーンが7年連続の1位を獲得。
2位にチューリッヒ、3位にオークランド、4位にミュンヘンが続いている。
シンガポールがは、世界都市ランキングの26位でアジアトップ。
東京は、アジアの第2位。シンガポールに抜かれているのが残念ですね。
中東・アフリカではドバイが(75位)にランクイン。
ウルグアイの首都モンテビデオ。ウルグアイは、南米のスイスと呼ばれ、政治・経済など南米で安定した国と評価されています。
調査項目は、下記の10カテゴリーを調べています。
1、政治・社会環境(政情、治安、法秩序等)
2、経済環境(現地通貨の交換規制、銀行サービス等)
3、社会文化環境(メディアの利用、検閲、個人の自由の制限等)
4、健康・衛生(医療サービス、伝染病、下水道設備、廃棄物処理、大気汚染等)
5、学校および教育(水準、およびインターナショナルスクールの有無等)
6、公共サービスおよび交通(電気、水道、公共交通機関、交通渋滞等)
7、レクリエーション(レストラン、劇場、映画館、スポーツ・レジャー施設等)
8、消費財(食料/日常消費財の調達状況、自動車等)
9、住宅(住宅、家電、家具、住居維持サービス関連等)
10、自然環境(気候、自然災害の記録)
多国籍企業において、赴任先にかかわらず駐在員およびその家族が持つニーズを満たすことは、人材のリテンション(引き止め)と採用戦略上、不可欠
海外からの駐在員の一番の心配事。
それが「教育」。
そのため世界都市ランキングでも、学校・インターナショナルスクールの有無が採点されています。
ちなみに世界的な組織といえば、国連。
国連にもインターナショナルスクールがあります。
グローバルに活躍する国連職員の子どものためのインターナショナルスクールです。
国際機関の国連にもインターナショナルスクールがあります。
世界から集まる国連職員の子どもたちが通っています。
この国連インターナショナルスクールも、国連の職員の福利厚生。
国際機関が集まっているウィーンだけあって、インターナショナルスクールもたくさんあります。
182万人の人口のウィーンには、下記の3校と各国系のスクールもあります。
インターナショナルスクールは、
・Danube International School
・International Christian School of Vienna
・Vienna International School
アメリカ系インターナショナルスクール
・American International School
フランス系インターナショナルスクール
・Lycée Français de Vienne
人口180万人前後の都市は、国内では札幌が同じくらいの人口です。
札幌には、北海道インターナショナルスクールがあります。
代表的なインターナショナルスクールをピックアップしました。
・International Baccalaureate schools in Singapore
・International Community School
・Stamford American International School
・Tanglin Trust School (TTS)
・United World College of South East Asia (UWCSEA)
・SJI International School (SJII)
・American international schools in Singapore
・Canadian International School (Singapore)
・GEMS World Academy (Singapore)
・Australian International School Singapore
・EtonHouse International School
・International School Singapore
・Avondale Grammar School Singapore
・Nexus International School Singapore
・Chatsworth International School
・Dover Court International School
世界大学ランキングではアジアのトップ大学は、シンガポール国立大学です。
シンガポール人にもインターナショナルスクールの教育を解放したため、一気にインターナショナルスクールが普及し、アジアでトップの教育水準になりました。
その象徴が、東京大学を抜いたシンガポール国立大学といえます。
(タイムズ・ハイアーエデュケーションの世界大学ランキング)
・The Christian Brothers of Ireland Stella Maris College
・The British Schools of Montevideo,
・ St.Brendan´s school
・Lycée Français de Montevideo
日本では、東京が最高位(44位)となり、神戸(46位)、横浜(49位)、大阪(58位)がそれに続く結果
世界都市ランキングを作成ているのが、マーサという海外駐在員のためのサービス会社。
この会社の世界都市ランキングは、いわゆる「赴任手当」の計算のもとになっています。
海外駐在中は、本国で生活していた環境に近くするために、赴任手当があります。
不便な分、会社や組織が負担しています。
海外赴任は、日本人も外国人も同じ問題を抱えています。
家族や収入、昇進のことを考えて、海外に行きたがらない社員が多い
治安が安定していない国や病気の蔓延している国等に行く時は当然ながらそれらのデメリットを補うに十分な手当
東南アジアだと、一軒家、メイド、運転手付き
東京は、アメリカンスクール・イン・ジャパン、聖心インターナショナルスクール、清泉インターナショナルスクール、セントメリーズインターナショナルスクール、アオバジャパンインターナショナルスクール、K.インターナショナルスクール、カネディアン・インターナショナルスクール、東京YMCAインターナショナルクスクール、ニューインターナショナルクスクールなど幼稚園から高校まで教育課程があるインターナショナルクスクールが多くあります。
・カネディアン・アカデミイ:幼小中高(国際バカロレア一貫校)
・マリスト・ブラザーズ:幼小中高(マリストスクールの一校)
・聖ミカエルインターナショナルクスクール:幼小中(イギリスのカリキュラム)
・神戸ドイツ学園/ヨーロピアンスクール:幼小中(ドイツのカリキュラムと国際バカロレア)
4校とも見事にカリキュラムも違います。
・サンモールインターナショナルクスクール:幼小中高(国際バカロレア、フランスのカリキュラム)
・横浜インターナショナルクスクール:幼小中高(国際バカロレア一貫校)
・(2000年に廃校)セント・ジョセフ・インターナショナル・カレッジ:幼小中高(男子校)
サンモールインターナショナルクスクールは、日本で最古のスクールです。
横浜インターナショナルクスクールは、ヨーロッパ系の生徒が多く、国際バカロレアの認定校として世界で二番目に古いインターナショナルクスクールです。
セント・ジョセフは、残念ながら廃校になりましたが、横浜地域で唯一の男子校でした。
海外からの駐在員が住みやすい東京・神戸・横浜。
駐在員が住みたい街には、インターナショナルクスクールが教育インフラとして整備されている、といえます。
日本人も家族と共に海外赴任する場合「日本人学校」や「インターナショナルクスクール」がない海外の都市に赴任するはちょっと考えてしまいますね。
イラクのバクダットが、海外からの駐在員が最も住みにくい都市としてランキングされています。
229位には、中央アフリカ共和国のバンギ、228位にはイエメンのサナアがランクインしています。
どちらも保安・安全・衛生面で課題があります。
世界都市ランキングから見えてくるもの。
それは、インターナショナルクスクールが教育インフラとして世界でニーズがあることだけではないようです。
都市ランキングの230位になったバクダットが示すこと。
それは、駐在員だけではなく、すべての子どもにとって、平和で笑顔で学べる環境が一番重要といえます。
この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。
ステラ・マリスカレッジ