2016年06月26日

早期英語教育で気になる母語の話

幼児期に複数の言語を学ぶとどの言語も年齢相応の言語能力が身につかない状況を「ダブル・リミテッド」と言います。幼い頃に2つの言語を学ぶことで、それぞれの言語についての習得が遅れてしまうという指摘です。プリスクールやキンダーガーテンで英語で学ぶケースは「ダブル・リミテッド」に該当するのでしょうか。


早期英語教育で気になる母語

幼い子供に英語を習わせることで、日本語、英語ともに年齢相応の言語能力が身につかない状況を「ダブル・リミテッド」と言います。

 

人は物事を考えるときに言語で思考します。

 

すなわち言葉で考えます。
例えば、幼児期に日本語と英語など複数の言語環境で育つ場合、母語の確率と言語の習得が遅れやすいといわれています。
そのため、抽象的な概念について理解が低くなると指摘されています。

英語で学ぶプリスクールやキンダーガーテンで「ダブル・リミッテド」を懸念する声があります。

実際にプリスクールに通うケースで「ダブル・リミッテド」を考えてみましょう。

 

1、両親ともに英語が母語のご家庭

 

英語が母語のご家庭が、英語で学ぶプリスクールやキンダーガーテンで学ぶことは、家庭と学校で同じ言語を使います。
そのため、「ダブル・リミテッド」になりません。
英語が母語となり、考えるときも英語で考えます。

2、両親ともに日本語が母語の家庭

 

基本的に日本国内でプリスクールやキンダーガーテンで通う場合「ダブル・リミテッド」は発生しないと考えています。
すなわち、子どもたちはプリスクールやキンダーガーテンに登園した瞬間に言語のスイッチが入ります。
園では、英語、帰園時には自然と日本語に切り替わることが多いようです。
国内で、両親ともに日本語が母語の家庭で、スクール以外の生活がすべて日本語です。
スクール以外が日本語のため日本語が母語として育ちます。

そのため、国内のプリスクールやキンダーガーテンで英語で学んでも、幼児期において「ダブル・リミテッド」が生じるとは考えにくいのが現状です。

3、ダブル・リミテッドが心配されるケース

ダブル・リミテッド」を心配するケースがあります。インターナショナルスクールの母語と生活言語
それは、ダブルのお子さんです。

 

家庭内で話される言語が複数の場合、将来「ダブル・リミテッド」の可能性が高くなると考えられています。

例えば、お父さんがフランス語、お母さんが日本語、学校では英語というケースです。

家庭で使う言語が複数で、英語で学ぶ場合「ダブル・リミテッド」になる可能性が高くなります。

では「ダブル・リミッテド」を避けるためには

母語を育てる

 

ダブルのお子さんは、まずは母語の選択について話す必要があります。
お母さんとお子さんが使う言語に合わせるのが一般的です。

さらに将来、海外に転勤することが決まっている場合も想定してどの言語を母語にして、どの言語で学ぶか、を検討する必要があります。

母語が確立されていると考えや思考が深くなり、それとともに学びも深くなります。
ふたつの言語をちゃんぽんにしないことで、お子さんの健全な言語の発達が促されます。

 

母語は、その子と一生、一緒です。
母語は、文化であり、何よりも自分自身です。

特にダブルのお子さんで、3つ以上の言語に囲まれる場合、特に母語の確立に注意したいですね。

こちらも参考にしたいですね。

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この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。