2017年06月22日
英語で教えてくれる家庭教師の「チューター」が人気になっているのをご存知だろうか?連載の『なぜ今、教育セレブに「チューター」が人気なのか?』の2回目は、「チューターの3段活用」とシッター、チューター、メンターと我が子の成長に合わせた活用法にも触れてみた。
編集部は、小学校の英語科目化、国際バカロレア認定校の増加など国際教育の高まりから、英語・日本語・両言語の家庭教師の「チューター」のニーズが高まり、さらにチューターが果たす役割の変化に注目し本連載を進めている。
連載の第二回は、英語で学ぶチューターの人気と教育セレブが使い分ける「チューターの3段活用」を中心にお伝えする。
▼連載1回目はこちら。
家庭教師が人気になっていることをご存知だろうか?これまでの家庭教師ではなく「英語で教えてくれる」チューターが人気になっている。この背景には、小学校の英語教育、大学の入試改革があり、教育セレブは、家庭教師よりも時間あたりの講師代が高いチューターを「チューターを3段活用」することで我が子の教育にメリハリをつけている。
海外大学へ進学希望が増えるなかで、富裕層ほど家庭教師を存分に活用する。
国内のインターナショナルスクールに勤務する教員は、編集部に次のように語る。
インター生は、在学中に他の保護者からシッターやチュータリングを頼まれることがあります。
そこで「シッター」、「チューター」、そして「メンター」の役割を体験できに学んできます。
そこにはインターナショナルスクールの独特の文化も影響しているようだ。
インターは、幼稚部から高等部まで一つの校舎で学ぶスクールも多く、ファミリーのような親近感があります。
自分のシッターのお兄さん、お姉さんとともに校舎で育っていく。
もちろん、その子は、小学校高学年になると「シッター」としてデビューしていく。中高生になると下級生の勉強の面倒をみる「チューター」として活躍し、高校生となると「メンター」としての役割も増えていきます。
すなわちチューターは、年齢に応じて「シッター、メンター、チューター」と三段活用できるのが特長だ。
乳幼児には「シッター」として子どもの面倒。
小学生には「シッター」と勉強をサポートする「チューター」。
中学生には「チューター」と思春期の心と体を共有する「メンター」。
高校生には「チューター」と「メンター」と「受験のための対策」と「海外の大学志願方法」などを教えてくれる」のだ。
もちろん、シッターとチューター、メンターに求められる能力は違う。
親にとっても、我が子育つプロセスで使い分けることができるので、便利な仕組みだ。
特に時間を共有し、親でも兄弟でも、そして、親戚でもない「斜め横」に位置するチューターは、我が子の究極の「メンター」となりうる。
だからこそ、教育セレブは、良いチューターを探し、「パーソナル」な経験を我が子に与えることに夢中なのだ。
チューターは、大人数でもグループでもない。
究極の教育なのだ。
国際バカロレア認定校が増え、海外留学が脚光を浴びるなかで、従来の日本語による「家庭教師」では教えきれない部分が出てきた。
これまで海外大学の志願のためにTOFEL、SATなどの対策塾や家庭教師は多くいた。
また、プロ家庭教師として実績を出す家庭教師は、外科医並みの時間給で派遣されている。
しかし、国際バカロレアの科目など探究的に回答する試験対策に対し、英語でサポートできる塾や家庭教師はほとんどいない。
また、プロ家庭教師を外科医並みの料金で試験対策でお願いできる家庭も限られている。
そこで、海外大学の選択から志願までワンストップでお願いできる「チューター」は、教育セレブにとって「全部」お願いできる貴重な存在なのだ。
英語で国際バカロレアの科目を教えられる人材は、そう簡単にいない。
そこで人気となっているのがインターナショナルスクール卒業生だ。
英語で学んできたインター卒業生にとって、小学生や中学生に算数や英語を教えるのは、自分が通ってきた道。
どこが間違えやすく、どこの理解が難しいのか、を手に取るようにわかっているのだ。
もちろん、数年前にIBの試験を受けた卒業生にとって、試験対策は、数年前の体験だ。
自分の体験を活かせ、経験から教えていくことができる。
また、国際バカロレアの課題のポイント、試験会場ですべきこと、SATを何回目の試験で良い点を取るべきか。
受験生にいわば「見えないノウハウ」を伝授することができるのだ。
この経験を教育セレブは、見逃さない。
編集部は、東京都内のインターナショナルスクールで中等部まで学び、高等部は国際バカロレアのある横浜にあるインターナショナルスクールでDP(ディプロマ資格)を取得し現在、1年間ギャップイヤーを取り、9月から海外の大学に進学予定のインター卒業生に話を聞いた。
現在、西日本にある一条校の国際バカロレア認定校の生徒にスカイプで国際バカロレアの科目を教えていると語る。
インター時代の同級生のお母さんから国際バカロレアで学んでいる知り合いの子がいるから、教えてもらえないか、と相談がきました。
私が、国際バカロレアのディプロマでどの科目を取得したのか知っていたので、知り合いのお子さんが困っていたので紹介してもらいました。
私はBiology(生物)を取っていたので、週に1回ほどスカイプでBiologyの学び方などサポートをしています。
できるチューターを積極的に探し、紹介していく文化もインター保護者の姿だ。
教育セレブは、横につながるネットワークを使い、我が子だけではなく、お互いに卒業後も助け合う。
ちなみに編集部の調べでは、インター卒業生の多くが学生時代のアルバイトにバイリンガルな「チューター」として活躍し、人気になっている。
インター卒業生は、3つの特徴がある。
1.英語で教えてくれる。
2.日本語もわかる。
3.子供慣れしている。
もちろん、チューターによって性格も違えば、英語力、日本語力も違う。
しかし、バイリンガルで子供慣れしているチューターは親にとっていそうでいないのが現実だ。
この3つの特徴をさらに分析するとインター卒業生の学んできた背景が指摘できる。
1.幼稚部から高等部まで普段から子供に接する機会が多い環境で学んだ。
2.サマースクールなどでアルバイトで子供に接する機会があった。
3.自分にもシッター、チューター、メンターがいた。
まさにインターナショナルスクールの生活と自らの経験が「チューター」を育てているようだ。
次回は、海外生まれ育ちのチューターが果たす新たな役割を含め、進化するチューターの姿をレポートします。
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この記事の記者
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、日本経済新聞やフジテレビホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。