Powered by Global Step Academy    
【インタビュー】東京都「国際金融都市」の推進に向けて、インターナショナルスクールが担う役割

【インタビュー】東京都「国際金融都市」の推進に向けて、インターナショナルスクールが担う役割

東京都は、2030年までに高度外国人材を5万人に増やす目標を掲げ、生活インフラの核となるインターナショナルスクールの誘致を強化しています。現状、都内では入学待ちが発生しており、海外大学進学に強い学校や知名度の高い学校の供給が不足しています。最大の課題である用地確保に対し、都は都有地や廃校の活用、デベロッパーとの連携による街づくりを推進しています。また、進出を検討する事業者へは、市場分析から広報まで幅広く支援するコンサルティング窓口を設置しています。金融・資産運用特区の指定も受け、行政手続き支援などの生活環境整備と併せ、世界最高峰の教育環境を備えた「国際金融都市」の実現を目指しています。


【インタビュー】東京都「国際金融都市」インターナショナルスクール誘致の最前線。

東京都産業労働局国際金融都市推進担当課長 藤村 宏治氏に聞く、インターナショナルスクール誘致の最前線。

「子供を通わせる学校に空きがない」——。
日本への赴任を検討する海外の人材が直面するこの深刻な課題に対し、東京都が総力を挙げた解決策を打ち出しています。

インターナショナルスクールを単なる教育施設ではなく、都市競争力を左右する「不可欠なインフラ」と位置づける都の真意はどこにあるのでしょうか。

東京都の藤村課長に期待される教育モデルや具体的な支援策、そしてデベロッパーとの連携による新しい街づくりの可能性についてお聞きしました。

日本校開校を検討するインターナショナルスクール関係者必読です。

なぜ今、東京都が「学校誘致」に本腰を入れるのか

編集部 村田: 本日はお時間をいただきありがとうございます。
東京都は今、インターナショナルスクール(以下、スクール)の誘致を進めています。
まず、その政策的な背景から伺えますか。

インターナショナルスクールの誘致の背景についてお聞きした東京都産業労働局国際金融都市推進担当課長 藤村 宏治氏。

藤村課長:背景は大きく分けて二つあります。
一つは「国際金融都市・東京」として、2030年までに高度外国人材を5万人に増やすという目標です。

もう一つは、令和6年6月に国から「金融・資産運用特区」の指定を受けたことです。

村田: 5万人というのは非常に大きな数字ですね。

藤村課長: はい。そのためには「英語でビジネスができる」のはもちろん、「グローバルスタンダードな都市」でなければなりません。

私たちは国際金融都市推進課という部署ですが、実は高度外国人材を呼ぶためには、ビジネス面だけでなく「生活環境」の整備が不可欠だと考えています。

その中核にあるのが、お子さんの教育環境、つまりスクールの整備なのです。

ターゲットとなる「高度外国人材」の正体

村田: 具体的には、どのような産業分野の方々を想定されているのでしょうか。

藤村課長: 金融関係はもちろんですが、研究者、教授、ITエンジニアなど、いわゆる高度専門人材を広く想定しています。

2030年の5万人という目標は高いものではありますが、確実にその方向へ動いています。

村田: そうした方々にとって、スクールの有無はどの程度重要なのでしょうか。

藤村課長: 重要な要素です。

実は海外の高度人材に聞くと日本は治安が良いという点では非常に評価が高い。
しかし、いざ赴任するとなると「子供を預けるスクールに空きがない」「言葉の壁がある」といった問題に直面します。

実際にいま都内のスクールでは入学待ちが一部で発生しており、供給が足りていません。

年間の学費が高額になっても、それに見合う質の高い教育を求めているご家庭が確実にいるのです。

▽ 東京都は、都内に暮らすインターナショナルスクールの保護者の声を集めたYoutubeも公開しています。

今、東京に足りない「学校のタイプ」とは

村田: 現場ではどのような学校が求められていると感じますか。

藤村課長:カリキュラムや進学実績に優れたスクールの需要が特に高いですね。
都として特定のタイプに絞っているわけではありませんが、知名度は重要だと考えています。

海外の保護者がひと目見て「この学校なら安心だ」と思えるような、知名度のある学校の進出は強い引きになります。

東京都のインターナショナルスクールのポータルサイトは、都内のインターナショナルスクールを検索することができる。

村田: 寮のあるボーディングスクールやSTEM特化型などについてはどうでしょうか。

藤村課長: もちろん歓迎です。
実際、低年齢層のプリスクールは比較的多いのですが、中高等部、また特に海外大学への進学に強いスクールへのニーズは高いと感じています。

誘致の最大の壁「用地確保」にどう立ち向かうか

村田: 地価が高騰する中で、都内での「用地確保」がスクール側にとって最大の難所のようです。

藤村課長: 都としても用地や施設の確保は課題だと考えており、 全方位で可能性を探っています。

具体的には、都有地の活用を検討したり、各区市町村に対して廃校など利用可能用地の情報がないか働きかけを行ったりしています。

村田: 廃校の活用は、建築費が高騰している今、事業者にとっても魅力的ですね。

藤村課長: 廃校は、既存の建物をリノベーションできれば更地から建築するよりも早く開校ができます。

また、街づくりという観点では、デベロッパーとの連携も強化しています。

民間の大きなプロジェクトの中にスクールを組み込んでいく動きを支援しています。

手厚い「コンサルティング支援」の中身

東京都は、インターナショナルスクール開校を考える教育関係者向けにサポート事業も始めました。

村田: 東京都では、進出を検討する学校へのコンサルティングも実施されていますが、その内容について教えてください。

藤村課長:国際的なネットワークや教育業界への深い知見を有する民間事業者に委託して支援しています。

開校したいと考えるスクール側に対して、初期の相談から市場分析、収益試算などのフィジビリティスタディ、さらにはパートナー探しや広報支援まで幅広く対応しています。

村田: 対象は海外のスクールだけでしょうか。

藤村課長: 既存のスクールの拡大や新しく学校事業を始めたい学校法人、さらには教育事業に参入したいデベロッパーさん等も対象です。

「興味はあるが、日本の法制度や市場がよくわからない」という段階からでも、まずはサイトからお気軽にお問い合わせいただきたいですね。

未来の居住者、そして教育機関へのメッセージ

村田: 最後に、この記事を読んでいる海外の教育関係者や、日本への赴任を考えている方々にメッセージをお願いします。

藤村課長: 東京都は今、教育環境だけでなく、生活環境全般のサポートを強化しています。
銀行口座の開設や役所の手続きへの支援など、言葉の壁を感じさせない「コンシェルジュ」のようなデスクも設置しています。

東京は治安が良く、都心から1時間も行けば奥多摩のような豊かな自然もあります。
安心・安全で、かつ世界最高峰の教育が受けられる都市を目指しています。

ぜひ期待して東京に来ていただきたいです。

海外の教育機関の皆様も東京というマーケットの可能性を信じて、ぜひ一緒にインターナショナルスクールの充実に取り組んでいきましょう。

村田: 東京都の並々ならぬ決意が伝わってきました。本日はありがとうございました。

東京都の公式インターナショナルスクールのポータルサイトは、保護者、教育関係者、開校を検討してる機関に向けて情報を発信しています。

“国際家庭教師サービス、国際サバイバル。今すぐ無料体験!”

この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。

関連するキーワード


東京都

関連する投稿


ブリティッシュ・スクール・イン東京の生徒が東京交響楽団と共演

ブリティッシュ・スクール・イン東京の生徒が東京交響楽団と共演

ブリティッシュ・スクール・イン東京(BST)は、最も才能ある音楽学生たちと、日本を代表するオーケストラである東京交響楽団(TSO)との歴史的な音楽コラボレーションを発表いたします。BSTの創立35周年を記念するこの特別なコンサートは、2025年3月24日にBST昭和キャンパスの人見記念講堂にて開催され、若き才能とプロフェッショナルな演奏が織りなす、感動的な音楽のひとときをお送りします。


【独占インタビュー】港区に幼小中高一貫校。なぜ、LITALICO創業者はインターナショナルスクールを港区に開校するのか?

【独占インタビュー】港区に幼小中高一貫校。なぜ、LITALICO創業者はインターナショナルスクールを港区に開校するのか?

【独占インタビュー】LITALICO創業者の佐藤崇弘氏は、なぜ、東京都港区に幼小中高のインターナショナルスクールを開校するのか?2022年4月に開校計画のCapital Tokyo International School (CTIS)は、東京都港区南麻布で開校します。4月から小学部1年~4年生入学者募集を開始します。 実践型教育(PBL)、STEAMと英語・日本語・中国語の三ヵ国語、国際バカロレアPYPの候補校への申請も準備中です。2023年4月に幼稚部および中学部も同時開校する計画です。


【港区】にあるインターナショナルスクール(幼小中高)4選

【港区】にあるインターナショナルスクール(幼小中高)4選

東京都港区は、麻布、芝、赤坂、高輪など高級住宅地です。大使館や国際機関が多く、外国人向けのショッピングセンターなども多く、芝公園、有栖川宮公園など自然も豊かです。そのため、多くのインターナショナルスクール、プリスクールがあります。編集部は、早速、港区にあるインターナショナルスクールをリストアップしました。なお、保育・幼稚部のみのプリスクールはリストに入っていません。


【説明会】9/9 東京ウエストインターナショナルスクールの説明会が開催されます

【説明会】9/9 東京ウエストインターナショナルスクールの説明会が開催されます

東京都八王子市にある東京ウエストインターナショナルスクールは、小学部、中学部のある男女共学のアメリカ人比率の高いインターナショナルスクールです。2歳児クラスも9月に幼稚部で開校するため、2歳から小学部、中等部までインターナショナルスクールのエスカレーターによる内部進学も特徴のひとつです。


カナディアンインターナショナルスクールの説明会11月23日(金)に開催されます。

カナディアンインターナショナルスクールの説明会11月23日(金)に開催されます。

東京の大崎駅から徒歩で5分のカナディアンインターナショナルスクールでオープンキャンパスが11月4日に開催されます。1999年に創設さた男女共学のインターで、幼稚部・小学部・中学部・高校部があります。特に探求型のカナダのカリキュラムと国際バカロレアのPYPが特徴です。


最新の投稿


【後編】ハロウ安比校「2つの家庭、2つの家族」―在校生と保護者が語る、安比の地で育まれる自立と友情のリアル

【後編】ハロウ安比校「2つの家庭、2つの家族」―在校生と保護者が語る、安比の地で育まれる自立と友情のリアル

日本初の全寮制英国式インターナショナルスクール、ハロウ安比校は、開校4年目を迎え、初の卒業生を送り出す節目に開催された説明会の様子をレポートします。スティーブン・トン校長は、世界の最難関大学が求めるのは成績だけでなく、自らの経験を語る「独自の物語」であると指摘。同校では、世界トップ10%に入る圧倒的な学力向上度を数値で証明しつつ、知性・身体・精神を育む「ホリスティック教育」を実践しています。Aレベル試験への備え、安比の自然を活かしたスポーツ、そして教員が親代わりとなって支える寮生活。学習と生活の両面から生徒の個性を伸ばし、未来を切り拓く「普通ではない教育」の本質に迫ります。


【対談】世界地図から人生の航路を選ぶ 。郁文館グローバル高校×帰国子女アカデミーが切り 拓く「6 年一貫グローバル教育」

【対談】世界地図から人生の航路を選ぶ 。郁文館グローバル高校×帰国子女アカデミーが切り 拓く「6 年一貫グローバル教育」

偏差値一辺倒の教育に、新たな「解」が生まれる。郁文館グローバル高校が2026年度より始動する「6年一貫グローバルコース」は、帰国子女教育のパイオニア・帰国子女アカデミーとの史上初の深い提携のもと、日本の規律と国際的な英語力を融合。「世界地図から自分の進路を選べる人間」を育てるその教育哲学と、17歳で1,000万円を調達した生徒たちの実話とは。


TOEFL 2026!変更点と受験者・教育機関への影響を解説

TOEFL 2026!変更点と受験者・教育機関への影響を解説

2026年1月、ETSはTOEFL試験をほぼ全面的に刷新した新バージョンを発表しました。刷新のプロセスは、ETSで比較的迅速かつ静かに進められました。本記事では、試験を理解するうえで重要となる3つのコンセプトと、それらが受験を検討している人々および導入を検討している教育機関にどのような影響を与えるかについて解説します。


【インタビュー】インター生が直面する「日本語の壁」をどう乗り越えるか。読解力こそが全教科の学びの土台となる

【インタビュー】インター生が直面する「日本語の壁」をどう乗り越えるか。読解力こそが全教科の学びの土台となる

インター生に見落とされがちな「日本語の読解力」。近年、英語入試の拡大とともに、インターナショナルスクール生が直面しているのは、英語ではなく日本語の不足による学力停滞という現実です。特に算数など一見言語と無関係に見える教科でも、実は読解力が成果を左右しています。本記事では、現場で多くの生徒を指導してきた専門家へのインタビューを通じて、「日本語の壁」の正体と具体的なアプローチです。


「幼稚園がプリスクールに?」キンダーキッズが幼稚園をプロデュースへ 「英語×制度」の新モデル

「幼稚園がプリスクールに?」キンダーキッズが幼稚園をプロデュースへ 「英語×制度」の新モデル

キンダーキッズが幼稚園をプロデュースする新モデルが始動しました。学校法人の制度基盤と英語イマージョン教育を融合し、「幼稚園価格」でバイリンガル教育を提供する点が特徴です。従来の高額プリスクールか週1回の英語の授業のある幼稚園かという二択に対し、中間に位置する第3の選択肢が誕生しました。共働き世帯の実態にも対応しながら、幼児期から将来の「ほぼインター」や国際進路へとつながる新たな教育導線を提示しています。


“生徒募集!KAインターナショナルスクール”