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インターナショナルスクール卒業生は、日本の大学をどう考えているのか?

インターナショナルスクール卒業生は、日本の大学をどう考えているのか?

『日本の大学で学びたい』というインターナショナルスクール卒業生の声。海外での指導歴も長い大手前大学の安藤幸一教授にお伺いしました。


海外での指導歴も長い大手前大学の安藤幸一教授にお伺いしました。

『日本の大学で学びたい』というインターナショナルスクール卒業生の声

 今年、百周年を迎えた神戸にあるカネデイアン・アカデミイ。
 西日本で最初の国際バカロレア認定校で、幼稚園から高校まで国際バカロレアで学ぶことができます。

 同校の卒業生は、世界の大学へ進学していますが、注目したいのが日本の大学にも進学していること。
詳しくは、カネデイアン・アカデミイの記事で確認ができます。
 実は、日本の大学でも英語で学ぶコースが充実してきました。
国内?海外?インター生の広がる選択肢の記事で確認ができます。
 『グローバル30ができ、大阪大学をはじめ国公立大学にも入りやすくなった』とカネデイアン・アカデミイの関係者。

グローバル30公式ホームページ

『同級生で日本の大学を選んだのは一握り』

 横浜インターナショナルスクールやアメリカンスクールの卒業生に話を聞いても『同級生で日本の大学を選んだのは一握り』という声を聞きます。

 日本の大学に進学しているインターナショナルスクール卒業生に『なんで海外に行かなかったの?』と尋ねると『インター育ちだから日本の教育を知りたかった』という声。

 『メーカーなど日本企業へ就職したいから』という話も聞こえました。

 さらに『(海外の大学は)学費と生活費が高い』という声。

もし、国内でも米国でも学べる大学があったら…。

 国内、米国の二択ではなく、ふたつも選べるとしたら…。

 タイムズの取材を通し、浮かび上がったのが『二択』ではなく両方で学ぶプログラム。

 すなわち留学前提のプログラムの存在でした。

 国内の大学で一般教養と留学準備、さらに大学での学びを修得し、その後、単位を活かした形で米国の大学へ進学します。

 それが大手前大学の『トランスファープログラム』です。

約四半世紀にわたるノウハウが詰まった『トランスファープログラム』

 約四半世紀にわたるノウハウが詰まった『トランスファープログラム』
 本プログラムを開発したのが、ウエスタンオレゴン大学国際教育部ディレクターとしてNAFSA(全米国際教育者協会)等、国際教育の現場で長期にわたって活躍してきた安藤幸一教授。

 1974年に渡米されてから、約四半世紀もの間、米国で国際教育の最前線で指導をされてきました。

 その安藤教授の国際教育の経験ノウハウに白羽の矢を立てたのが大手前大学。

 安藤教授は、米国のコミュニティカレッジから4年制大学への編入システムをモデルに、本プログラムを開発。

 2012年には、同大学では一般科目を英語で学ぶGlobal Japan Studiesを開始。

 その結果、『英語で学ぶ』インター生まで対象となりました。

 インターナショナルスクールタイムズとして注目したのが、特待生制度です。

注目したいのが充実した特待生制度。

 『トランスファープログラム』では、AO資格審査または一般入試での英語テストで一定の成績を上げた受験生全員に対し、学費全学免除する制度があります。

 この特待生制度は、インター生や帰国生に有利です。

 では、魅力的な大手前大学の『トランスファープログラム』とは、どのようなプログラムでしょうか?

 経験豊かな安藤教授から、国際教育およびインター生についてお話をお聞きしました。

━━━まずはトランスファープログラムについて教えてください。

このプログラムは、アメリカのコミュニティカレッジから4年制大学への編入システムをモデルにしたものなんです。

米国大学の、ことに有名大学の授業料はたいへん高い。

そのため、まず、教養課程科目を授業料の安い2年制コミュニティカレッジで修了し、その単位を使って自分の進学したい大学に編入学します。

━━━編入学制度を活用するのですね。

そうです。
編入後、2年間で4年制大学を卒業、というプランです。

こうして、優秀な学生が入学してくることによって、一時入学者が減少してきたコミュニティカレッジも息を吹き返したのです。

この当時、私はウエスタンオレゴン大学で、講義の傍ら国際教育部のディレクターとして、世界20数か国からの留学生を受け入れる仕事をしていました。

90年代になると、横浜の洗足学園短大から、毎年10名前後の学生を受け入れるようになりました。

2年間、日本でみっちり英語を学び、一般教養科目のほとんどを英語で修得した学生たちでしたので、その大多数が、編入後2年間で大学の専門課程を修了し卒業していきました。

これを、私たちは、2+2プログラムと呼んでいました。
すべて英語で講義を行う秋田の国際教養大学が近年有名になりましたが、実は90年代初頭からこうしたプログラムは日本にも存在したのです。

━━━ということは、大手前の英語・留学プログラムは、そこからヒントを得たということですか?

そうですね、1998年に、関西の大手前大学から「英語・留学プログラムを作ってほしい。」という誘いを受け、24年ぶりに日本に帰国しました。

まず、第一にした仕事は、日本語を一切使わないESLプログラム。
次に作ったのがトランスファープログラムです。
アメリカでは、留学生の受け入れ側として仕事をしてきましたが、今度は送り出しに回ったということになります。

━━━両方をご経験されてきたわけですね。

2006年には、英語コミュニケーションプログラムを、LEO と改称し、2012年からは、一般科目を英語で学ぶGlobal Japan Studies、通称GJSと呼ばれる科目群の開講を始めました。

今後こうした科目を倍増していく予定です。 更に、学則改正により、大学の全ての科目を英語で、つまりGJS科目として講義することも可能になりました。

━━━なるほど、英語で開講されている一般科目を履修しながらアメリカの大学への編入学準備を進めるわけですね。そうするとインター生や帰国生など一定の英語力がある学生は、LEO(英語コミュニケーション)ではなく、次のステップのGJSで学べるのでしょうか?

その通りです。
GJS科目は、基本的に米国大学の教養課程に準拠した科目を開講していますが、「ジャパノロジー入門」など「日本」を学ぶ科目、そして「茶道の作法」、「日本のマンガ・アニメ文化」など実技を取り入れた科目の開講も予定しています。

また、LEO英語コミュニケーションですが、今後、インター生・帰国生に対応できるように、現在4段階のレベルを更に拡充することも検討中です。
留学後、大学講義対応の英語力に多少でも不安のある方には受講する価値があると考えています。

魅力的な特待生制度

また魅力的なのが一定の英語力のある生徒への特待生制度です。 来年度からさらに充実されるとお聞きしました。

━━━特待生制度は、どのような生徒が対象となりますか?また、来年度からどのような変更がありますか?

15年前にトランスファープログラムを開始して以来、誰でも参加できる留学プログラムとして運営してきました。

来年度より、すでに一定程度の英語力のある学生を特待生として迎え、確実に希望の大学に編入留学できるプログラムを作りたいと考えています。

早期卒業制度を利用して、日米二つのダブルディグリーを取得することもできます。

また、米国大学の学位取得を主目的とする学生は、留学準備の整った段階でいつでも希望する米国大学に編入学するための支援を行います。

━━━手厚い支援ですね。

アメリカの高校生は、大学名ではなくプログラムやメジャーの内容や質、あるいは大学の教育方針や学習環境を基準として大学選びをすることが多いのです。

日本もそういう方向に向かっていくことを想定しました。
そのため、大学一般ではなく、プログラムに特化した特待生制度を開始しました。

AO資格審査をパスするか、または一般入試での英語テストで一定の成績を上げた受験生全員は、一年目の学費全学免除の対象です。

2年目以降も、特待生継続資格を維持し続けることにより、日本における学費はゼロとなります。

━━━すると帰国生、インター生にはかなり有利ですね。
 かなり手厚い特待生制度です。大学の経営面からしても一つの決断だと思いますが、これだけの学費全額免除(奨学金)を提供するその目的を教えてください。

一言でいえば大学の質を高めることです。

ご存知のように、「大学生き残り競争」の中で、多くの大学は、定員割れを避けるために入試合格基準を下げ続けてきました。

残念ながら本学もその例外ではありません。

アメリカについで日本は、世界で2番目に大学数の多い国なのですが、その日本のトップ大学が、世界ランキング(2013年英タイムス誌)では20位にも入らない。

100位以内に2校しか入っていないという現実がその地盤沈下を如実に物語っています。

トランスファープログラムの学費全額免除は、国境を超えた学びを志向する優秀な学生に入学してもらい、世界に通用する教育プログラムを実現するためにどうしても必要な、大学による「教育投資」と考えています。

一言でいえば大学の質を高めることです。

ご存知のように、「大学生き残り競争」の中で、多くの大学は、定員割れを避けるために入試合格基準を下げ続けてきました。

残念ながら本学もその例外ではありません。

アメリカについで日本は、世界で2番目に大学数の多い国なのですが、その日本のトップ大学が、世界ランキング(2013年英タイムス誌)では20位にも入らない。

100位以内に2校しか入っていないという現実がその地盤沈下を如実に物語っています。

トランスファープログラムの学費全額免除は、国境を超えた学びを志向する優秀な学生に入学してもらい、世界に通用する教育プログラムを実現するためにどうしても必要な、大学による「教育投資」と考えています。

本プログラムの背景には、従来の大学教育では学生が内向きになるというような危機感があるように感じます。

━━━安藤先生は海外の大学でご指導された経験が長いのですが、このプログラムで学生にどのように伸びていってほしいとお考えですか?

トランスファープログラムの「キャチコピー」は、Get Out of the Boxです。

これは、日本の若者への励ましの言葉です。

80年代から90年代前半にかけて、アメリカのどの大学にいっても日本からの留学生数が一番多かった。

しかし、バブル崩壊以降急速に日本人留学生は減少の一途をたどり、その傾向は今現在も続いています。

私にとって、長い海外生活で一番自分の成長に役立ったと感じることは、「自分発見」つまり自分自身や日本という国を外から見ることができるようになったことだろうと思います。

これからの若者にも、「巣箱」を飛び出して、自分がどういう文化の中で暮らしていたのか外から眺めて見ること。

そこから出発し、そして伸びていってほしいと思います。
私自身も、日本を出る前に「日本人は、日本にいるときは日本人であるが、日本を出ると日本人になる。」という言葉を聞きました。

その後の人生の中でそれを体感しながら生きてきて、初めて自分の行く道が見えるようになったのではないかと思います。

『私は強い期待感をもっています』

これまでインターナショナルスクールの生徒は、留学生、帰国生に較べると数も少なかったため、注目されることも少なかったと思います。

━━━安藤先生から見て、インターナショナルスクール卒業生の魅力とはどのようなところでしょうか?また、インター生がこうすればさらに伸びるというポイントがあれば教えてください。

インター卒業生の魅力は、自分の生まれ育った「巣箱」を外から見ることができる教育環境を体験してきたということです。

これは、既成観念やいわゆる「常識」にとらわれず、自分の生きる道に多くの選択肢があるということを実感として知っているということでもあります。

このことを、インター生自身が自分の強みとして認識したときには、はかり知れないほど大きな飛躍があると思います。

インターナショナルスクールという教育環境が与えてくれる最大の贈り物は、実は、こうした「多様性の中での自由な選択」を自分の文化として取り込む、大切な機会なのだろうと思います。

本プログラムで、学生の構成を留学生、帰国生、インター生を含め、多様な生徒構成を目指していると思います。

━━━そのなかでインター生が他の学生に与える影響とはなんでしょうか?また、どのような相乗効果を期待されていますか?

前の質問の答えと重複するかもしれませんが多様性です。

実は、私が現在担当している講義の多くは、この多様性、多文化、異文化間コミュニケーション、共生等などをキーワードとして成立しています。

しかし、均一化した学生グループの中では、頭の中の知識としてしか入ってきません。
一人一人が違うことが当たり前という環境からやってきた、インター生、帰国生、留学生の存在は、大学に大きな教育効果を与えてくれます。

また、そのことに、私は強い期待感をもっています。

インター生にとっても、日本の大学を経験することは、自文化の拡充につながり、留学後の一つの財産になると信じています。

文部科学省が国際バカロレア認定校を200校にする目標を立てています。

━━━大手前大学では、今後、国際バカロレアのディプロマ取得者への入学試験を含め、どのような対応を考えていらっしゃいますか?

国際バカロレア・ディプロマ取得者の入試は、すでに実施しています。

トランスファープログラムでは、AO入学審査及び一般入試(英語テスト)によって、学費全額免除特待生の受け入れを行っています。

また、現在インターナショナルスクール卒業生の受け入れを視野に入れて、秋学期入学について検討中です。


本学は、すでに大きな教育改革を実現し、学部を越えた自由選択制度、3年間早期卒業制度も実施しています。

この入学制度改革についても積極的に取り組み早期実施をめざしています。

━━━今後、IB校とインターの増加によって、英語で学べる学生数が増えると予想されます。大学で教える立場から、英語で学べる学生が増えるメリット、デメリットを教えてください。

日本人の学生たちが、「英語が好き、あるいは嫌い」ということがとても気になっていました。

英語は、もう好き嫌いという対象ではなく、生きていくうえで必要なコミュニケーションの道具です。

『英語を母国語としない人同士の間でも、日常的に、世界共通語としての英語が使われる時代に私たちは生きている』ということを、学生たちに絶えず語り続けてきました。

そういう意味でも、インター生や帰国生が増加することのメリットは、はかりしれません。

更に、一般の日本人学生にとって、インター生は、バイリンガルの生きたモデルとして貴重な存在です。

インター生の加入によるデメリットは、思い当たりません。

インターナショナルスクールに通う生徒への期待

━━━もし安藤先生がインターナショナルスクールに通う生徒だとして、このトランスファープログラムを活用する場合、どのように活用されますか?18歳の時に戻って(笑)お答えください。

私が、大学に入学した1969年は、学園紛争の中で、東大、東京教育大(現筑波大)、東京外語大の入試が行われなかった。

つまりこの3大学には新入生がいない、という歴史に残る年となりました。

その年に私は日本の大学に入学し、卒業しました。

卒業後、そのまま片道切符でアメリカに渡り、スクールボーイをしながら大学に通った日々とともに、自分の人生にとってかけがえのない貴重な時代であったと思います。

当時の、世界が絶えず大きく動いている社会環境の中で、自分の母国語である日本語によって思想形成の基礎を築いたことは、アメリカにわたって大きな財産になったと思います。

もし、あの時代に、学費免除の留学プログラムがあれば、間違いなく申し込んでいたと思います。
また、出発前に、高い料金を払って、サンフランシスコの新聞に「求職広告」などを載せることもなかったと思います。

もちろん広告の結果は「惨敗」でした(笑)。

━━━トランスファープログラムには、安藤先生の人生が詰まっています(笑)。最後に本プログラムを含め、メッセージをお願いします。

ラテン語でCarpe Diem、英訳でSeize the Day、日本語では、「今を生きる」を、最後のメッセージとしたいと思います。

これは、ロビン・ウイリアムス主演の1950年代の高校を舞台にした映画の中で何度も語られる言葉です。

キーティング先生は、生徒たちに『誰でも人間は必ず死にゆく存在である、しかし、その死がいつ来るかはわからない。だから今の”一瞬一瞬を生きる”ことが生きるということなのだ。』ということを教えるのです。

私の一番大切にしている言葉です。

━━━安藤先生ありがとうございました。もっと詳しく知りたい方は、『トランスファープログラム』で検索してみてください。

大手前大学 Otemae University

大手前大学 総合文化学部

教授 安藤 幸一 Professor Koichi Ando

【プロフィール】
 1950年、長野県生まれ。明治大学卒業後、1974年渡米。
 サンフランシスコ州立大学大学院で多文化教育を専攻し修士課程修了。
 サンフランシスコ市学校区日英バイリンガル教育プログラム教員、ハワイ大学講師、ウエスタンオレゴン州立大学助教授を歴任。
 同大国際教育部ディレクターとして、世界20数か国からの留学生アドバイザーをつとめる。

 1998年、24年ぶりに帰国し大手前大学に着任。
 「異文化コミュニケーション」「国境を超える発想」「日米比較論」「国際平和学」
 「海外ボランティア演習」等の講座を担当するほか、国際交流センター長を務める。

【受賞歴】
 1986年インターナショナル協会よりイミグラント オブザイヤーに選出。
 1996年には、全米国際教育者協会より、国際教育者オブザイヤーにも選ばれています。

編集後記
これまで日本の大学を選ぶ機会が少なかったインター生。
大手前大学では、インター生の持つポテンシャルを高く評価しています。
さらに、同大学で学んだ後、さらに世界へ羽ばたいてほしいという願いも含まれています。
インター生に日本の大学と海外の大学で学ぶ機会を提供する大手前大学の試み。
それは、インター生に新たな選択肢を提案するものに他なりません。
国際教育の第一線で活躍されてきた安藤教授の経験が詰まったプログラム。
本プログラムは、アメリカの大学を知り尽したうえで開発されています。
また、そこには安藤教授が指導されてきた経験がノウハウとしてプログラムに宿っています。
留学を受け手、送り手の両方を体験しているからこそ、見出せるともいえます。
特待生制度で、世界へ
また、本プログラムの特徴は、特待生制度が充実していること。
大学として世界へ向けていく学生を力強く応援する仕組みです。
学生が世界へ羽ばたいと後も、自らを高めるために一生学び続けてほしいという願いがあります。
充実した特待生制度の背景には、同大学の精神『STUDY FOR LIFE』があることはいうまでもありません。

謝辞
米国大学の指導経験を含め、日米両方の学生、留学生、インター生を総合的な視点で回答できる大学関係者は少ないのが現状です。
そのなかで、国際教育の第一線でご活躍されてきた安藤幸一教授にご協力いただき、本記事が作成できました。
御礼申し上げます。
また、記事作成にあたり映像提供を含め、ご協力いただいた大手前大学の味田様に御礼申し上げます。

この記事の記者

都内でインターナショナルスクールを運営した経験から現場の目線と記者としての目線で記事を書いています。

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