日本がアジア太平洋地域で英語力のリーダーシップを発揮するためには、中学・高校の英語教育そのものを見直す必要があります。
現在の授業構成である、スピーキング練習と、従来型の文法・読解中心の学習のバランスは、実際に必要とされる力と大きくずれているからです。
多くの中学校では、週に約5時間の英語の授業のうち大半が文法演習、和訳、読解に費やされ、しかも、日本語で行われることが一般的です。
一方で、スピーキングの練習は「オーラルコミュニケーション(OC)」の授業が週1時間、多くても2時間程度に留まっています。
これでは、学生が会話できるレベルに到達しないのも当然です。
現在のOCと従来の文法・読解中心の授業の比率を逆転させる必要があります。週5時間をスピーキング中心のOCに充て、文法や読解は週1〜2時間で十分なのです。
「それではネイティブ教員が大量に必要になるのでは?」という声が上がるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。適切なトレーニングとサポートがあれば、日本人の英語教員でもスピーキング重視の授業は十分に実施できます。
AI会話ツール、語学学習ソフト、海外の学生とのZoom交流など、テクノロジーがその後押しをしてくれます。
改革が必要です。
2024年のEF英語能力指数では、日本は非英語圏116か国中92位という厳しい順位でした。OCの時間を増やすことは、この順位を上げ、国内外の進学や将来の実務で必要となるコミュニケーション力を育てる最も効果的な方法の一つです。これは文法や読解を捨てるということではありません。
むしろ、文法や読解を「話す・聞く・書く力のためにどう活用するか」という視点で再構成する必要があるということです。スピーキング力をピラミッドの頂点に据えれば、他のすべての技能はそれを支える役割を担います。文法は話したい内容を正確に伝えるための手段です。
読解は「要約を口頭で発表したり、学生が演じられるような劇や映画のワンシーンを扱うとよいでしょう。
リサーチ型の読解は読んだ内容をプレゼンテーションにつなげることで実際のコミュニケーションに落とし込むことが可能です。
話すこと・書くことが最終目的になると、英語指導のアプローチ全体が変わります。
第二言語習得の研究もこのアプローチを支持しています。
第二言語習得分野の第一人者である言語学者で教育者のスティーブン・クラッシェン(Stephen Krashen)は、「理解可能なインプット」と「実際に言語を使う機会」の組み合わせの重要性を強調する「The input hypothesis(インプット仮説)」を提唱しました。つまり、「話せるように勉強する」のではなく、「実際にもっと話す練習を増やす」必要があるということです。
この変化を定着させるためには、他にも様々な制度を調整しなければなりません。試験、評価方法、そして日々の時間割まで、スピーキング能力の価値を反映したものに変える必要があります。
その改革が実現したとき、生徒たちは学びにも仕事にも生活にも活かせる、本当の意味で「使える英語力」を身につけて卒業していくでしょう。
私たちは、バイリンガリズムが常識となる日本のビジョンを実現しようとする、献身的な教育者、起業家、保護者、関心のある市民のグループです。メンバーには以下が含まれます:KAインターナショナル創設者兼CEOのチャールズ・カヌーセン、GSA CEOのモントゴメリー 道緒、GSA CAOのイワン・フェデロフ。