Powered by Global Step Academy    
学校は社会の縮図 小さな国際コミュニティが教えてくれること

学校は社会の縮図 小さな国際コミュニティが教えてくれること

インターナショナルスクールは多様性が前提の小さな地球。子どもたちは共感力や協働する力を自然に学びます。家庭では「なぜこの学校を選んだか」という対話が重要で、比較ではなく価値観の共有が子どもの挑戦を支えます。「今日何を学んだ?」と問いかけ、「自分も他人も違いがある」という視点を育てることが国際教育の本質です。学校には移動の多い子どもたちに質の高いインクルーシブ教育を提供し、地域に根ざした存在として社会への責任を学ぶ場となることが求められます。


― 家庭で育む「共に生きる力」と国際教育の本当の意味 ―

インターナショナルスクールを選ぶご家庭が増えています。

英語力の習得や海外進学への可能性といった実利的な理由はもちろんですが、そこには「多様な人と関わりながら学んでほしい」「世界を広く見てほしい」という、保護者の願いが込められています。けれど、国際教育の本質的な価値は、言語や学力の幅を広げることだけにはとどまりません。それは、子どもが世界と出会い、自分自身と向き合う過程であり、そして家庭全体が「違い」と「共に生きる力(social skills)」を学ぶ旅でもあります。

学校は社会の縮図

「学校は社会の縮図」と言われます。特にインターナショナルスクールは、まさに小さな地球のような場所。

文化、宗教、家庭環境、そして神経的な多様性(neurodiversity)まで、 一つの教室に世界が凝縮されています。

そこでは、子どもたちは毎日「違う誰か」と出会い、 その違いを理解しようとしながら学び合います。それは将来の社会で必要とされる共感力(empathy)や柔軟性(flexibility)、そして世界と協働する力(cross-cultural competence)を育てるための、もっとも自然な練習の場でもあります。

小さな国際コミュニティが教えてくれること

インターナショナルスクールでは、 一人ひとりの「違い」が前提として存在します。異なる言語、思考、文化的価値観、さらには発達や学びのスタイルまで。それらを「普通」として受け入れる教室は、子どもたちにとっての共生社会の練習の場です。

子ども同士の会話から、大人がハッとさせられる瞬間があります。

「この子はちょっと変わってる」と言ったときに、 別の子が「でも、そういう子がいる方が楽しいよね」と返す。そこには、違いを面白がる感性、他者を尊重する姿勢が自然に根づいています。 大人が言葉で教えなくても、子どもたちはこの小さな社会の中で成長マインドセット(growth mindset)と地域とのつながりの促進(community engagement)を身につけていくのです。

家庭でできる、共に生きる力の育て方

学校が「小さな社会の縮図」だとすれば、家庭は「社会への出発点」です。子どもが多様な人と関わる力や、自分の軸をもって生きる力 (self-confidence) は、家庭での日々の対話から育まれます。まず大切なのは、家庭ごとの価値観を明確にし、しっくりくる言葉を探しつつ伝えることです。

「なぜうちはインターナショナルスクールを選んだのか」
「どんな人に育ってほしいと願っているのか」

そうした問いを、親が子どもに語りかけることが、世界の中で自分の軸を見失わずに生きるための土台になります。このような対話は、子どものためだけではありません。

国際教育は、子どもを育てる教育であると同時に、家族を育てる教育でもあるのです。異なる文化や言語、価値観に触れる過程で、親もまた「自分たちの家庭は何を大事にしているのか」「どのように世界と関わりたいのか」を再確認する機会を得ます。その問い直しこそが、家庭としての国際感覚を深める最初のステップになります。また、比べるだけでなく、つながろうとすることが大切です。

他の家庭や子どもと比較するのではなく、「うちはこういう考え方を大事にしている」と言葉にして共有することが、家庭の文化をつくります。比較からは焦りが生まれますが、価値観の共有からは安心が生まれます。その安心感が、子どもの挑戦する力を支えるのです。毎日の会話でも、

「今日、学校どうだった?」ではなく、
「今日、何を学んだ?」
「何か面白い発見はあった?」
「今日、成功したことはあった?失敗したことは?」

と問いかけることで、子どもの思考は“出来事”から“意味”へとシフトします。家庭の中に内省的な対話の文化を育てることは、「違う」ことが「同じこと」だという子どもにとって最大の国際教育かもしれません。「自分が普通で他人が違う」という視点から、「自分にも違いがあり、他人にも違いがある」という視点に気づけるのは、インターナショナルスクールという多様な環境で生活するからこそ得られる経験です。

インターナショナルスクールの社会的責任

インターナショナルスクールの多くは教育ビジネスとして運営されていますが、そのなかで、国際的な移動を伴う家庭の子どもたち (third culture kids) は、親のキャリアの都合で生活の基盤が変化します。しかし、子どもたちはその移動を選んだわけではありません。だからこそ、インターナショナルスクールには、公教育に近い現地のコミュニティーの意識を持ち、移動の多い子どもたちにも、常に質の高い教育と、世界最高水準のインクルーシブ教育を提供する責任があります。

また、地域の家庭がこのような学校文化に触れることで、グローバルな教育の価値観やインクルージョンの在り方についても、理解が深まり、対話が生まれていきます。インターナショナルスクールは、単なる私立の教育機関ではなく、地域に根ざした存在として、子ども一人ひとりが「自己責任」を育みながらも、他者や社会とのつながりの中で「社会への責任」を学ぶ場であり、その両方に真摯に向き合う教育現場であることが求められています。

“国際家庭教師サービス、国際サバイバル。今すぐ無料体験!”

この記事の記者

二宮彩は、障害と神経多様性のインクルージョンおよび国際教育を専門とするプライベートインクルージョンコンサルタントです。国内外の学校や教育リーダーに対し、バイリンガルやサードカルチャーキッズを含む複雑なニーズを持つ学習者を支援する方法について助言を行っています。異文化間での豊富な経験を活かし、家庭や教育者が異文化環境での子育てや教育の複雑さを乗り越える手助けをしています。また、日本に住む外国人や駐在員家庭を支援する専門知識を持つ医療・福祉の専門家と家庭をつなぐ新たな取り組みも進めています。

関連する投稿


KAISにおける「ビジブル・ラーニングについて」  KAISで実践される、研究に基づいた指導とは

KAISにおける「ビジブル・ラーニングについて」 KAISで実践される、研究に基づいた指導とは

学校選びで最も大切なのは「この学校で子どもは本当に学んでいるのか」という問いです。KAインターナショナルスクールは、世界最大規模の教育研究に基づく「ビジブル・ラーニング」を実践し、日本初の認定校となりました。このアプローチでは、子どもたちが「何を学び、なぜ大切か」を常に理解し、基礎から応用へと段階的に成長します。教師は「この教え方は機能しているか」と問い続け、効果的なフィードバックで子どもの成長を加速させます。目標が明確で成長が見える環境では、子どもたちは受け身ではなく主体的な学習者へと変わります。本記事では研究に裏付けられたKAISの教育実践を具体的にご紹介します。


インターナショナルスクールへの転校を考える前に知っておきたい学校生活言葉の壁:その先にある課題

インターナショナルスクールへの転校を考える前に知っておきたい学校生活言葉の壁:その先にある課題

インターナショナルスクールへの転校は、言葉の壁を越えた先に、新しい文化や価値観との出会いが待っています。本記事では、子どもが多様な環境の中で自分らしさを保ちながら成長していくためのヒントを探ります。


日本におけるニューロダイバーシティとインターナショナルスクール

日本におけるニューロダイバーシティとインターナショナルスクール

インターナショナルスクールは、多文化・多言語・多様な神経特性を持つ子どもたちが共に学ぶ場として、ニューロダイバーシティ(脳の多様性)を実践的に体験できる教育環境を提供しています。 日本でも近年、企業や文化の分野でニューロダイバース人材や障害のあるアーティストの価値が認識され始め、社会全体が「不自由」ではなく「能力」として多様性を捉える方向へ変化しています。 保護者は子どもと日常の会話の中で「違い」を強みとして伝え、互いの多様性を認め合う力を育むことが、未来の社会を豊かにする第一歩となります。


【2025年春開校!】ローラスインターナショナルスクール 文京校

【2025年春開校!】ローラスインターナショナルスクール 文京校

ローラス インターナショナルスクール オブ サイエンス(以下、ローラス)は、首都圏を中心にプリスクール、キンダーガーテン7校、初等部、中等部、高等部(2025年9月開校予定)を運営する、関東最大規模のインターナショナルスクールグループです。この度、2025年春に新しいスクールを文京区にオープンする計画が発表されました。


【サマースクール】小中学生対象 STEAM Summer School/Program 2024開講!

【サマースクール】小中学生対象 STEAM Summer School/Program 2024開講!

日本で唯一のSTEAMインターナショナルスクールのローラスが、サマーイベントを開催。本格的なサイエンスに触れる中学生向けのサマープログラム、楽しくSTEAMが学べる小学生向けのサマースクールに注目です。


最新の投稿


英語を強みにする中学受験 ― 求められる力と学年ごとの準備設計

英語を強みにする中学受験 ― 求められる力と学年ごとの準備設計

英語を強みにした中学受験が広がる一方、難関校が求める力は資格試験では測れません。渋渋・渋幕・広尾学園などでは英検1級でも不合格になることがあります。アカデミックな文章を読み解き、論理的に書き、深い思考を示す総合力が問われるためです。 こうした力は短期間では身につきません。中学年では内容理解しながら読む経験を積み、学習語彙に触れることが重要です。高学年では英語で学ぶ場面を増やし、5年生で要点をまとめる力、6年生で実践的対策へと段階的に進みます。 学年ごとの役割を理解し、適切なタイミングで準備を重ねることが受験突破とその先の学びにつながります。


KAISにおける「ビジブル・ラーニングについて」  KAISで実践される、研究に基づいた指導とは

KAISにおける「ビジブル・ラーニングについて」 KAISで実践される、研究に基づいた指導とは

学校選びで最も大切なのは「この学校で子どもは本当に学んでいるのか」という問いです。KAインターナショナルスクールは、世界最大規模の教育研究に基づく「ビジブル・ラーニング」を実践し、日本初の認定校となりました。このアプローチでは、子どもたちが「何を学び、なぜ大切か」を常に理解し、基礎から応用へと段階的に成長します。教師は「この教え方は機能しているか」と問い続け、効果的なフィードバックで子どもの成長を加速させます。目標が明確で成長が見える環境では、子どもたちは受け身ではなく主体的な学習者へと変わります。本記事では研究に裏付けられたKAISの教育実践を具体的にご紹介します。


【ビジョン 2035】第5の柱: 英語にふれる機会を増やす

【ビジョン 2035】第5の柱: 英語にふれる機会を増やす

英語力向上には週1回の授業だけでは不十分です。2023年の研究で、わずかな量でも毎日英語に触れることが不定期な学習より効果的であることが証明されています。学校では英語の校内放送やサイン掲示、イングリッシュデーなど日常に英語を組み込み、プロジェクト学習や選択授業を英語で実施することで「受け身」から「能動的」な学習者へ変わります。家庭でも英語番組の視聴や音楽を流すなど、継続的な環境づくりが重要です。英語を試験のためではなく、日々の生活で役立つ道具として実感できる環境が、子どもたちの真の英語力を育みます。本記事では具体的な実践方法を紹介します。


【ビジョン 2035】第4の柱: 正しい第一歩を踏み出すために

【ビジョン 2035】第4の柱: 正しい第一歩を踏み出すために

日本の英語教育の大きな課題は、学習初期からカタカナで英単語を教える点です。カタカナは日本語の音体系で設計されており、英語本来のリズム・強勢・母音を歪めてしまいます。一度カタカナ版の音が定着すると修正に何年もかかり、聞き取りや発音の障壁となります。幼少期は音声発達の敏感期であり、正しい発音習得に最適です。ネイティブ音声教材やフォニックス、オーディオブックを活用し、カタカナに頼らない「本物の英語」で学ぶことが、ビジョン2035実現への確かな第一歩となります。 (文字数:200文字)


学校は社会の縮図 小さな国際コミュニティが教えてくれること

学校は社会の縮図 小さな国際コミュニティが教えてくれること

インターナショナルスクールは多様性が前提の小さな地球。子どもたちは共感力や協働する力を自然に学びます。家庭では「なぜこの学校を選んだか」という対話が重要で、比較ではなく価値観の共有が子どもの挑戦を支えます。「今日何を学んだ?」と問いかけ、「自分も他人も違いがある」という視点を育てることが国際教育の本質です。学校には移動の多い子どもたちに質の高いインクルーシブ教育を提供し、地域に根ざした存在として社会への責任を学ぶ場となることが求められます。


“生徒募集!KAインターナショナルスクール”