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【インタビュー】セントメリーズインターナショナルスクール卒業生 斎藤幸さん

【インタビュー】セントメリーズインターナショナルスクール卒業生 斎藤幸さん

セントメリーズインターナショナルスクールの卒業生で、バイリンガル・アカデミー(現:エグシス)の創立者の斎藤幸さんにインターナショナルスクールについてお聴きました。


帰国生が直面する問題

元帰国生でセントメリーズインターナショナルスクールの卒業生の斎藤幸さん。
バイリンガルな教師陣による学習指導を行っているバイリンガル・アカデミー(現:エグシス)。
インターナショナルスクールに通う生徒への指導にも定評があります。
今回、世界の教育事情および国際バカロレアについてお話を聞いてきました。

 例えば、小6の春に海外赴任すると、向こうでは半年遅れの小5に入学します。

 学校の指導言語の理解のために語学を優先して学びます。

 さらに環境、文化に慣れるために半年から1年はかかります。

 そして、3年後の3月に帰国します。

 向こうでは中2の途中ですが、日本では中3の新学期に入学することになります。

 ここに大きな問題があります。

 中3で、日本の学校に入学しても、また日本の指導方法や、学校生活に慣れることが必要です。
 しかし、なんと言っても一番の問題は、学業です。

 『現地校に通って3年間、通ったから』と思う保護者の方が多いのですが、学習面で3年間分学んでいるとは限りません。

 最初の1年間は、語学の修得に力を入れなければなりません。

 2年目は、授業に追い付けても、3年目には、学年の途中で帰国します。

 実質、1年半しか学んでいません。

 現地校に3年通っても、もちろん、日本の学校と学び方、進度も違います。

 科目ごとのばらつきもあります。

 すべてがわかるのは、日本に帰ってからです。
 帰国生にとって、深刻な問題です。

 4月入学・9月入学のギャップ、重複して学習している科目、その時間のロス、さらに現地で教わった科目の専門用語が日本語のどれにあたるのか?など問題は、山積みです。

 これらを考慮するとほとんどのお子さんの学習時計は小6の段階で止まっているとさえ言えます。

学習指導と国際バカロレア

Q.なぜ、インターナショナルスクールに特化した学習指導をしているのですか?

斎藤さんが通ったシンガポール・アメリカンスクール インスタグラムより引用

A.最近、海外駐在が決まる前から、先手を打つ保護者の方が多くなってきました。
 海外駐在で、子どもが苦労するならば、赴任前にインターナショナルスクールに通わせようという保護者の方が増えてきました。 

 もちろん、インターナショナルスクールに入学させず、公立校に通いながら、英語の学習を進めているお子さんもいらっしゃいます。

 帰国後に日本の学校やインターナショナルスクールに入学した場合、赴任先と帰国後の学習面での差を埋めるための学習指導、メンタル的なケアもします。

 その点、うちの教員も帰国生ですし、苦労はよくわかっています。

 ひとりひとり状況が違うので、家庭教師が学習指導にあたるのが効果的です。

Q.国際バカロレアのディプロマの科目も指導されているのですか?

A.国際バカロレアのディプロマは進学に大きく影響します。

 バイリンガルアカデミーには他にも多くのディプロマ取得者がいます。

 やはり、ディプロマ取得は大変なので、その経験を持っているディプロマ取得者が指導すると効果的です。

国際バカロレアのディプロマを取得している松永さん。

 例えば、小論文。

 数学でも、定期的に小論文の課題が出ます。

 指定された文献を読んで、小論文の提出が必要です。

 実は、この小論文がディプロマ取得で重要です。

 課題を解く能力、それを自分の意見として小論文としてまとめていくことがディプロマでとても重要です。

日本の教育と国際バカロレアについて副塾長の小桐さん。

 現在、日本の学校でディプロマ導入が話題になっています。

 しかし、ディプロマをいきなり導入しても、生徒にディプロマのプログラムをこなす力があるだろうか?と思います。

 ディプロマの前に、自分で問題に対し、解決策を見つけ、提案する学習に慣れが必要です。

 高2から急に『国際バカロレアの方式でやりなさい』といわれても、その手法に対応できないと思います。

 重要な小論文が書けなかったり、課題を分析し、解いていく力が足りないのでは、ディプロマ取得に結びつきません。

 もちろん、日本の学校がディプロマを取り入れることは、すばらしいことだと思います。

 しかし、ディプロマの前に成し遂げなければいけないことが日本の教育には、あるのではないでしょうか。

 小学校や中学校の段階から、自分で情報を集め、課題を分析し、解決策を見出し、まとめていく手法を学ぶ必要があります。

 それは日本の40人学級のような知識注入型教育で学ぶことは、難しいと思います。

 国際バカロレアのディプロマの前に、日本の教育が事前に解決するべき課題は多いと思います。

『ピンクの象をおもしろいね、と評価できるか?』

インターナショナルスクールと日本の教育の違いについて、有名なたとえ話があります。

 美術の授業で「好きな動物を描いてごらん」といわれた生徒のエピソードです。

 日本の学校で生徒がシマウマ、キリン、ゾウなどを描いていく。
 ところが、生徒のひとりがピンクの象を描きました。

 日本の学校の先生は、図書室から動物図鑑を持ってきて、生徒に見せます。
 「ピンクの象はいないよ」と。

 ところが、インターでは違います。
 すかさず、先生は「おもしろい!みんな見てごらん!」と。
 ピンクの象はクリエイティビティーの象徴なんですね。
 おもしろい発想だね、と。

 もちろん、ピンクの象がいるとは思えませんが(笑)。
 でも、生徒の頭の中にピンクの象がいた。
 その発想がいいね、と。
 多国籍な生徒が通うインターだからこそ、自分らしさを打ち出していく必要があります。
 だから、インターでは、ピンクの象がほめられるのです。

強い絆

 インターを取材していくと、インター関係者の絆の強さを感じます。
その一方で、絆の強さが日本社会からすると「敷居が高い」ように感じられる。
 ちょっと付き合いにくような・・・。
 英語という壁もありますが、インター卒業生からするとこの文化はどのように感じているのでしょうか?

 そうですね。確かに絆が強いですね。

 在学中はもちろん、卒業後もインターの卒業生は絆が強いと感じます。
 学校にもよりますが、少人数で家族的な雰囲気があります。

 在校生数もこじんまりとしていますし、幼稚園から高校まで一緒だと生徒同士、保護者もお互いに知っている関係になる。

 例えるならば、イメージ的に慶応に近いものがあるかもしれません。

 幼稚舎から入り、同級生も保護者も顔なじみで、卒業後も「三田会」という同窓会があります。

 結束が高く、社会に出てからも連絡を取り合う。

 そういう意味では、おそらくイメージ的に慶応に近い文化かもしれません。

 だから、他校であってインター出身者は、どこか分かり合えるところがあります。

 また、自然と「○○さん知っている?」というような話も出てきます。

 実は、インター同士の交流も多く、例えばスポーツもインター同士で交流試合が開催されています。

 私がいたセントメリーズだとアメリカンスクール、西町、横浜インター、サンモールをはじめ、文化祭などのイベントでも女子校の聖心、清泉と交流がありました。

 自然と他校のインターもつながりが深くなっていく。
 それが卒業後も、インター出身者と仲良くなる接点になっています。

「もちろん、いや、むしろ幼稚園からもう一度やりたいくらいです」

 インタビューを通しで、一番驚いたのが「もう一度、インターで学びたい」というコメントでした。

 自分の中学時代を振り返り、斎藤さんに「中学時代を含め、もう一度インターで学びたいですか?」と質問しました。

 そこで、斎藤さんは「もう一度、幼稚園から学びたいです」と答えました。
 正直、このコメントには大変驚きました。

 インターでの勉強はすごくハードでしたが、あれほど楽しく、充実した時間を過ごせることはありません。

 もう一度、チャンスがあるならば、幼稚園から入り、もっと勉強をしたいです。

 高校でシンガポールアメリカンスクールに入りましたが、そこでも勉強は大変でした。
 でも、おもしろかった。

 歴史の授業で、ある戦争について時代背景、理由を含め、合ったことがあります。
 ちょうどイラク戦争が勃発した時期でもあり、議論は白熱しました。

 これまで、国内のインターに通っている時に歴史の授業で戦争が起きた理由についての議論が高まることはありました。

 しかし、日本のインターの生徒は、どこかしら文化背景が似通っているため、議論は発熱しますが、結論は、それほど大きく違わない。 

 シンガポールでは、東南アジアを含め、宗教も仏教、イスラム教、キリスト教など多様なバックグラウンドを持った生徒が多かったため、かなり意見が違いました。

 また、生徒たちも教養として時事問題を理解し、その上で討論していました。

 そのため、それぞれの考えを反映し、授業もかなり濃いものでした。

 振り返ると大学の国際関係論を学んでいるレベルの授業でした。

 とてもおもしろい授業でした。

 だから、もし、中学から学べるのであれば、いや、できるならば幼稚園からもう一度、インターで学びたいくらいです。

編集後記
 これまで、インターナショナルスクールはベールに包まれ、授業内容を含め、生の声が伝わりにくいところがありました。
 斎藤さんのインタビューで、インターの教育、さらにインターの文化についてもお聞きすることができました。
 今後、APやSAT、ACTといった試験やカリキュラムについても、お聞きしたいと思います。
 斎藤さんありがとうございました。

この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、日本経済新聞やフジテレビホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。

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