Powered by Global Step Academy    
【コラム】国際情勢を反映するインターナショナルスクールの転校事情

【コラム】国際情勢を反映するインターナショナルスクールの転校事情

国際情勢を反映するインターナショナルスクールの転校事情を垣間見るケースがある。香港の民主化運動が続く中で、シンガポールのインターナショナルスクールに問い合わせが増加している。このような動きは、インターナショナルスクール、ボーディングスクールに通わせる家庭で顕著だ。EU離脱に揺れた英国も一時期、ドイツのフランクフルトなどのインターナショナルスクールに問い合わせが増えた。また日本のインターナショナルスクールから海外のインターナショナルスクールに生徒が転校したケースとして東日本大震災が挙げられる。インターナショナルスクールに子供を通わす保護者のリスク管理は、は、まさに「孟母三遷の教え」を実行していると言える。


国際情勢を反映するインターナショナルスクールの転校事情

香港からシンガポールのインターナショナルスクールへ

2020年1月6日付けで金融情報メディアのブルームバーグは、「香港の親たち、シンガポールの学校に熱い視線-政治不安で選択肢模索」を掲載した。

民主化運動が沈静化が見えない中で、インターナショナルスクールに通わす保護者がシンガポールのインターナショナルスクールへ転校を進めているという。

国際都市の香港。金融と貿易関係の外国人が多く住む。

シンガポールのあるインターナショナルスクールも香港からの入学希望者が25%ほど増えたとしている。

同時に、香港から海外への移住も注目が集まっている。

民主化運動の影響で、カナダやオーストラリアなどの不動産ブローカーは移住について香港市民の関心が高まっていると指摘する。

インターナショナルスクールに通わせる家庭は、多くの場合資金力があり、転校を躊躇しない。

香港からシンガポールのインターナショナルスクールへの転校もひとつのエピソードだが、実は、英国のEU離脱でも動きがある。

グローバル企業が、アジア太平洋地域の本部をシンガポールに移転することが多くなった。
シンガポールと隣接するマレーシアにインターナショナルスクールも増加した。

英国EU離脱の事例

2020年1月に欧州連合(EU)から離脱する英国。

この公約まで紆余曲折があり、2017年1月20日付けで、ブルームバーグは「ロンドン去るバンカー、急がないと子供の学校が満杯に」という記事を掲載した。

英国のシティー(金融街)で働く金融機関関係者が英国のEU離脱のためフランクフルトなどに配置転換になった場合を憂いた記事だ。

英国の欧州連合(EU)離脱もこの傾向に一役買いそうだ。離脱に伴いロンドンから配置転換になるバンカーらが、異動先で子供の学校を探すことになるからだ。

EU離脱が不透明になったため、オランダやドイツなどでインターナショナルスクールの転校の問い合わせが急増したことを伝える記事だ。

インターナショナルスクールに通わせる金融機関関係者の教育熱心な姿が浮かんでくる。

実は、日本のインターナショナルスクールも一斉に外国人を中心に同じような事例があった。

2011年の東日本大震災だ。

東日本大震災の事例

2011年の東日本大震災後、国内のインターナショナルスクールの生徒、保護者の多くが海外へ転校していった。

大使館から退避勧告を受け外国人教員も海外に流出し、老舗から新興インターナショナルスクールまで経営危機を迎えた。

政変や災害などインターナショナルスクールに通う生徒と保護者は、グローバル化の影響を受けやすい。

また、保護者は同時により良い学校を世界から選ぶ。

そのため自然災害、環境衛生事情、政治問題など子供にとって良い環境ではないと判断するとすぐに転校する。

その学校選びは、グローバルだ。

世界で5年で2倍に増えていくインターナショナルスクールの校数を支えるのは、「足の速い」生徒と保護者だ。

インターナショナルスクールの保護者は、孟母三遷の教えを実行する。

インターナショナルスクールの転校事情は、政変、自然災害、金融危機などグローバル経済とリンクしている。

その一方で、インターナショナルスクールに通わせる保護者も、海外からの転勤族、在住の外国人、現地富裕層と多様化しているが、「良い教育のために国を移動して転校を決める」。

子供は、育った環境の影響を受ける。

インターナショナルスクールに通わせる保護者の姿は、まさに孟母三遷の教えを実践している、と言えるだろう。

子供は周囲の影響を受けやすいので、子供の教育には環境を選ぶことが大切であるという教えとして、「孟母三遷の教え」ということわざがある。

思想家の孟子の母は、教育環境を配慮して三度転居したという伝説だ。

孟子の母は、はじめ墓場のそばに住んでいたが、孟子が葬式のまねばかりしているので、市場近くに転居した。

ところが今度は孟子が商人の駆け引きをまねるので、学校のそばに転居した。

すると礼儀作法をまねるようになったので、これこそ教育に最適の場所だとして定住した。

紀元前372年頃に生まれた孟子と教育環境を求めた母のエピソードは、まさにインターナショナルスクールの保護者像と重なる。

孟母三遷の教え。

2千年以上の年を超えても、その思いは変わらないようだ。

こちらも参考にしたいですね。

東大合格者数No.1の開成で静かに進むIVYリーグ1%の衝撃 | By インターナショナルスクールタイムズ

https://istimes.net/articles/922

東京大学の合格者数で35年以上トップの開成高校。2012年は海外の大学への進学者数は0。しかし、2017年では、その1%が海外の大学に進学していく。東大から海外への流れを2012年以降の同校の公表データからまとめてみた。(編集部2018年1月データ追加)

【英国発】ジョージ王子の学校が決定!一体どんな学校なの!? | By インターナショナルスクールタイムズ

https://istimes.net/articles/894

先日、英国王室はウイリアム王子とキャサリン妃の長男、ジョージ王子(3歳)が9月からロンドン南部にある「トーマス・バタシー校」に入学する事を明らかにしました。ジョージ王子に自分が卒業した学校とは、別の学校を選んだウイリアム王子、キャサリン妃夫妻。どんな学校に入学するのかロンドン在住のChika B記者がご紹介します。

英国王室 キャサリン妃に学ぶプリンセスになる学校選び  | By インターナショナルスクールタイムズ

https://istimes.net/articles/800

英国王室のプリンセスキャサリン妃は、どのような学校で学んできたのか?シャーロット王女も生まれ、ジョージ王子とともに人気の英国王室。ウィリアム王子とシャーロット王女も英国式保育園で学んでいます。ではキャサリン妃は、どのような教育を受けて育ってきたのでしょうか?プリンセスになったキャサリン妃のプリンセスの教育を解析します。

この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。

最新の投稿


25年1月 ドルトン探究ラボが丸の内で開催!

25年1月 ドルトン探究ラボが丸の内で開催!

探究学習のパイオニアであるドルトンプランによる幼児(5-6歳児)・小学1-3年生(親子で参加)向けのドルトン探究ラボが2025年1月13日(月・祝)に丸の内で開催されます。日本の経済の中心である東京 丸の内のまちづくりに携わる三菱地所の所員さんとプログラムの中で自ら疑問を持ち、問題を発見し、解決するための調査や実験を行うプロセスを重視した体験ができます。


Overview of Snowbound and Leadership Camp 2024-25!

Overview of Snowbound and Leadership Camp 2024-25!

Come experience something truly unique with us at the Snowbound and Leadership Camp 2025 with the breathtaking winter scenery of Niseko, Japan. This year is almost here for the 2024-25 Snowbound and Leadership Camp.


BST Hosts Special Event with Munich Philharmonic Orchestra

BST Hosts Special Event with Munich Philharmonic Orchestra

As part of an inspiring cultural exchange between Germany and Japan, supported by BMW Group Japan Corp. (President and CEO: Masatoshi Hasegawa, hereinafter "BMW"), The British School in Tokyo (BST) was honoured to host a special event in partnership with the Munich Philharmonic Orchestra.


BST、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団と特別イベントを開催

BST、ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団と特別イベントを開催

ビー・エム・ダブリュー株式会社(代表取締役社長:長谷川正敏、以下「BMW」)の協賛のもと、ドイツと日本の文化交流の一環として、ブリティッシュ・スクール・イン東京(以下BST)はミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団との特別イベントを開催しました。この貴重な機会は、同楽団の日本ツアー(11月7~8日)に先立ち、11月6日にBSTの麻布台ヒルズキャンパスで実施され、生徒たちが楽団のメンバーと直接交流する貴重な場となりました。


幼小中まであるモンテソーリ・スクール・オブ・トウキョウ(MST)の学びとは

幼小中まであるモンテソーリ・スクール・オブ・トウキョウ(MST)の学びとは

東京都港区にあるモンテソーリ・スクール・オブ・トウキョウ(MST)。様々な国籍の子供たちが学ぶ日本では唯一の幼小中の教育課程をモンテソーリで学べるインターナショナルスクールです。日本初の国際モンテソーリ協議会(IMC)の認定校で、国際モンテッソーリ協会(AMI)の研修を受けた先生がたが指導に当たっています。