26年 国際系小学校が増加!
サレジアン国際学園小学校 インターナショナルクラス(東京都)、LCAきたかる森のインター初等部(群馬県)、うつほの杜学園(和歌山県)など国際系小学校の開校が増えています。
2024年4月には、昭和女子大学附属昭和小学校に国際コースが開設しました。
小学校受験において、新たな動きが見られています。それが、国際コースやインターナショナルクラスと呼ばれる国際系小学校の増加です。
▽ そこで、主要な国際系小学校のマップを作成しました。

上記のマップは、著作権フリーです。
赤枠のサレジアン国際学園小学校 インターナショナルクラスは、2026年4月に開設予定。
国際系小学校は、多摩地域、城南地域、そして城北地域に26年4月サレジアン国際学園小学校 インターナショナルクラスが開設され、公立1校、私立5校へ。

都内では、2008年のLCA国際小学校の開校から、英語による授業比率の高い小学校の開校が増えています。
なぜ小学校で国際コースが人気になってきたのか?
この背景を理解するには、英語力を持った幼児が育つ2つの環境を知る必要があります。
■1.プリスクール(英語幼児園)の増加です。

写真は、26年4月開設予定のサレジアン国際学園小学校のイメージ写真。
全国に約800校あるとされるプリスクールは、保育無償化政策が進む中でも自己負担額が高いのが特徴です。
それでも、英語で探究的に学べる点が評価され、多くの家庭に支持されています。
幼児期に英語で保育や教育を受けることで、英語を第二言語として意識せずに自然と身につけることができます。
そのため、年長クラスになると英語でプレゼンテーションや短い文章を書くことも可能になります。
このような英語力を重視する保護者が増えています。
理由としては、小学校での外国語活動の必修化や、中学・高校受験における英語の重要性が高まっていること、また社会に出てからも英語力が求められる傾向が強まっていることが挙げられます。
幼児期に自然な形で英語環境に触れるイマージョン教育が支持されています。
■2.おうち英語の広がり
おうち英語は、家庭内の英語教育として、多くの方法がSNSなどでも伝わっています。
英語の歌や動画をYoutubeを活用し、また絵本や英語アプリなどを使い、親が子どもの興味やレベルに合わせて自由に進められます。
そのノウハウをシェアするSNSコミュニティーは、増加しており、プリスクールがない地域や通園が難しい場合でも、おうち英語によって家庭内で英語イマージョン教育に近い環境を作ることができます。
また、親が子どもの成長や興味に合わせて学び方をカスタマイズできるのが特徴です。
おうち英語を通じて英語力を身につけた子どもが国際系小学校を受験するケースも増えています。
国際系中高一貫校へのルートへ
下記は、国際小学校の卒業事例として、LCA国際小学校の進学先を公式サイトから一部抜粋しました。
国際系中高一貫校に強く、同校の卒業生の追跡調査では、英語で学べる国内外の大学を選ぶ傾向があります。
・渋谷教育学園渋谷
・広尾学園
・広尾学園小石川
・三田国際学園
・東京学芸大学附属国際中等教育学校
・サレジアン国際学園
・公文国際学園
・開智日本橋学園
・芝国際中学校
出典:LCA国際小学校 https://elementary.lca.ed.jp/entry/performance
国際系小学校を選ぶご家庭は、上記の国際系中高一貫校を選ぶ傾向が高いと考えられます。
帰国生の受け入れ先としての国際系小学校
従来、帰国生教育では日本文化への適応が重視されてきましたが、現在は「海外での学習・生活体験を尊重し、その特性を伸ばし、活用する」教育へとシフトしています。
次の海外駐在が決まっている家庭では、英語で学べる環境=インターナショナルスクールを選ぶケースも増えています。
しかし、インターナショナルスクールは学費が高く、通学範囲も限られるため、次の駐在が決まっていない場合など多くの帰国生は国公私立に転入することが一般的でした。
国際系小学校が増えたことで、帰国生にとっても英語で学び続ける選択肢が広がり、再度の海外駐在時にも負担が減ると考えられます。
国際系小学校とインターナショナルスクールの違い
国際系小学校とインターナショナルスクールは、どこが違うのかをまとめました。
国際系小学校は、日本語を公用語にしながら英語と英語による授業があり、国際教育を取り入れているのに対し、インターナショナルスクールは英語を公用語とし、多国籍の生徒が集まる点が大きな違いです。

編集部 作成:国際系小学校とインターナショナルスクールの違い
国際系小学校人気と今後の課題
東京都立立川国際中等教育学校附属小学校の志願者倍率が25倍から30倍などの事例に見られるように、国際系小学校は高い人気を集めています。
今後も英語イマージョン型のカリキュラムを持つ学校ほど人気が高まる傾向にあります。
一方で、課題もあります。
■1.日本語力について
英語で学ぶ時間が増えることで、日本語の読解力や語彙力が通常の小学校より伸びにくくなる可能性が指摘されています。
今後は日本語力の成長についても研究が進められることが期待されます。
■2.外国人児童の受け入れ体制
高度外国人材が増える中で、外国人児童の受け入れ体制や、地方での国際系小学校の整備も課題です。
東京都立立川国際中等教育学校附属小学校は、英語の授業数が多い小学校ですが、英語による授業を増やすと外国人児童が学びやすい環境ができます。
外国人児童が増えるなかで、国際系公立小学校の整備は地域によって必要になってきます。
国際系小学校は、インターナショナルスクールと従来の小学校の中間に位置する新しいタイプの学校として、今後も注目が集まりそうです。
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。