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【インタビュー】山口学園長 LCAきたかる森のインター初等部・プリスクール 26年4月に開校へ

【インタビュー】山口学園長 LCAきたかる森のインター初等部・プリスクール 26年4月に開校へ

軽井沢は、豊かな自然や東京から新幹線で約1時間という利便性から、子育て世代にも注目されています。山口学園長が率いるLCAきたかる森のインター初等部・プリスクールは、26年4月に開校予定で、極少人数教育や本格的なバイリンガル教育を特色とします。「ふるさと科」「生き方科」など独自の探究型学習も導入し、子ども一人ひとりの可能性を伸ばすことに力を入れています。また、多様な進路選択を支える提携校とのネットワーク構築も進めています。


2026年4月に開校予定のLCAきたかる森のインター初等部・プリスクール

やわらかな雰囲気が伝わってくる外観。
LCAきたかる森のインター初等部・プリスクールの公式ホームページより引用。

インターナショナルスクールが増える中で、小中高の小学校部分が少なく、軽井沢にインターナショナルスクールの初等部を、という声が増えていました。

軽井沢は、元軽井沢から北軽井沢、追分など広い地域です。

軽井沢は、歴史的に旧軽井沢を中心に宿場町・リゾート地として発展し、その後、追分や北軽井沢といった周辺エリアへと広がりを見せてきました。

リゾートから移住地へと変わりつつあります。
コロナ禍を挟み、新幹線で東京駅から最短で約1時間の軽井沢が持つアクセスの良さと自然環境などが子育て世代にも人気になってきました。

軽井沢は、国際教育でも芽が出ている地域です。
歴史を紐解くと明治にカナダ人宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーがこの地の自然と気候に魅了され、避暑地としての軽井沢の歴史が始まります。

インターナショナルスクールの多くは、キリスト教と関連しており、軽井沢地域の開拓史の文脈として国際教育の土壌があったと言えます。

全寮制の国際バカロレアの高等学校であるUWC ISAK Japanや幼小のイートンハウス・インターナショナルスクール軽井沢、ポピンズナーサリースクール軽井沢風越などインターナショナルスクール系の学校が増えています。

LCA国際小学校からLCAきたかる森インター初等部へ

村田: 本日はLCA国際小学校の山口紀生学園長にお話を伺います。
山口先生は公立学校の教師から、日本初の株式会社立LCA国際小学校を設立、LCA国際プリスクールや東京都英語村TOKYO GLOBAL GATEWAYでのプログラム開発・運営などにも関わっておられます。

まずは、LCA国際学校の設立に至る経緯や教育理念についてお聞かせいただけますでしょうか。

山口学園長:元々、公立学校の教師をしていたのですが、既存の教育システムに対して「もっと子どもたちが主体的に学べる環境を作りたい」と、子ども4人の小さな塾からスタートしたのが始まりです。

公立学校での経験が原点となり、その良いところは残しつつ、改善すべき点は改めて、理想の教育を追求しようと考えました。

北軽沢に開校する緑に囲まれたキャンパス。
LCAきたかる森のインター初等部・プリスクールの公式ホームページより引用。

村田: 具体的に、公立学校のどのような点に疑問を感じられたのでしょうか?

山口学園長:子どもたちが自分のやりたいことを見つけられず、それを大人に伝えられない状況が特に気になりました。夏休みの予定を聞いても、ワクワクするような計画がなくて何も答えられない子が多かった。

また、教育現場では「~しちゃダメ」「~しなさい」という指示があまりにも多く、子どもたちの自主性を育むには程遠い状況だと感じました。

村田: そこから英語教育に着目され、プリスクールを開設されたのですね。

山口学園長: アメリカのロッキー山脈で、子どもたちが大自然に触れるプログラムを準備して引率した際、子どもたちが英語を話せない現実に直面し、これからの時代に英語は不可欠だと痛感しました。

それで英会話教室を始めたのですが、週1回では限界がある。

そこで、日常的に英語に触れられる環境を作るために、2000年に「LCAインターナショナルプリスクール」を開園しました。

当時はまだ「フリースクール」という言葉も一般的ではなかった時代です。

先生は外国人で、子どもたちは日本人という環境の中、3年間で子どもたちは驚くほど英語が堪能になり、日常生活を英語で送れるようになったんです。

その子たちが卒園するにあたり、「小学校でも日々英語を使える場所を作ってほしい」という保護者からの強い要望がありました。

村田: そして、日本初の株式会社立小学校「LCA国際小学校」の設立へと繋がるわけですね。

山口学園長:はい。ただ、学校設立には莫大な資金が必要で、当初は困難を極めました。
しかし、ちょうど小泉純一郎内閣の構造改革特区制度によって、株式会社でも学校を設立できる道が開かれたのです。

寄付行為は不要、ただし補助金もないという条件でしたが、これを利用して2005年にまずフリースクールとして3年間運営し、その後、認可を取得して正式に株式会社立のLCA国際小学校としてスタートしました。

村田:時代の追い風もあったのですね。LCA国際小学校の教育的な特徴についてお聞かせください。まず、教育方針の根幹にあるものは何でしょうか?

山口学園長:「教育は子どもたちが幸せになるためにある」という考え方です。
まず、子ども自身が幸せを感じ、高い自己肯定感を持つこと。
そうすれば、自ら学びたいという意欲が自然と湧き、結果として学力も向上すると信じています。

勉強を「させる」のではなく、幸せにすることで学びへと繋げる。

その順番が一般的な学校とは違うかもしれません。

村田:英語イマージョン教育や少人数体制も大きな特徴ですね。

山口学園長: 授業は国語など一部を除き、基本的に英語で行います。

クラス担任は外国人教師が務め、1クラス約20人という少人数教育を徹底しています。

これにより、きめ細やかな指導と、子どもたちが自然に英語を使う環境を実現しています。

村田:株式会社立の学校として、運営面でのご苦労について教えていただけますか?

山口学園長:国からの補助金はありませんので、全て保護者からいただく学費で学校を運営しています。

授業だけでなく、キャンプやスキー、ミュージカルの発表といった行事の活動費も学費に含まれます。

また、土曜日のスクールや季節ごとの特別プログラムなどでの収益を学校運営に充てていますが、教員配置を手厚くしているため、収益性よりも、子どもたちにとって必要な教育を提供したいという思いで続けています。

村田:LCAで学んだ卒業生は、社会でどのように活躍されていますか?

山口学園長: ほとんどの児童が私立中学校に進学することになりますが、それぞれの学校で非常に積極的に活動していますね。

中学校で、LCAの卒業生が生徒会の役員を務めるケースが多いのは、自己肯定感が高まっている証だと思います。

小学校卒業までの間にしっかりとした考え方を育めれば、どんな環境でも生き抜いていけると信じています。

中学校に進学後、LCAとは違う環境でカルチャーショックを受けることもあるようですが、そこで自分で考えて調整していく力を身につけています。

村田:小学校卒業後の進路として、中学校設立の構想もお持ちだったとか。

山口学園長:保護者の方々からも、LCAの教育理念を引き継ぐ中学校を望む声が多くありますし、私自身もその必要性を感じています。

しかし、資金面でのハードルが高く、まだ実現できていません。

村田:その中で、提携校との連携という新たな道が開けたのですね。

山口学園長:東京都の私立学校協会などから情報提供を受け、学校間でのネットワークを構築していく中で、LCAの卒業生が英語力を活かして進学できる提携校ができました。

これを機に、必ずしも自前で中学校を設立することにこだわらず、複数の提携校とのネットワークを広げ、子どもたちに多様な進路選択肢を提供していきます。提携校側からも、LCAの児童たちの積極性や素直な伸びしろを高く評価していただいています。

村田:今回、公表された北軽井沢の新設校のプロジェクトは、まさにその新しい挑戦ですね。

山口学園長:これは群馬県長野原町の町おこし事業の一環で、廃校を活用するプロジェクトです。

国から認定された「長野原町グローバル教育特区」として、町と協力しながら旧北軽井沢小学校の校舎の維持管理を行い、LCAが学校運営を担います。

この新設校では、日本の学習指導要領に準拠した「一条校」としての位置づけを保ちつつ、本格的なバイリンガル教育、そして1クラス15名程度の生徒に教員3名を配置する「極少人数教育」を導入します。

これは、子ども一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、自由な探究を促すためのものです。

村田:カリキュラムにも特徴があるそうですね。

山口学園長:「よく学び、よく遊び、よく休む」というウェルビーイングのバランスを重視し、「ふるさと科」という地域資源を活用した探求学習や、「生き方科」という、児童それぞれのペースや個性に合わせた時間的に余裕のある学習がカリキュラムに含まれます。

入学対象者には、通学圏内の軽井沢町などに在住のご家庭だけでなく、北軽井沢に教育移住するご家庭も想定しています。

こどもたちのWell-beingが中心となる理念。
LCAきたかる森のインター初等部・プリスクールの公式ホームページより引用。

村田:将来的には中高一貫教育も視野に入れていらっしゃるのですね。

山口学園長:北軽井沢では小学校に続き、国際標準のカリキュラムを導入した中高一貫のインターナショナルスクールを構想し、開校に向けた検討を進めています。

これにより、国内外の大学進学に対応できる教育を提供したいと考えています。

村田:「よく学び、よく遊び、よく休む」きたかる森のインター初等部・プリスクールの特徴が見えてきました。LCA国際小学校のノウハウなど今後、さらに求められるように感じます。

山口学園長: LCA国際小学校で培ってきたノウハウを活かし、本学園では、学校設立を目指す自治体や団体へのコンサルティング事業も行っています。

自分たちで直営の学校を次々に建てるのは難しいですが、このような形でも、日本の教育の多様化に貢献できればと考えています。

村田:LCAきたかる森インター初等部・プリスクールも自治体と教育移住される方のニーズですね。

LCA国際小学校のノウハウが必要とされる機会がさらに増えそうです。
楽しみしております。

昼休みにLCA国際小学校の校庭で山口校長の写真を撮影。
会議室から校庭まで歩く間、山口先生が次々に生徒たちと話をしていきました。

LCAきたかる森のインター初等部・プリスクール お問い合わせ 

LCAきたかる森のインター初等部・プリスクール
公式サイト:https://kitakaru-ele.lca.ed.jp/
〒377-1412 群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1924-44

学校説明会(東京都江東区 お台場)
日時:8月30日(土)13:30~15:00
場所:TOKYO GLOBAL GATEWAY (TGG)(東京都江東区青海2丁目4−32 タイム24ビル)
申込:https://forms.gle/693Wt24kwkx3yhR77

2026年度生の募集要項

1. 募集人員 約15名
 新1年生、新2年生(複式1クラス)

2. 受験資格 2018年4月2日から2020年4月1日までに生まれた者

3. 入学試験
第2回
出願受付期間:2025年9月29日(月)〜10月3日(金)
面談・入試期間:2025年10月12日(日)〜10月13日(月祝)

4. 納入学費等
受験料:30,000円

入学手続き時の費用
入学金:600,000円
保証金:300,000円

入学後の学費等
授業料(月額):240,000円  諸経費、施設協力費、ICT教育費等を含む
給食費(月額):10,000円
個人用教材費:都度徴収(絵の具セット、書道セット、裁縫セット等)

5. スクールバス 時間:登校時と下校時の1便ずつ(8:45学校着と15:30学校発を予定しています)
料金:随時掲載します

6. 学童保育
時間:15:30-18:00までの預かり
料金:無料

この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。

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