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【インタビュー】フレンズ帰国生母の会

【インタビュー】フレンズ帰国生母の会

30年以上の海外生活教育相談から積み重ねたもの海外赴任先のアドバイス、帰国子女入試・編入など海外生活教育相談を中心に活動してきたフレンズ。そこには、保護者だからできる思いと経験がありました。


赴任先がアジアへシフトし、さらに駐在員のお子さんの低年齢化が進んでいます。

フレンズ 帰国生 母の会 代表の松尾さん

赴任先がアジアへシフトし、さらに駐在員のお子さんの低年齢化が進んでいます。
その一方で、家族を日本に残し、単身の海外赴任も増えているようです』とフレンズ 帰国生 母の会 代表の松尾さん。

 今回、保護者の視点及び最近の帰国生の事情について、前代表の稲垣さんと、松尾さんにお話をお伺いしました。
 フレンズは、東京海上日動火災保険㈱の支援により、同社ビル新館内のオフィスで、約40名のボランティアスタッフが活動を行っています。

 その他、国内・海外のネットワーク会員の協力を得て、海外の生活・教育等の赴任地事情の情報収集を行っています。

フレンズ帰国生母の会の主な活動は

① 相談受付(面談・電話・メール)

海外渡航前・滞在中・帰国後のそれぞれの段階の相談(生活・教育など)を経験者の立場からアドバイス。

② 「母親が歩いて見た帰国生のための学校案内」の発行 (毎年9月発行)

それぞれの子供に合った学校選びのガイドブックとして、母親の視点から制作。

③ 機関誌「フレンズだより」発行

フレンズからの提言や問題提起、特集記事、国内外の教育・文化などの情報、帰国生関連記事、中学・高校の編入学情報を掲載。(年2回、6月・12月発行)

④ 赴任前セミナー

海外赴任されるご家族向けに現地での生活・教育などについてガイダンスや面談など必要に応じた形式でセミナーを実施。

⑤ ホームページ

活動内容、ご相談(Q&A)、学校情報(編入・教育情報・学校案内)、海外情報(赴任地体験・各国だより)、フレンズから(フレンズだより・シンポジウム講演会記録・スタッフ通信)、リンク集などの情報提供。

⑥ シンポジウム・講演会開催

取り上げたテーマに合わせ、講師やパネリストを招き開催。

『グローバル化の進展にともない、帰国生の多様化が進んでいます』と松尾代表

 日本語や適応教育など支援が必要な帰国生のための教育は、義務教育の小中学生については、地域のセンター校を中心に行われています。

 しかし、高校生以上になると義務教育ではなくなるため、日本語指導を含めた各種サポートは少なくなります。
 そのため、お子さん、保護者にとって高校段階での帰国が課題です。

高2の9月

 高校での編入学は「高校2年生の9月まで」としている学校が多いようです。

 個別事情により、高2の9月以降でも受け入れる場合もありますが、現実として学校選びの選択肢はかなり狭められます。

 そのため、高校進学段階で早めに帰国するか、現地での高校進学を決めた場合、帰国時期の決定が大きな問題となります。

赴任中の準備がポイント!

赴任中に帰国後を見据え、学校選びの準備をしておくとだいぶ違うようです。
Q,どのように準備をすると良いのでしょうか。

赴任中から帰国後のお子さんの年齢と受け入れ可能な学校など、諸条件を調べ、どの学年から入学が難しいのか、他にどのような方法があるのか、事前に把握すると良いでしょう。

 赴任中に帰国後の教育環境についてイメージしておくことで、万が一、想定外の帰国となっても、計画に沿って更に情報収し学校選びを進められます。

 それに対し、あわただしい動きとなるのが、事前準備なしで急な帰国となった場合です。

 帰国までの短い時間の中でどの学校が帰国生を受け入れ、帰国生にどのような対応を取っているか、比較検討することは難しいでしょう。

 帰国準備のため忙しいなかで、不安な時間を過ごすことになります。

 是非、時間にゆとりのある時期に、帰国後の学校について、お子さんを含め、ゆっくり考えることをお勧めします。

 私どもの学校案内は、そういう気持ちを込めて制作しておりますので、お子さんに合った学校選びの参考にして頂ければ幸いです。

母子残留の場合の注意点

 お子さんの強い希望、卒業まであと数カ月、あるいは日本での編入受け入れがない時期などの帰国命令で、母子だけで残留を希望するケースがあります。

 この場合、会社・派遣先によって対応が異なります。ご主人が帰国されるとその時を境に、会社からの家賃補助などの海外赴任手当、保険など受けられなくなる場合もあります。

 また、アメリカの法律では、180日間以上アメリカ国内に不法滞在した人は3年間の入国禁止。1年間以上の不法滞在者は10年間の入国禁止、強制退去処分を受けた場合は20年間の入国禁止となります。

 帰国後、再び旅行でアメリカに行こうとしても、入国できません。

 お子さんもアメリカでの不法滞在の経歴が残り、将来、旅行や仕事で、アメリカに行こうとしても、入国を拒否されることがあります。

 母子残留の場合、会社の対応を確認し、その国の法に従いビザの書き替え等、適切な手続きをとる必要があります。

通信教育の活用

『高2の9月』と『母子残留』をさけるため、帰国後に通信教育を活用する道もあります。

 高校課程のカリキュラムを、帰国後、通信制高校で学ぶ方法です。アメリカやカナダの通信制高校のほかに、日本の通信制高校もありますので、ライフスタイルに合った選択が出来るようになっています。

『近年は、インターネットにより、便利になりました。』と前代表の稲垣さん。

社会の変化とコミュニケーションツールの多様化

 フレンズが創立された1980年代に比べると、コミュニケーションツールが発達しています。

 昔は、高かった国際通話の電話料金が、スカイプを使えば無料です。
 またメールやソーシャルネットワークの活用によって、相談や情報収集する手段が増えました。

 さらに赴任先の生活も一変しました。

 衛星放送で日本のテレビ番組を見たり、YouTubeなどの動画サイトで日本の動画を見ることができますし、インターネットで日本の通信教育や塾の講義も受けられます。

 赴任者の多いアジアを始め、世界の大都市で、日本の塾が進出し、お子さんを学習塾に通わせることも当たり前の光景となってきました。

 海外に居ながら、日本と変わらない生活を送る子どもたちも多くなっています。

帰国生の切実な声

その一方で、切実な声を耳にしたこともあります。 30代の方からのお電話でした。

『親の仕事の関係上、幼少時から数年ごとに赴任地が代わり、その度に現地の学校で学びました。
いろいろな言語で学びましたがどの言語も母語と言えず、苦しんでいます。
私のような帰国生を作らないように、一つしっかりとした母語と言える言語を持つことはとても大切なことだと実感しています。
これから赴任なさる方々に伝えて下さい』という内容でした。

 一般的に、帰国生は優秀で、将来語学を含めグローバルに活躍できるという見方が増え、帰国生は、海外での経験も豊かで、言語の習得においても素晴らしい環境にあると思われがちです。

 しかし、帰国生のなかには、日本語補習校もなく、複数の言語で授業を受けなければならないお子さんもいます。

 その場合、そのお子さんの教育は一貫性を欠き、言語面を含め、将来にも大きな影響を残し続けます。

 現地の教育にキャッチアップし、さらに日本に帰国する準備のために、相当な努力を必要とする帰国生も多くいます。

 帰国生と言っても、一人ひとり赴任した年齢、赴任地の環境、家庭の教育方針などによって大きく異なり、多様化しています。

今後の願い

 フレンズも創立から30年以上が経ちました。
 また、帰国生の活躍も様々な分野に増えています。

 就職の面でも、企業の帰国生への評価が高まっているようです。
 それに伴い、帰国生を積極的に採用する企業も増えています。

 グローバル化の進展に伴い、日本の教育や進学システムなど改革が必要ではないかと感じています。

 いつ帰国しても、どんな環境で教育を受けてきた帰国生も教育現場で受け入れられる体制を整えて頂きたいと思います。

 そのなかで私が期待するのが、帰国生です。

 この30年間の累積帰国生は30万人位に達しています。

 帰国生は今や、様々な職種で活躍し、海外経験をされた教員や官僚などもいらっしゃるのではないでしょうか。

 元帰国生が、自身の体験を活かし、内側から、日本の教育を変えてほしいと期待しています。

母親が歩いて見た 帰国生のための学校案内 首都圏版

母親が歩いて見た帰国生のための学校案内 首都圏版
2016年度版 2015年9月16日発行
書籍のほかにPDF版があります。

【コラム】フレンズが創立された約30年前

 帰国生の教育問題に対する社会的認知度は高くはありませんでした。
 当時、帰国生の保護者たちは「帰国生を受け入れる高校がない」という現実的な困難に直面していました。

 現在のようにインターネットもSNS(ソーシャルネットワーク)もない時代のことです。

 帰国生の保護者は、直面する課題を解決するために連携し、高校を訪問、受け入れをお願いし、「高校案内」を作成、帰国生の直面する問題を発信し、文科省に要望書を提出するなど動き出しました。

 この活動がフレンズの歴史の始まりです。

その活動史は『社会貢献』で括られるほど軽いものではありません。

 それは、フレンズが正式名称にある通り『母の会』であり、そこには帰国生の母の立場、さらには『友人(フレンズ)』としての視点や立場が含まれています。

 現在、非営利組織や社会起業家は、社会的な認識、法制度を含め、整備された環境を活用することができます。

 しかし、30年前に千駄ヶ谷のマンションの一室から始まったフレンズの活動を支援する社会制度、法制度はほぼありませんでした。

 その活動の中で、東京海上日動火災保険㈱がフレンズの活動に賛同し、支援の手を差し伸べます。
 さらに他企業へとその輪が広がり、東京海上日動火災保険㈱を初めとする賛助企業の援助と協力を得て活動を続けています。

 そして学校や教育関係機関とも協力関係を築きながら、フレンズ 帰国生 母の会は、自らの手で草の根的に組織を構築し、一歩ずつ歩みを積み重ねてきました。

 この30年の活動実績は、多くの企業、学校、教育関係者から認められています。

 これからも、現状に合わせた情報収集と母親としての視点に立ったアドバイスで赴任者にとって大きな拠り所となることでしょう。

お問い合わせ

フレンズ 帰国生 母の会
〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-2-1 
東京海上日動ビル新館703 
TEL:03ー3212-8497  
FAX:03ー3212-8419
URL:http://www.ne.jp/asahi/friends/kikoku/

編集後記
元代表の稲垣さん、現代表の松尾さんのお話には、帰国生の教育問題に携わってきた重みがありました。
お話をお伺いさせていただいた時、『2014年度版 母親が歩いて見た帰国生のための学校案内』の編集作業中でした。
その合間にお邪魔し、写真を撮らせていただきました。
取材にご協力いただいたフレンズ 帰国生 母の会のみなさまありがとうございました。

この記事の記者

インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、日本経済新聞やフジテレビホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。

プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。

国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。

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