世界で急成長するインターナショナルスクール業界
ブラジル、ロシア、インド、中国の4ヶ国がBRICsと呼ばれていますが、経済の発展、人口の増加に対して、インターナショナルスクールも増加しました。
この数年でその存在感がさらに増してきました。
新興国として、オリンピックを開催したブラジル。
さらに21世紀に飛躍する11カ国として韓国、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナム、メキシコがNext Eleven(ネクストイレブン)と呼ばれています。
しかし、インターナショナルスクールの増加は、新たな段階に進んでいます。
それが、発展途上国の公教育までインターナショナルスクールが担うこと。
学校と教員、カリキュラムなど安定的に運営ができないのならば、それらの国では富裕層の教育は「インターナショナルスクール」に任せて、国として公教育として必要な学校教育をしよう、となりつつあります。
これまでのインターナショナルスクールの成長
インターナショナルスクールに関する世界的な調査機関であるISC社(International School Consultancy Research)は、記事の中で次のように書いています。
International School Consultancy Researchの調査をもとに編集部が作図。
2000年、英語で学ぶインターナショナルスクールの生徒数は、幼・小・中・高(K-12)で合わせて100万人にも達しませんでした。
それが、2017年現在、世界でインターナショナルスクールに通う生徒数は、460万人まで増えています。
10年後の2027年にはインターナショナルスクールに入学する子供たちの数は1000万人に達すると予想されています。
ISC社の予測では、英語で学ぶインターナショナルスクールの教育市場の規模は、現時点で415億ドル(約4兆6千億円)。
2027年までには850億ドル(9兆4千億円)まで上がると予想されています。
インターナショナルスクールの増加は、親のニーズの表れ。
なぜ、世界でインターナショナルスクールが急増するのか?
■インターナショナルスクールが増えた世界的な要因
インターナショナルスクールが世界で増えた要因は、いくつか指摘されています。
1.新興国を含め、世界で富裕層が増えた。
2.人口が増加し、教育のニーズが高まり、富裕層が国際教育に教育投資をするようになった。
3.グローバル化の進展に伴い、海外駐在員が世界的に増えた。
4.それに伴い、世界各地でインターナショナルスクールのニーズが高まった。
では、なぜ、インターナショナルスクールに入学させたい親が増えているのでしょうか?
新興国の富裕層の増加が、インターナショナルスクールの増加と関連しているようです。
インターナショナルスクールで学ぶと我が子の可能性が広がる?
ISC社は、記事の中でインターナショナルスクールに通わす家庭の変化をしてきています。
それは、従来、海外からの転勤族の子供達が通うインターナショナルスクールが、地元の生徒も受け入れるようになったことで、大きな変化が起きていると指摘します。
■インターナショナルスクールを地元の生徒にも!
1.我が子に質の高い教育を受けさせたいと願っている家庭の数が増えていること。
2.英語で世界的に人気な大学志願資格(編集部注記:Aレベルや国際バカロレアのディプロマ資格課程など)を学ぶことができる。
3.良い大学志願資格を得ることで、より国際的な大学などに進学する可能性が高い。
4.より国際的な大学などに進学すると、就職時、さらにその後の人生で様々なチャンスを得やすい。
すなわち、多くの保護者は、インターナショナルスクールに進学することで学歴、職歴が有利になると考えているのです。
英語で学び、海外で学ぶことで人脈ができ、その後の仕事や人生が大きく変わると考える親が多い。
ベトナムは、インターナショナルスクールのニーズが地方都市にも
ISC社は、ベトナムのインターナショナルスクール増加について次のように記事にしています。
現在、ベトナムのインターナショナルスクールは、ベトナムのインターナショナルスクールは、首都ハノイとホーチミンで増えていました。
現在、ベトナムでインターナショナルスクールの校数は、109校、3万9千人以上の生徒がインターナショナルスクールに在籍しています。
インターナショナルスクールに入学できる生徒は、外国人の生徒が中心です。
ハノイにある国連が運営するインターナショナルスクール”UNITED NATIONS INTERNATIONAL SCHOOL OF HANOI”。
ベトナムではインターナショナルスクールに通える地元の生徒枠を設けています。
小学校は、生徒数の10%まで、中学校・高校では生徒数の20%までにするように制限をしています。
しかし、第73条と呼ばれるベトナムの教育に関する法律改正が待たれています。
高い経済成長が見込まれるベトナムでは、様々な分野で国際的な技能、経験、基準、国際品質を育成することが必要とされるからです。
すなわち「国際知識労働者」の養成が重要です。
そこで、地元枠を撤廃することで、地方都市にもインターナショナルスクールが増えるようにしてほしいという動きがあります。
インターナショナルスクールで成功するマレーシア
マレーシア南端部のジョホール州で進められているイスカンダル計画では、9つの促進産業のひとつに教育が選ばれています。
そのため英国王室のキャサリン妃が学んだマルボロカレッジの分校などイギリスのボーディングスクールや海外の大学などが開校しています。
▼ジョージ王子も小学校が決まり、英国王室の選ぶ教育に注目が集まります。写真は、英国王室のインスタグラムより引用
英国王室のプリンセスキャサリン妃は、どのような学校で学んできたのか?シャーロット王女も生まれ、ジョージ王子とともに人気の英国王室。ウィリアム王子とシャーロット王女も英国式保育園で学んでいます。
■地元の生徒も進学できるマレーシアのインターナショナルスクール
マレーシアでは、2012年にインターナショナルスクールに通う生徒の地元枠を撤廃しました。
マレーシア国民を含め、マレーシアのインターナショナルスクールに誰でも入れるようにしたのです。
インターナショナルスクールを選べるようにしたマレーシアでは、5年で生徒数が2倍以上に増え、学校数も増えている。International School Consultancy Researchの調査をもとに編集部が作図。
インターナショナルスクールも選べるようにしたマレーシアですが、多くのインターナショナルスクールは、地元の生徒と海外からの駐在員の生徒が50:50になるように目指しています。
2012年にマレーシア国民もインターナショナルスクールに通えるようになったことで、インターナショナルスクールの校数は108校から170校に急増しました。
インターナショナルスクールの志願者数は、2012年の2万9千人から7万千500人へ激増しています。
マレーシアのインターナショナルスクールの成功が他の国の未来?
中国も国民がインターナショナルスクールに通うことを規制しています。
大きな経済成長が見込まれるベトナムでは、「成長のために国際人材を育てる必要性」が高まっています。
そのためマレーシアが国民がインターナショナルスクールも選ぶことができるようにしたことが、いかに英断だったのかがわかります。
規制を外しインターナショナルスクールも選べるようにしたマレーシア。ウィンブルドン現象となるか?
日本と同じく、中国、ベトナムでは、自国の言語で国家カリキュラムを学ぶ教育が軸となっています。
マレーシアが国民のインターナショナルスクールへの進学を認めることで、どのような結果になるのか、を中国、ベトナムが見定めようとしているのかもしれません。
教育の規制を外し門戸を開放した結果、インターナショナルスクールが優勢になり、地元の教育が消沈または淘汰される=ウィンブルドン現象になるのか?
注目が集まります。
■こちらも参考にしたいですね。
先日、英国王室はウイリアム王子とキャサリン妃の長男、ジョージ王子(3歳)が9月からロンドン南部にある「トーマス・バタシー校」に入学する事を明らかにしました。ジョージ王子に自分が卒業した学校とは、別の学校を選んだウイリアム王子、キャサリン妃夫妻。どんな学校に入学するのかロンドン在住のChika B記者がご紹介します。
ボーディングスクールのスゴイ学費。世界トップに人脈を作るには、やはりお金がかかる?
http://istimes.net/articles/775世界トップの子弟が学ぶボーディングスクールの学費とはどのくらいかかるのでしょうか。中学校・高校で培った人脈は、一生続きます。ボーディングの学費とその施設を中心にまとめました。
お子さんが生まれると一度は、インターナショナルスクールに通わせることを考えませんか?有名人が子どもをインターナショナルスクールに通わせている記事も載ります。ネットでインターナショナルスクールのホームページを見て、高い授業料に驚いた方もいると思います。なぜ、インターナショナルスクールの授業料は高いのか?をまとめました。
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。