世界中から応募が殺到するManaiのスゴさ
Manaiの野村竜一代表の2回目のインタビューでは、プロジェクトベースの学びの理由とその創立理念を中心にお聞きしました。
編集部は、取材からある一校の取り組みに出会いました。
それがManai Institute of Science and Technology(以下、Manai)です。
Manaiが提供するシーズンプログラムに参加するため世界中から応募があり、実際に参加できる学生は一握り。そのManaiがついに2019年9月 日本に新しい学びの仕組みのインターナショナルスクールを開校します。
連載1では、Manaiを創立されたそもそもの理由や社会的な変化などについて野村代表にインタビューで尋ねました。
▼ 連載1はこちらを参照ください。
【連載1】世界中から応募が殺到!サイエンスに特化したインターナショナルスクールManaiが開校へ | By インターナショナルスクールタイムズ
https://istimes.net/articles/1220世界中から応募が殺到!開校前に世界中から注目されているサイエンスインターナショナルスクールのManaiとは?高校生相当が学ぶ全日制の高等部が今年の9月に開校します。
生徒の研究活動を学業の中心とする全く新しい教育機関として2019年9月に開校するManai Institute of Science and Technology。
一期生の生徒募集と選考がスタートしています。
▼ 志願方法は、こちらを参照ください。
Process until enrollment | Manai Institute of Science and Technology
https://manai.me/school/guide/Process until enrollment Step1 Application period February 1st, 2019 - August 19th, 2019 12:00 noon(JST) Applications will only be accepted online. Please apply through the indicated application form.
▼ 願書は、こちらを参照ください。
Manaiが「研究したい 没頭したい=集まれ」 とした理由。
編集部:Manaiがキーワードを「研究したい 没頭したい=集まれ」 とした理由。そこには従来の教育への反省があるのではないでしょうか。
野村:Michael Barberの「40年ギャップの話」は象徴的な話です。
彼は、教育者が目指すビジョンと親が求める教育に40年分の開きがあると指摘します。
親は得てして20年前に自分が受けた教育を基準にそこでのベターなものを模索します。
そして教育者は世の中の移り変わりを予想し20年後に生徒が生きる為の教育を考えます。
この40年のギャップを教育提供者たちは無視できないという現状かと思います。
理想の教育を考えるのですが、親が、そしてもっと言えば社会がその教育システムの導入を承認できないでいるということはあります。
教育者側が自らが提供するものを受け入れてもらうための取り組みが不足しているという点も否定できません。
「この教育が正しいはずです」と主張するより、20年前の感覚でも親が今求めるものを提供するほうが確かに楽だというのはわかると思います。
リサーチとワークショップ、実験とオンラインプログラムが有機的に繋がり、生徒ひとりひとりのペースで学ぶ仕組みができています。
編集部:ちなみに御校の卒業生は、研究者として「大学に進学」していくのでしょうか。
野村:Manaiの卒業生に対して大学、とりわけ有名な大学に行ってほしいという思いは特段ありません。大学に行くことでやりたい研究や探究活動が進むのなら行くべきだと思っています。
大学の学びが変化するとしても、我々がそこに対応を迫られるというようなことは意識していない。
やはり我々は大学に行くための準備機関ではなく、あくまで人生を通した研究活動・探究活動の最初の場所として存在すべきだと思っています。
卒業したあとにどんなことをやることになっても、社会がどう変わっても、自由に自分のやりたいことを、信念を持ってできるというスキル、マインドを身につけてほしいですね。
そもそも明確な「卒業」という概念はManaiにはありません。
我々が創るのは学校というよりコミニティです。その入り口であり、教育的要素を持つのがManaiなので、Manai Institute of Science and Technologyに在籍していなくてもManaiコミニティの一員として活動することを期待しています。
編集部:大学は、ただの通過点の選択肢ですね。
野村:はい、生徒が自らの研究活動をブーストする場所という意味で選択肢です。
時間割のサンプルを見ても、リサーチ、実験、メンターとの時間など生徒ひとりひとりが組み立てていくスタイルが見えてきます。
高校生だから発見できる可能性と引き寄せることができる未来
編集部:年齢でいうと、高校生は中学生より社会が見え、社会のずる賢いけど機能的な理由や純粋に社会を良いものにする信念などを感じ取る年齢だと思います。
Manaiが高校生を対象にした教育機関として開校する理由を教えてください。
野村:高校生という時期は自らの好きなことに没頭できる最適な時期です。
大学生になると自らの今後のキャリア、そして如何にして社会と関わるかを意識せざる得ない。また中学生だと依然躾的な要素が教育に大きく求められる。アンバランスであることを許され、好きなことに没頭し、そこから学ぶことができる最初で最後の時代です。
「従来の教育=教え育てる」ということに興味がありません。むしろ嫌悪感のほうが強い。
Manaiは、教え育てるのでは、一緒に学んで、自分で学ぶ力を身につけることをサポートすることをやりたい。
それを現実的にできる年齢が、高校生です。
Manaiには、“Senpai” 制度があります。
Senpaiは、研究や将来の進路の相談などメンターとしても頼りになり、さらに財務的な支援なども応援してくれます。
ふたつ目が、「自分で判断してManaiに来てほしい」ということです。
小学校・中学校選びでは学校選びはどうしても親の判断の割合が大きい。
親の判断でManaiに来ると後悔する可能性が高いと思っています。
生徒に自分で判断して来てほしいのです。
高校を選ぶ15歳というのは自分の学び方を選択し判断できるもっとも低い年齢だと思います。
編集部:15歳、16歳は「個」ができる年齢ですね。
野村:そうですね。個ができあがったり、何かをやりたいという強い意志が出てきます。
社会との関わりをすごく意識せざるを得なかったりする世代が、15歳、16歳という実感があります。
15歳、16歳の頃の青臭い情熱ってすごいじゃないですか。
あのパワーを受験勉強に向けているのはやはりもったいないですよね。
そういう意味で今の高校は、不自然な学び方、もっと言えば生き方を強いられていると感じることがあります。
生き物としての人間が、自分の個とその周辺にすごく意識があるのに、それをその周辺から閉ざして箱に入れて育成しようとしている。
本来あるべき姿と現状のギャップが最も大きいのが「高校」だと思います。
「高校」に最初に着手する理由も、その点にもあります。
変化は急激に来ない。気付いたら変わっている。
編集部:学校教育の土台は、明治時代からほぼ変わっていません。その一方で社会は、急激に変わっています。柔軟的、流動的な学校の仕組みが必要で、御校は学びの場を柔軟に提供すると考えています。
取材を通し、校名をISSJからManaiに変えた時、校名に入っていたスクールが抜けて、Institutionが入りました。
大きく理念が変わったと感じましたが、その背景と経緯を教えてください。
野村:名前がISSJからManaiに変わった理由は、ふたつあります。
ひとつは単純にISSJがプロジェクト名だったので、「われわれの質を表す学校名をつけよう」というのでManaiになりました。
*編集部注記 高校はManaiになり、サマースクール などを開催する社名がISSJです。
またわれわれの考えとして、そもそも学校を変えようではなく、「もう学校ではないものを作ろう」というのが強くありました。
名称の中に「スクール」を入れないことで、極力われわれが作るのは学校ではないと宣言したかった。
生徒についてはLeanerとしたり、多くの「学校用語」を必要に応じて適切なものに変えて使います。
生徒には「そういものだから」としてこれまでの慣習に従って欲しくないと思っています。
ですから我々Manaiの運営陣も絶えず固定観念に縛られずに本質に目を向ける姿勢を持ち、それを生徒に示したいという意気込みです。
編集部:Leanerとして、御校に入ってきてほしいお子さんは、どのような生徒でしょうか。
野村:まさに「まあ、それは世の中そういうものだから」という考えに違和感を持つ人です。
私もそうですが、物事に納得しないと前に進めないという人は一定数います。
人に教わる、人のペースに身をまかせる、そのようなことに納得できずに物事を進めることにとてもストレスを感じる人たちです。
そういった子たちにとって、実は今の学校システムは生きづらいシステムでストレスを抱えてしまいます。
そこに我慢できない人たち、違和感を感じている人にこそManaiは素敵な舞台になると信じています。
ちなみに私は我慢が大嫌いです。そして我慢はしなくていいと思っています。
我慢をするくらいなら、多大な労力を払っても我慢をしなくてもいい方法を探したいと思っています。
自分の例で恐縮ですが、算数、数学の公式を覚えることがとても嫌いでした。
暗記するのが嫌いではなく、納得せずに物事をとりあえず覚えるのが気持ち悪かった。
ですから、どんな公式を覚えるにしろとにかく自分でその公式を導き、そして初めて公式を覚えることを自分に許しました。
勉強に時間がかかって困りましたが、今思うといい経験だったなと思います。
試験中に公式を忘れたとしてもその場で導けばいいのでその点も助かりました。
野村:また「他人に決められたペースで何かをやる」のがすごくストレスでした。
そういった自分の経験もあり、嫌な環境、好ましくない環境を変えることに努力を惜しまない人というのは私にとって魅力的な人間像です。
「世の中そういうものだから」が納得できない人、そしてその環境を変える労力を労力として捉えない人、そんな人たちが集まったらとても素敵だと思っています。
「どんな子に来てほしいか?」に多少極端でも一言で答えるとしたら、嫌な環境というレールに乗らない子です。
そのレールが嫌だったら、頑張って足折ってでも降りる、みたいな子です。
編集部:自分の判断で、「このレール」を降りるという判断ができる子、その年齢というと15歳、16歳の年齢ですね。
Manaiの学びと明らかになってくる生徒増は、【連載3】をご参照ください。
(文中敬称略)
【連載3】ついにManai 開校!その学びをレポート! | By インターナショナルスクールタイムズ
https://istimes.net/articles/1232世界中から応募が殺到!注目が集まるサイエンスインターナショナルスクールのManai Institute of Science and Technology(以下、Manai)が9月開校しました。早速、Manaiの市ヶ谷ベース(東京都新宿区)で開催された "Computer science" のワークショップを見学させていただきました。
2019-2020年度の志願方法
▼ 志願方法は、こちらを参照ください。
Process until enrollment | Manai Institute of Science and Technology
https://manai.me/school/guide/Process until enrollment Step1 Application period February 1st, 2019 - August 19th, 2019 12:00 noon(JST) Applications will only be accepted online. Please apply through the indicated application form.
▼ 願書は、こちらを参照ください。
■こちらも参考にしたいですね。
【連載1】世界中から応募が殺到!サイエンスに特化したインターナショナルスクールManaiが開校へ | By インターナショナルスクールタイムズ
https://istimes.net/articles/1220世界中から応募が殺到!開校前に世界中から注目されているサイエンスインターナショナルスクールのManaiとは?高校生相当が学ぶ全日制の高等部が今年の9月に開校します。
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。