世界中から応募が殺到するインターナショナルスクールをご存知だろうか?
編集部は、取材からある一校の取り組みに出会いました。
それがManai Institute of Science and Technology(以下、Manai)です。
Manaiが提供するシーズンプログラムに参加するため世界中から応募があり、実際に参加できる学生は一握り。
そのManaiがついに2019年9月 日本に新しい学びの仕組みのインターナショナルスクールを開校します。
生徒の研究活動を学業の中心とする全く新しい教育機関として2019年9月に開校するManai Institute of Science and Technology。
一期生の生徒募集と選考がスタートしています。
▼ 詳しくは、こちらを参照ください。
Manai Institute of Science and Technology
https://manai.me/school/ja/Manai Institute of Science and Technology は、2019年9月にOPENするサイエンスインターナショナルスクールです。
開校に先立ち、2015年からサマースクール、スプリングスクールを実施。
世界中から生徒を募集してきました。
すでに中野など複数のラボが立ち上がっており、いよいよ今年の9月にManaiが開校します。
Manaiの野村代表にインタビュー
Manaiの野村竜一代表は、問題解決とロジカルシンキングの学習塾「ロジム」の共同創設者としても著名です。
編集部は、これまで「インターナショナルスクール開校」記事を書いてきました。
しかし、Manaiはいわゆる新たな「学びの仕組み」を社会に提起しています。
約半年の選考期間など独自の仕組みで生徒を発掘するまったく新しい教育機関です。
そこで編集部は、同校の創立者である野村代表にインタビューをお願いしました。
本連載で「Manaiのすべて」を紐解いていきます。
*編集部:2015年からISSJ(インターナショナルスクール・オブ・サイエンス)として活動を開始。今のManaiの設立母体になっている。
▼ 野村代表のSankeiBizの連載はこちら。
教育、もうやめませんか - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト
https://www.sankeibiz.jp/story/topics/sty36081-t.htm?fbclid=IwAR2X2B6lNyW_HTG3VXRdK-c97kQsu1PY8byyEVgi6SfpLn9CIGDoKuTKRTk産経新聞グループの総合経済情報サイトSankeiBiz(サンケイビズ)スマートフォン版、連載・コラムのページです。経済の連載記事やコラムをまとめてお届けします。
Manaiのすべて
編集部:2013年英オックスフォード大学でAI(人工知能)などの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授の論文「雇用の未来」は、世の中の今ある仕事は、今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論を出しました。
THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?∗
https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdfCarl Benedikt Freyと Michael A. Osborneは、本論文で今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高いという結論を出しました。
また、リンダ・グラットン, アンドリュー・スコットは、「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)寿命が延び100年時代の人生戦略」が必要と解きます。
2107年には主な先進国では半数以上が100歳よりも長生きすると予測されています。
今の80歳前後とする平均寿命ではなく、100歳まで生きることを前提に変化し続ける環境に対応するための新しい生き方を示している本著。
33万部のベストセラーになっています。
従来の社会からAIによって働く意味と内容が変化し、寿命が100年に伸びるなかで、そもそも求められている教育も変わっています。
社会の変化に合わせ、必要な能力、スキルなど変化があるのが自然だと思います。
Manaiを創立されたそもそもの理由に社会的な変化などがあったら教えてください。
野村:前提としてこれからやってくる社会で幸せに生きるためのキーワードは「人に必要とされる」ことだと思っています。
人に必要とされ自分が肯定されることが活力になり、次の一歩への原動力となるのです。
ただ、これからの世の中で必要とされる人というのは多種多様であり、私が「ズバリ!こういう人が今後の社会で必要とされる人だ」と定義付けすることは正しいことだとは思いません。
必要とする人の数だけ必要とされる人がいるからです。
しかし確実に多くの人に必要とされやすい人がいます。それが、周囲の目を気にせずに他の人がやらないことでも自らの興味にエネルギーを注ぐことができる人なのです。
今後、人工知能の浸透や社会システムの効率化によりそういった、「機械や他の人がやらないことを探究する」人が求められるのです。
そしてそういった人間は従来のジェネラリストを養成する教育システムでは育成されません。育成どころか発見すらされません。
Manaiの設立理由を一言でいうならば、才能の発掘と育成です。もう少し詳しく言えば、若い才能が自らの興味対象に、十分に、そして自由に没頭できる環境を作り、そこで他人がやらないことでも、将来役に立ちそうにないことでも自分の興味対象に没頭する人間です。
そういった意味でManaiの設立趣意と社会環境変化は自然とリンクしていると思っています。Manaiで育成する人物が、今後到来する新しい社会で必要とされる可能性が十分に高い人物だからです。
「全く新しい教育機関」Manaiの挑戦
編集部:Manaiの「全く新しい教育機関」とは、このような時代に自分らしく生き延びる術または理念に対応した教育機関ではないだろうか、と考えています。
今ない仕事であったり、そもそも仕事とさえ呼ばないのかもしれません。抽象的な質問ですが、そのような時代になっても基本力として必要とされる能力をManaiで「没頭」のなかで見出すのでしょうか?
野村:はい。Manaiでは自らの興味に没頭し、探究し、ハマることが何よりも価値のあることだと認識されます。
また、若い才能が自由に自らの興味にハマることができる環境を作ることがManaiの仕事であり、存在意義だと思います。
「人類の進化は、課題を前にして解決策を考え、科学と理論によりイノベーションを起こしてきた歴史である。」Manaiは、サポーターも募っています。
詳しくはこちらからお問合せください。https://manai.me/jp/support
自ら考え生み出す・創り出す人間になるための方法論や考え方
編集部:野村代表のこれまでのご経歴から考えるとロジカルシンキングの学習塾ロジムを創立され、この度Manaiを創立されました。
学習塾ロジムもこれまでにない思考、問題解決能力を育てています。ロジムがあったからこそManaiが創立されたのでしょうか。
またManaiが担う新しい学びの仕組みとは、具体的にどのようなものでしょうか?
野村:2005年に小学生向けの論理思考力を育む教室「学習塾ロジム」を共同代表の苅野と創業、運営してきました。
野村:組織としてロジムとManaiは全く別のものなので両社に経営的な繋がりはないのですが、両教育機関に共通することは「与えられた物事を処理し消費する人間を育てる場ではなく、自ら考え生み出す・創り出す人間になるための方法論や考え方を学ぶ場である」という点です。
ロジムでは物事を論理的に考える機会を作ることで小学生と言えど自らの判断の際に「なんとなく」や「誰々がそう言っているから」ということを少なくし、主体的に自ら根拠を集め判断する習慣を身につけてもらっています。
Manaiで目指すところも、「試験のためにやる」「親に言われたからやる」ではなく、自らの興味に正直にはまり込みその経験を積み重ね主体的に自分の人生を切り開くことを期待しています。
自分の人生を人任せにしない練習をするという意味ではロジムとManaiの設立には共通点が見いだせます。
「学校を創るのではなく、共同体を創る」
編集部:エデュケーションデザイナーとしても活躍する野村代表は、世界中の最先端の教育を視察してきました。その中で、Manaiで取り組みたいと考えた手法や学びがあったら教えてください。またその理由を教えてください。
野村:もちろん多くの学校の先進事例は参考になりますが、我々が敢えて参考にするのはこれまでの学校ではないと思っています。
Manaiを創る上でのキーセンテンスが「学校を創るのではなく、共同体を創る」です。現在では既存の学校以上に科学アカデミーやコミニティ化している企業を参考にしています。
Manaiのラボがある中野で野村竜一代表にインタビュー。リノベーションもスタッフと一緒にする姿にManaiの本質を感じます。
また、個人的にはスポーツジムの形態は学びのかたちとして注目しています。
そこに所属する人間は各々が自分のペースで自分の能力や目標に応じてトレーニングを行います。
またマシンの使い方やトレーニング方法を必要に応じて指導するトレーナーがいて各人の目標に向けて伴走してくれます。
また基礎的な知識やスキルを効率的に習得すべくスタジオではクラスワークやワークショップがあります。Manaiでの研究中心の学びのスタイルに近いものを感じています。
探究のアプローチ方法としてのサイエンス
編集部:Manaiのスローガンは、「生徒の研究活動を学業の中心とする全く新しい教育機関です」とあります。研究活動は、自然科学や実験というイメージがありますが、実際にどのような研究活動が中心になりますか?
野村:サイエンスの定義は定義する人の数だけあると思いますが、私は、仮説と結論を事実とデータでつなぐ体系のことがサイエンスだと思っています。
探究対象として事象の多さや身近さもあり自然科学を扱うことは多いとは思います。
ただ我々が扱うサイエンスは教科分類としてのサイエンスではなく、探究のアプローチ方法としてのサイエンスです。
ですから、歴史学や社会学などこれまでの分類では「文系」とみなされていた物事を科学的に探究する研究も行われるべきだと思っています。
編集部:Manaiがキーワードを「研究したい」「没頭したい」=集まれ とした理由。そこには従来の教育の反省点があるのではないでしょうか。
次回の連載に続きます。
(文中敬称略)
2019-2020年度の志願方法
▼ 志願方法は、こちらを参照ください。
Process until enrollment | Manai Institute of Science and Technology
https://manai.me/school/guide/Process until enrollment Step1 Application period February 1st, 2019 - August 19th, 2019 12:00 noon(JST) Applications will only be accepted online. Please apply through the indicated application form.
▼ 願書は、こちらを参照ください。
インターナショナルスクールタイムズの編集長として、執筆しながら国際教育評論家として、NHK、日本経済新聞やフジテレビ ホンマでっかTV、東洋経済、プレジデント、日本テレビ、TOKYO FMなど各メディアにコメント及びインタビューが掲載されています。
プリスクールの元経営者であり、都内の幼小中の教育課程のあるインターナショナルスクールの共同オーナーの一人です。
国際バカロレア候補校のインターナショナルスクールの共同オーナーのため国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了しています。